
最終更新日:2026年02月20日
棚卸資産は、企業の利益に直結する重要な資産です。その評価を誤ると、企業の正確な財務状況が把握できなくなります。もっとも、評価方法は複雑なため、理解が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、棚卸資産の基本的な意味や種類、評価方法、実地棚卸の重要性などについて解説します。
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目次
- 棚卸資産とは、販売や加工目的で一時的に保有する資産
- 棚卸資産の種類
- 棚卸資産の評価方法
- 原価法
- 低価法
- 棚卸資産の取得価額に含まれる費用
- 棚卸資産は評価損・減耗損を計上できる場合がある
- 実地棚卸の重要性
- 棚卸資産の評価方法は届出が必要
- 棚卸資産を適切に計上して、正確な決算を実現しよう
- よくあるご質問
棚卸資産とは、販売や加工目的で一時的に保有する資産
棚卸資産とは、主に企業がそのまま販売したり製品に加工したりするために一時的に保有する資産のことです。一般的には「在庫」とも呼ばれます。これらは、比較的短期間で現金化が可能な、流動資産に分類される資産です。
貸借対照表では、棚卸資産は下記のように流動資産の部に記載されます。なお、販売・加工目的で所有していない未使用の消耗品も棚卸資産に含まれるケースがあり、「貯蔵品」といった勘定科目で貸借対照表に計上されるのが一般的です。
- ■貸借対照表での棚卸資産の記載箇所

これらの棚卸資産は、企業の損益計算に影響を及ぼすため、正確に計上しなければなりません。例えば、売上原価は「期首在庫+当期仕入高-期末在庫」で計算されるため、期末在庫を増やせばそれだけ売上原価が減り、利益が増えます。期末時点での在庫が過大に計上されていれば利益が大きく見える一方で、過小であれば利益が小さく見えるなど、財務諸表の信頼性を左右する要素となります。
また、利益の変動は、税務申告の正確性にも影響する点にも注意が必要です。在庫評価の誤りは、税務調査での指摘につながりかねません。
棚卸資産の計上額に誤りがあると、経営判断や資金繰りの判断にも影響するため、正確な管理が不可欠です。
棚卸資産の種類
棚卸資産は、その状態や用途によっていくつかの種類に分類されており、種類ごとに勘定科目を使い分ける必要があります。主な棚卸資産の種類は下記の6つです。
- <主な棚卸資産の種類>
- ・商品:販売目的で仕入れた完成品で、形状を変えずに保有される資産
- ・製品:自社で製造した完成品で、販売準備が整った状態の資産
- ・半製品:一定の加工が完了し、単独での販売または貯蔵が可能な資産
- ・仕掛品:製造途中の未完成の製品で、単独での販売はできない状態の資産
- ・原材料:製品製造に使用する基本的な物品で、まだ加工されていない資産
- ・貯蔵品(消耗品):事業活動で使用するため購入し、未使用のまま保有している資産
なお、消耗品については、棚卸資産として扱われることもありますが、少額の場合は費用処理されるケースもあります。特に複数の種類の棚卸資産を取り扱う企業では、分類ミスがあると棚卸資産の状態を正確に把握できなくなるおそれがあるため、誤りが生じないよう注意が必要です。
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棚卸資産の評価方法
棚卸資産の評価方法は、大きく分けて原価法と低価法の2つがあります。また、原価法には複数の評価方法があり、企業の業種や取扱商品の特性によって適した方法が異なります。
財務諸表の信頼性を確保し、正確に税務申告をするには、適切な評価方法を選択して正しく適用することが大切です。下記では、各評価方法の概要と特徴について解説します。
原価法
原価法とは、棚卸資産を取得した際の原価(仕入価額)を基準にして評価する方法です。評価時点での市場価格に左右されず、取得時点の金額にもとづくため、計算方法がシンプルでわかりやすいといった特徴があります。
原価法には下記の6種類の評価方法があります。
個別法
個別法は、棚卸資産をひとつずつ個別に管理し、実際に取得した価格をもとに評価する方法です。
例えば、高額な機械部品や車両、宝石類など、資産ごとの入出庫履歴の追跡が容易なケースに適しています。個別法は一つひとつの資産を評価するため、実態に即した評価が可能です。
一方で、在庫数が多く個別管理が困難な業種には不向きな方法といえます。評価精度が高い反面、手間もかかるため、管理体制の業務負荷とのバランスを考慮して採用しましょう。
先入先出法
先入先出法は、「先に仕入れた在庫から先に販売された」と仮定して評価する方法です。
この方法は、実際の在庫の流れに則した評価方法とされ、食品などのように古いものから順に使用・販売される商品を扱う業種に適しています。評価時点で残っている棚卸資産の評価額は、最新の仕入単価に近い価格となります。
例えば、下記のような簡単な例で考えてみましょう。
- <先入先出法の検討事例>
- ・1月に商品を100円で10個仕入れた
- ・2月に商品を120円で10個仕入れた
- ・期末に商品が12個残っていた
この事例では、20個仕入れた商品のうち販売された8個の商品は、1月に仕入れた10個の中から販売されたと考えます。そのため、期末時点で残っている12個の商品の評価額は、1月に仕入れた「100円×2個」と2月に仕入れた「120円×10個」の合計額で評価します。
このように、期末時点に近い仕入価格にもとづいた評価ができるため、物価変動が激しい場合でも比較的実態に近い評価が可能です。ただし、管理にあたっては入出庫の記録を正確に行う必要があります。
総平均法
総平均法は、期首と期中に仕入れたすべての棚卸資産の取得価額を合計し、それらの総数量で割って平均単価を求める方法です。
総平均法のメリットは、価格変動の影響を平均化できる点にあります。仕入価格にばらつきがある場合でもひとつの平均単価で評価できるため、計算がシンプルになり、管理も容易になります。
ただし、仕入れロットごとの価格差を評価額に反映しにくい点に注意が必要です。
移動平均法
移動平均法は、仕入れのたびに在庫の平均単価を更新し、常に最新の原価を反映して棚卸資産を評価する方法です。
この方法は、資産の実態に近い原価の把握が可能で、価格変動の激しい商品を扱う企業に適しています。一方で、仕入れがあればその都度、平均単価を再計算する必要があるため、管理が煩雑になりやすいといったデメリットがあります。そのため、会計ソフトや在庫管理システムの自動計算機能を利用するのが一般的です。
売価還元法
売価還元法は、棚卸資産の販売価格(売価)に、あらかじめ設定された原価率を掛けることで原価を推定し、評価する方法です。原価率の傾向は棚卸資産の種類によって異なるため、類似する棚卸資産ごとにグループ分けを行って計算します。原価率は、下記の計算式で求めます。
- <原価率の計算式>
- (期首時点での商品原価+当期仕入高)÷(期首時点での商品の売価+当期仕入れた商品の売価)
この方法では、売価から原価を簡便に推定できる点がメリットです。取扱商品の種類が多く、1点ずつの原価を管理するのが困難な小売業などに適しています。ただし、計算が簡単でスピーディーに処理できる一方で、設定する原価率の妥当性が重要となります。
また、原価率が実態とずれていると評価額が過大または過小になる可能性もあるため、原価率の定期的な見直しや根拠資料の保管といった対応も必要です。
最終仕入原価法
最終仕入原価法は、期末に最も近い時点で仕入れた際の単価をもとに、棚卸資産を評価する方法です。
この方法は、比較的シンプルな計算式で評価ができるため、記帳や管理の手間を抑えたい企業にとって使いやすい方法です。棚卸資産の評価方法は税務署への届出が必要ですが、届出を行わなかった場合に適用される評価方法でもあります。
ただし、期末直前に仕入価格が極端に高騰または下落していた場合、実態からかけ離れた評価となるおそれがあるため、適用する際は慎重な判断が求められます。
低価法
低価法は、原価法によって算出された評価額と、期末時点での時価(正味売却価額)のうち、いずれか低い金額で棚卸資産を評価する方法です。
この方法は、在庫の価値が下落した場合に、より実態に即した会計処理を行うために用いられます。例えば、需要の減少や在庫となっている商品の劣化などにより、棚卸資産を仕入れたときの想定価格で販売できない場合に、適正な資産評価を実現できます。
ただし、低価法を適用するには原価法による評価額が前提となるため、期末時点での時価評価に加え、いずれかの原価法による計算もしなければなりません。低価法は、在庫価値の下落リスクに対応できる評価方法といえますが、会計処理が原価法よりも煩雑になるデメリットもあります。
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棚卸資産の取得価額に含まれる費用

棚卸資産の取得価額には、仕入れた商品の購入代価だけでなく、それに付随するさまざまな費用が含まれます。
- <取得価額に含まれる主な費用>
- ・運送費
- ・関税
- ・運送保険料
- ・検査費用
棚卸資産を自社製造した場合も、原材料費以外に、製造に直接要した人件費や工場の光熱費なども取得価額に含めて計上します。棚卸資産の評価と損益計算の正確性を確保するために、これらの費用を過不足なく計上することが重要です。
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棚卸資産は評価損・減耗損を計上できる場合がある
棚卸資産は、下記のようなケースに該当する場合に「評価損」として損失を計上することが認められています。
- <評価損が計上できる主なケース>
- ・市場価格の大幅な下落
- ・商品の陳腐化や品質劣化
- ・災害などによる損傷
このような場合、実態に応じた価値で評価することで財務諸表の正確性を確保できます。損失の計上によって税負担の軽減ができる点もメリットです。
また、実地棚卸で在庫数を把握した結果、紛失、盗難、破損などによる数量の減少が判明した場合は、減耗損として損失計上します。評価損と減耗損は性質が異なるため、明確に区別して処理しなければなりません。
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実地棚卸の重要性
実地棚卸とは、帳簿上の数量と実際の在庫を突き合わせる作業で、正確な資産管理には欠かせません。帳簿上の数値だけで在庫数を把握しようとすると、記入ミスや入力漏れがあった場合に実態とずれが生じます。これを防ぐために、期末などのタイミングで棚卸資産を一つひとつ確認する実地棚卸を行います。
実地棚卸では、下記の各点を確認することが重要です。
- <実地棚卸で確認すべきこと>
- ・在庫の数量
- ・品質や劣化の有無
- ・破損、紛失、不良品の有無
- ・預け在庫(社外保管分)の把握
また、ヒューマンエラーを防止するため、ダブルチェック体制や記録の二重管理といった仕組みを導入するのも効果的です。定期的な棚卸の実施により、帳簿の信頼性を確保しましょう。
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棚卸資産の評価方法は届出が必要

棚卸資産の評価方法は、法人設立後最初の事業年度の確定申告期限までに、税務署へ届け出る必要があります。届出を行わなかった場合、自動的に最終仕入原価法が適用されます。評価方法は原則として3年以上の継続適用が求められ、簡単に変更することはできません。
変更したい場合は、「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を税務署へ提出し、承認を得る必要があります。この手続きでは、合併や事業形態の変更などの合理的な理由がない場合は、変更が認められない可能性があります。
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棚卸資産を適切に計上して、正確な決算を実現しよう
棚卸資産は、企業の利益計算に直結する重要な資産で、正しい知識によって適切な管理をすることが重要です。さまざまな棚卸資産の評価方法の特徴と違いを理解し、自社の業種や在庫管理体制に合った方法を選ぶことが、事業の財務状況の正確な把握につながります。実地棚卸の重要性も意識して、信頼性の高い財務諸表を作成しましょう。
棚卸資産を適切に管理するためには、ITツールの活用が効果的です。ITツールによって経理業務を効率化すれば、棚卸資産の管理に十分なリソースを割けるようになります。
例えば、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 請求書』を導入すれば、取引先との請求書の発行・受け取りを効率化でき、日々の経理業務の負担軽減が可能です。その結果、実地棚卸や決算対応といった業務に注力できるようになります。経理業務の効率化にお悩みの場合は、ぜひご相談ください。
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よくあるご質問
棚卸資産とはどのような資産ですか?
主に企業がそのまま販売したり製品に加工したりするために、一時的に保有する資産(在庫)のことです。比較的短期間で現金化が可能な流動資産に分類されます。販売・加工目的ではない未使用の消耗品(貯蔵品)も、棚卸資産に含まれる場合があります。
棚卸資産はどのように評価すればいいですか?
大きく分けて原価法と低価法の2つの評価方法があります。
原価法は取得した際の原価を基準に評価する方法で、個別法、先入先出法、総平均法など6種類があります。低価法は、原価法による評価額と期末時点の時価(正味売却価額)のうち、いずれか低い金額で評価する方法です。評価方法は税務署への届出が必要で、届出がない場合は最終仕入原価法が適用されます。
棚卸資産を計上する際に実地棚卸は必要ですか?
正確な資産管理に必要不可欠です。実地棚卸とは、帳簿上の数量と実際の在庫を突き合わせる作業です。帳簿上の数値と実態とのずれを防ぎ、正確な資産管理と帳簿の信頼性確保のために行われます。具体的には、期末などのタイミングで棚卸資産を一つひとつ確認する必要があります。
監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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