
最終更新日:2026年02月24日
近年、企業におけるカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中で、カーボンクレジットが注目を集めています。温室効果ガスの削減目標を掲げても、すべての排出量を自社の取り組みだけで削減するのは容易ではありません。そうした中、削減が難しい排出量を補完する手段として、カーボンクレジットの活用が広がっています。
一方で、カーボンクレジットの仕組みや価格の目安、自社にとってどのようなメリットがあるのかがわからず、導入を具体的に検討できていない企業も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、カーボンクレジットの基本的な仕組みや価格相場、企業が導入する際のメリット・デメリットのほか、取引制度、注意点について詳しく解説します。
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目次
- カーボンクレジットとは?
- カーボンクレジットの仕組み
- カーボンクレジットの価格例
- カーボンクレジットの2つの取引制度
- ベースライン&クレジット制度(削減量取引)
- キャップ&トレード制度(排出権取引)
- 企業におけるカーボンクレジットのメリット
- カーボンニュートラル達成への貢献
- 企業イメージの向上とCSR活動の強化
- クレジット売却による収益獲得
- 企業におけるカーボンクレジットのデメリット・課題
- 手間やコストがかかる
- 未成熟な市場のリスク
- 企業がカーボンクレジットを導入する際の注意点
- 自社の目的に合致したカーボンクレジットを選定する
- 制度変更の可能性もある
- 自社の削減努力とカーボンクレジットの活用で、持続可能な企業経営を目指そう
- よくあるご質問
カーボンクレジットとは?
カーボンクレジットとは、温室効果ガスの削減量や吸収量を「CO₂換算で1トン(t-CO₂e)=1クレジット」として認証し、取引可能にした仕組みです。この仕組みによって、温室効果ガスの排出削減量を企業間で売買できるようになります。
企業が自社の取り組みだけで、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量・除去量を差し引いて実質ゼロにすること)を達成するのは容易ではありません。そこで、削減が難しい排出量をカーボンクレジットの購入によって相殺する「カーボンオフセット」という手法が活用されています。
カーボンクレジットの仕組みによって、温室効果ガスの削減に経済的な価値が生まれ、企業のカーボンニュートラルに向けた取り組みを後押しすることが期待されています。カーボンクレジットの活用事例は以下のとおりです。
- ■カーボンクレジットの活用事例
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企業 活用事例 Apple 自社で基金を立ち上げ、森林やマングローブの再生プロジェクトに直接投資。そこで得られた「除去クレジット」で自社の排出を相殺するエコシステムを構築している Microsoft 大気中のCO2を機械で直接回収するDAC技術やバイオ炭などに巨額投資し、回収した炭素を地中で鉱物化して固定することで、自社の過去の排出分までさかのぼって「除去」するプロセスを確立している
出典:Apple「Appleとパートナー各社、初の試みで2億ドル規模の“Restore Fund” をスタート──気候変動を自然の力で解決するソリューションを加速」
出典:Microsoft「[PDF]マイクロソフトにおける炭素除去の取り組み(1.52MB)」
カーボンクレジットの仕組み
カーボンクレジットは、企業が温室効果ガスの排出削減につながるプロジェクトを実施し、その成果について認証機関の認証を受けることで発行されます。具体的には、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用、植林活動などを通じて削減・吸収した温室効果ガスの量を測定し、その実績を認証機関に申請します。
申請内容に対して認証機関が審査を行い、定められた基準を満たしていると判断されれば、その削減・吸収量がカーボンクレジットとして正式に認められ、市場で取引できるようになるのです。
カーボンクレジットは、認証を行う主体によっていくつかの種類に分かれます。主な認証機関(基準)は以下のとおりです。
- ■カーボンクレジットの主な認証機関(基準)
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運営主体 認証機関(基準) 概要 国際機関 パリ協定6条4項監督機関 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下に設置された委員会で、世界共通の国連基準のカーボンクレジットについて認証を行う 日本政府 J-クレジット 日本国内での排出削減活動を国が認証するもので、日本企業の「省エネ法」や「温対法」での報告に使えるため、国内企業にとって重要度が高い 民間事業者 Verra Verraが運営するカーボンクレジット「Verified Carbon Standard(VCS)」は、世界のボランタリー(民間)カーボンクレジット市場において大部分を占め、用途の汎用性も高い Gold Standard 環境NGOのGold Standardが設立した「Gold Standard for the Global Goals(GS)」は、温室効果ガスの削減だけでなくSDGsへの貢献(現地の雇用創出、水質改善など)を必須条件にしており、「質」を重視する企業などに選ばれている Winrock International Winrock Internationalが運営する「American Carbon Registry(ACR)」は、北米を中心に利用されるボランタリーカーボンクレジットの登録機関。幅広いプロジェクトタイプを扱い、科学的妥当性や厳格な方法論を重視している Climate Action Reserve(CAR) 元はカリフォルニア州の登録機関として発足し、北米の産業系・廃棄物管理系のプロジェクトに強く、厳格な基準で知られている
カーボンクレジットの価格例

カーボンクレジットの価格は、需要と供給のバランスや、政府の政策、国際協定の締結状況などによって常に変動します。由来するプロジェクトの種類や付加価値によっても価格帯が異なりますが、日本国内の「J-クレジット」の価格相場(2026年1月時点)を見ると、バイオ炭などの特殊なものを除き、どの区分も1トンあたり5,000円台に価格が集中しています。
- ■「J-クレジット」の価格相場例(2026年1月時点)
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プロジェクトの種類 価格相場 特徴 再エネ電力(太陽光・風力など) 5,500円前後 電力の再エネ化(RE100※など)に活用できるため需要が高く、価格も上昇傾向 再エネ熱(バイオマス熱など) 5,000円前後 ボイラー等の化石燃料使用に伴う排出に活用できる。以前は再エネ電力と比べて安価だったが、価格は上昇傾向 省エネルギー(設備更新・LED化など) 5,200円前後 RE100には使えないが流通量が多く、温対法の報告やカーボンニュートラル目標達成のための汎用的な手段として利用される 森林 5,000円前後 「どこの森か」というストーリー性を重視する企業に人気。特定の森を指定する相対取引では高値が付く場合もある バイオ炭 40,000円前後 大気中のCO2を固定する「除去系」クレジットとして国際的評価が高い。供給が少なく、高値で取引されている
※RE100とは、「事業で使う電気を100%再生可能エネルギーでまかなう」と宣言する国際的な企業連合のこと(Apple、Google、ソニー、イオンなどが加盟)。RE100の達成には、電力の環境価値証書(EAC)を使用量に見合って取消(償却)することが求められます。日本では非化石証書(NFC)、GEC、J-クレジット(再エネ由来)などが該当します。
カーボンクレジットの2つの取引制度
カーボンクレジットの取引には、大きく分けて2つの制度があります。ここでは、「ベースライン&クレジット制度」と「キャップ&トレード制度」について解説します。
- ■カーボンクレジットの2つの取引制度

ベースライン&クレジット制度(削減量取引)
ベースライン&クレジット制度とは、温室効果ガスの「削減量」を取引する制度です。まず、プロジェクトを実施しなかった場合に、本来排出されると予測される温室効果ガスの排出量を基準値(ベースライン)として設定します。実際の排出量がベースラインを下回った場合、その差分(削減量)がカーボンクレジットとして認証され、市場で取引できるようになります。
この制度は、企業が自主的に削減プロジェクトを実施し、その成果を経済的価値に変換できる点が特徴です。主にプロジェクトベースでの削減活動を評価する際に用いられます。
キャップ&トレード制度(排出権取引)
キャップ&トレード制度とは、温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設け、その範囲内で企業が排出枠(排出許可量)を売買できるようにする制度です。企業ごとに排出枠が割り当てられ、実際の排出量が割り当てを下回った場合、余った排出枠を市場で売却できます。反対に、排出量が割り当てを上回った企業は、不足分の排出枠を購入して上限内に収める対応が必要です。
この制度は、EU域内排出量取引制度(EU-ETS)などで導入されており、排出削減を強制力のある形で促進する仕組みとなっています。
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企業におけるカーボンクレジットのメリット

企業がカーボンクレジットを活用することには、環境面だけでなく経営面でも複数のメリットがあります。
カーボンニュートラル達成への貢献
カーボンニュートラルへの取り組みは、単なる環境配慮にとどまらず、法規制への対応や取引先からの要請、投資家からの評価、企業ブランドの維持といった観点から、企業経営において避けて通れない課題となっています。一方で、製造プロセスや輸送など、技術的・経済的な理由から排出削減が難しい領域が存在するのも事実です。
こうした削減が困難な排出量をカーボンクレジットの購入によって相殺することで、企業は現実的にカーボンニュートラルの目標達成に近づくことができます。
企業イメージの向上とCSR活動の強化
カーボンクレジットを活用することで、温室効果ガス削減に向けた企業の姿勢を対外的に示すことができます。脱炭素への取り組みは、環境配慮に積極的な企業であることを伝える重要な指標となり、投資家や取引先、消費者からの信頼向上につながるでしょう。CSR活動の実効性が高まり、企業イメージやブランド価値の向上にも寄与します。
クレジット売却による収益獲得
省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用など、排出削減の取り組みによって創出したカーボンクレジットは、市場で売却することが可能です。これにより、環境対策をコストとして捉えるのではなく、新たな収益機会として活用できる点も、企業にとってのメリットとなります。
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企業におけるカーボンクレジットのデメリット・課題
カーボンクレジットにはメリットがある一方で、デメリットや課題も存在します。
手間やコストがかかる
カーボンクレジットの取引や認証には、クレジットの種類や認証基準の理解、プロジェクトの選定、各種手続きなど、専門的な知識や一定のリソースが必要となります。そのため、特に中小企業にとっては、調査や運用にかかる手間が大きな負担になる可能性があります。また、クレジットの購入費用や認証取得に伴うコストも発生するため、導入にあたっては費用対効果の検討が必要です。
未成熟な市場のリスク
カーボンクレジット市場はまだ発展途上にあり、需給バランスの変化や政策・制度の見直しによって、価格が大きく変動する可能性があります。そのため、長期的な環境投資やコスト計画を立てる上で、将来の費用を見通しにくい点が課題です。
また、クレジットの購入だけに依存すると、根本的な排出削減につながらないとの指摘もあります。カーボンクレジットはあくまで補完的な手段と位置づけ、自社での削減努力とバランスを取りながら活用することが重要です。
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企業がカーボンクレジットを導入する際の注意点
企業がカーボンクレジットを導入する際に、押さえておきたい注意点を確認しておきましょう。
自社の目的に合致したカーボンクレジットを選定する
カーボンクレジットにはさまざまな種類があり、用途や利用範囲が細かく分かれています。そのため、単に購入するのではなく、自社の目的に適したカーボンクレジットを選定することが重要です。
例えば、RE100などの国際的なイニシアチブへの対応を目的とする場合には、再生可能エネルギー由来のクレジットが求められます。また、認証機関によって利用できる範囲や国際的な認知度が異なるため、自社の報告要件や目標に合致したクレジットを選ぶ必要があります。
制度変更の可能性もある
カーボンクレジットに関する制度は、気候変動対策に関する政策や国際協定の動向によって、今後変更される可能性があります。そのため、導入後も最新の制度やルールを継続的に把握し、必要に応じて対応方針を見直せる体制を整えておくことが求められます。
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自社の削減努力とカーボンクレジットの活用で、持続可能な企業経営を目指そう
カーボンクレジットの仕組みを活用すれば、企業は削減困難な排出量を相殺でき、カーボンニュートラルの達成に近づくことができます。しかし、クレジットの購入には費用が発生するため、継続的なコスト負担となる点も考慮する必要があります。
企業経営においては今後ますます温室効果ガス削減に向けた取り組みが求められる中、まずは自社の取り組みで削減できることから始めるのが理想的です。そのためには、排出量を「見える化」することが重要になります。
インフォマートが提供する『BtoBプラットフォーム 請求書』を活用すれば、取引ごとの明細データを電子化し、活動量(例:購入量、金額など)を精度高く集計することが可能です。さらに、炭素会計システム『BP Storage for 炭素会計』と合わせて利用すると、AIが適用する排出係数を推定、温室効果ガスの排出量をまで効率的に算定できます。
カーボンニュートラルに向けた温室効果ガス削減の第一歩として、『BtoBプラットフォーム 請求書』、『BP Storage for 炭素会計』の導入をぜひご検討ください。
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よくあるご質問
カーボンクレジットとはどのような仕組みですか?
企業が省エネや植林などで削減・吸収した温室効果ガスの実績を、認証機関が審査・認証することで発行される仕組みです。正式に認証された削減量は「クレジット」として資産化され、市場で売買(取引)できるようになります。
詳しくは「カーボンクレジットの仕組み」をご確認ください。
カーボンクレジットの価格はいくらですか?
カーボンクレジットの価格は、需要と供給のバランスや、政府の政策、国際協定の締結状況などによって常に変動します。 詳しくは「カーボンクレジットの価格例」をご確認ください。
カーボンクレジットを買うメリットは何ですか?
技術的に削減が困難な排出量をオフセット(相殺)し、カーボンニュートラル目標の達成に近づける点です。また、環境配慮への積極的な姿勢を対外的にアピールできるため、投資家や取引先からの評価向上(ESG経営の推進)や、企業ブランディングの強化にもつながります。
監修者プロフィール

Green Carbon株式会社
「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、国内外において自然由来のカーボンクレジット創出・登録・販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しています。水田クレジット創出においては、2023年度日本初・最大級でJ-クレジットの認証を取得した実績や、東京都、JETRO、JICAの補助事業に合計10億円規模で採択された実績を保有している、カーボンクレジットディベロッパーの第一人者。
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