役員報酬(前編)
〜課税の公平と損金算入の基準

2017年2月24日 田中 依子

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経営者の方は、自分の適正な報酬(給与)について、どの程度が望ましいか悩まれた事があるのではないでしょうか?

役員給与に関する税務上の論点として、役員の範囲、役員給与の損金不算入、過大役員報酬等が挙げられます。今回から2回にわたり役員報酬と法人税について説明します。

税の負担を公平にする「租税公平主義」

日本国憲法では「平等原則」が規定されており、税制においても適用されます。租税公平主義(公平・中立の原則)、中でも公平の原則(特定の人や企業だけが税金を軽減されたり、逆に多く課税されたりしないよう、納税者が担税力※に則った租税負担を公平に負う)を確保するため、各種の税法は規定されていると言われています。

役員報酬は、経営者自身がその金額を決めることができる傾向にあります。そのため、無制限に役員報酬の損金算入(経費処理)を認めてしまうと、法人の利益操作が可能になり、課税の公平を保てません。そこで、公平を保つために、法人税に損金不算入(経費処理として認められない)の規定が設けられているのです。 (※実際に税負担を受け持つことができる能力のこと。担税能力ともいう)

役員の範囲

では、役員の範囲を見ていきましょう。 役員には、法人の取締役・執行役・監査役等と、みなし役員が含まれます。みなし役員に該当するかは、次の条件により分かれます。

(A)使用人以外の者(相談役・顧問等)でその法人の経営に従事している者
(B)同族会社の使用人のうち特定株主に該当する者でその法人の経営に従事している者(図を参照)

持ち株の割合による、みなし役員の関係図

図 持ち株の割合による、みなし役員の関係

役員給与の損金算入の制限

法人が役員に対して支給する給与(退職給与を除く)は、原則として経費処理ができない損金不算入となりますが、@定期同額給与、A事前確定届出給与、B利益連動給与、のいずれかに該当すれば損金算入が認められています。

@ 定期同額給与

支給時期が1か月以下の一定の期間毎に支払われる給与で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものを言います。

従って、期中に給与の増減があった場合には、定期同額給与に該当しないことになります。ただし、(A)事業年度開始後3月以内の定時改定、(B)臨時改定事由による改定、(C)業績悪化改定事由による減額改定、により、その改定前後の期間について、それぞれその支給額が同額であるものは、定期同額給与に該当するものとされています。

(A)定時改定
事業年度開始の日から3月を経過する日までにされた給与の改定。定時株主総会等により改定する事ができます(詳細は後編で説明します)。

(B)臨時改定事由
役員の職制上の地位の変更、役員の職務内容の重大な変更、その他のやむを得ない事情によりされた給与の改定。例えば取締役から代表取締役への昇格、病気等により今までの職務が執行できない等による改定とされています。

(C)業績悪化改定事由
経営状況が著しく悪化した事等によりされた給与の改定。これには一時的な資金繰りの都合等は含まれず、銀行との借入金返済のリスケジュール協議において、役員給与の減額をせざるを得ない場合等、やむを得ない事情がある場合とされています。

どのような事情が生じた場合にB、Cの事由として認められるかは、役員の職務内容など個々の実態に即し判断することになります。原則としては、「利益調整等の恣意性がある」とは言えないものについては、定期同額給与の改定事由として取り扱う事とされています。

後編では、@定期同額給与の定時改定の詳細と、A事前確定届出給与、B利益連動給与について解説します。

著者プロフィール

日新税理士事務所

2006年6月設立。
大阪・京都・神戸・奈良を中心に活動し、会社設立、融資・補助金・助成金申請など独立開業、税金対策や経営改善計画をサポートする。

日新税理士事務所ホームページ
http://www.ns-1.biz/

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