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【2026年最新】新リース会計基準とは?旧基準との違いや企業が受ける影響を解説

【2026年最新】新リース会計基準とは?旧基準との違いや企業が受ける影響を解説

最終更新日:2026年6月3日

オフィス賃貸や社用車のリース契約など、多くの企業がさまざまなリース取引を活用しています。これまで日本の会計基準では、オペレーティング・リースのオフバランス処理が認められてきましたが、2024年に企業会計基準委員会(ASBJ)が新たな「新リース会計基準」を公表し、2027年4月以後の事業年度から原則適用となります。

そこで今回は、新リース会計基準の概要や旧基準との違い、改正によって企業が受ける影響、担当者が今から進めるべき対応ステップについて詳しく解説します。

目次

新リース会計基準とは?

新リース会計基準の変更点を表す図

新リース会計基準とは、2024年に企業会計基準委員会が公表した改正会計基準で、借手は原則としてすべてのリースを使用権資産・リース負債としてオンバランス計上します。

これまで日本では、ファイナンス・リースはオンバランス、オペレーティング・リースはオフバランスとして処理する会計処理が認められてきました。しかし、IFRS(国際財務報告基準)第16号との整合性を図るため改正が行われた結果、オペレーティング・リースについても財務諸表への計上が必要となります。
経理担当者にとっては、従来の業務フローや月次の会計処理、開示対応を見直す必要が生じる改正といえるでしょう。

※IFRSの詳細は下記の記事もご覧ください。

改正の主な目的

新リース会計基準の改正の主な目的は、借手によるリース取引を原則として財務諸表に反映させ、財務情報の透明性と企業間の比較可能性を高めることです。

従来の日本の会計基準では、オペレーティング・リースをオフバランスとして処理することが認められていたため、類似した取引でも財務諸表の表示が企業によって異なる状況が生じていました。グローバルに事業を展開する企業や、外国人投資家との対話が求められる上場企業にとっては、国際基準との整合性が課題となっており、財務情報の信頼性・国際的な比較可能性を確保する必要があったのです。

新リース会計基準の変更点

新リース会計基準では、旧基準から大きく変わるポイントがいくつかあります。特に借手側の会計処理は根本的に見直されるため、経理業務への影響は広範囲にわたります。

単一会計モデルへの移行

新リース会計基準では、借手についてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分が廃止され、原則としてすべてのリースを「使用権資産」と「リース負債」としてオンバランス計上する単一モデルに統一されます。

従来オフバランスで処理してきたオペレーティング・リースも、貸借対照表への計上が必要です。これにより、対象となるリース契約の洗い出しが急務となります。特に不動産の賃貸借契約や長期のレンタル契約も対象となる可能性があるため、自社が締結しているすべての契約を精査する必要があるでしょう。 適用開始前に契約の棚卸しを完了させておくことが、円滑な移行への第一歩です。

仕訳・月次処理の変更

新基準では、リース開始時に「使用権資産」を資産として、「リース負債」を負債として計上する仕訳が新たに必要となります。従来の賃借料一本計上という処理から、減価償却費(使用権資産)と利息費用(リース負債)を分けて認識する処理へと変わるため、月次処理の手順を抜本的に見直す必要があるでしょう。

さらに、契約変更が生じるたびに使用権資産・リース負債の再計算が求められます。リース契約が多い企業ほど、この処理の煩雑さは増大します。会計システムの対応状況を早めに確認し、月次の仕訳フローを整備しておくことが大切です。

財務諸表・指標への影響

オペレーティング・リースのオンバランス化により、総資産・負債が増加します。その結果、ROA(総資産利益率)やD/Eレシオ(負債資本倍率)などの財務指標が変動する企業が出てくることが想定されるでしょう。

損益計算書においても、費用計上のタイミングが変化します。従来は定額の賃借料として計上していた費用が、減価償却費と利息費用に分かれて計上されるため、特にリース開始当初に費用が大きくなる傾向があります。
期間損益管理への影響を経営層・金融機関と早期に共有し、必要に応じて説明資料を準備しておくのがおすすめです。

新リース会計基準は2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用

新リース会計基準は2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用

新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から原則適用となります。なお、早期適用は2025年4月1日以後の事業年度から可能です。

上場企業・大企業を中心に影響が大きく、連結財務諸表を作成している企業は特に早期の準備が求められます。一方、中小企業など監査対象外の法人については、原則として新基準の強制適用対象外とされており、中小企業の会計に関する指針作成検討委員会の「中小企業の会計に関する指針」または中小企業庁の「中小企業の会計に関する基本要領」に則った会計処理が引き続き必要です。
ただし、今後の動向によっては対応が求められる可能性もあるため、最新情報を継続的に確認することをおすすめします。

新リース会計基準の適用対象となるリース取引

借手は業種を問わず、新基準の定義を満たすリース契約の多くが原則として対象となります。貸手については、引き続きファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区分にもとづいて処理するため、借手と貸手では枠組みが異なる点に注意が必要です。

ただし、すべてのリース契約が対象というわけではありません。リース期間が12ヵ月以内の短期リースや少額リースについては、借手においても簡便法として従来どおりの費用処理を継続できます。なお、短期リースは契約期間ではなくリース期間で判定し、購入オプションがないことが前提です。 少額リースについては、次のような判定基準が用いられます。

<少額リースの判定基準>
重要性が乏しい減価償却資産として費用処理している場合で、リース料が当該基準額以下のリース
リース契約1件当たり300万円以下のリース
新品時の原資産の価値が5,000米ドル以下程度のリース

まず自社が締結しているリース契約を整理し、12ヵ月超かつ少額リースに該当しない契約を特定することが対応の起点となります。

新リース会計基準の適用により企業が受ける影響

新リース会計基準の適用は、財務面だけでなく経理業務の現場にも大きな変化をもたらします。企業が受ける主な影響を確認しておきましょう。

財務諸表・財務指標への影響が大きい

すべてのリースがオンバランス化されることで、資産・負債が大幅に増加します。これにより自己資本比率の低下や、ROA・総資本回転率の悪化が生じる企業が出てくることが予想されるでしょう。

財務指標の悪化は、銀行との融資交渉や投資家への説明において影響を及ぼす可能性があります。改正の影響額を早期に試算し、金融機関や投資家に対して事前に丁寧な説明を行うことが、信頼関係の維持につながります。
また、財務数値が変動することを前提に、社内の業績評価指標や予算管理の仕組みを見直すことも検討してください。

経理業務の負担が大幅に増加

新リース会計基準では、従来の「賃借料計上」という単純な処理から、使用権資産・リース負債の計上に加え、毎月の減価償却費と利息費用の2つの仕訳が必要となります。さらに契約変更が生じるたびに再計算が求められるため、担当者の業務負荷が増大することが予想されます。

リース契約の件数が多い企業ほど、この影響は深刻です。既存の会計システムが新基準に対応しているかを早急に確認し、対応していない場合はシステムの更新・切り替えが必要です。
社内マニュアルの整備や、経理担当者向けの研修実施も欠かせない対応となります。

新リース会計基準適用に向けて担当者がすべきこと

新リース会計基準適用に向けて担当者がすべきこと

適用期限まで時間的な余裕はあるように見えますが、社内調整や会計システムの整備には相当の期間が必要です。以下のステップを参考に、早期から計画的に対応を進めることをおすすめします。

1.全社的なリース契約の棚卸し

まず取り組むべきは、全事業所・子会社にわたるすべての賃貸契約・レンタル契約・リース契約の完全な洗い出しです。契約書・支払明細・不動産登記等をもとに棚卸表を作成し、リース期間が12ヵ月超の契約を特定します。

部署や拠点をまたいで管理されている契約は抜け漏れが起きやすいため、管理部門が主導して一元的に情報を集約する体制を整えることが重要です。この棚卸しの精度が、その後の影響額試算や会計処理の正確性に直結します。

2. 影響額の試算・シミュレーション

棚卸しが完了したら、各契約の使用権資産とリース負債の計算を行います。総資産・負債の増加額を算出し、自己資本比率・ROA・D/Eレシオの変動をシミュレーションした上で、経営層への報告資料を作成しましょう。
財務指標への影響は企業によって大きく異なるため、自社固有の数値を把握することが重要です。

3. 会計方針の決定と関係者調整

続いて、短期リースや少額リースに対して簡便法を適用するかどうかなど、会計方針を確定させる必要があります。監査法人・税理士と事前に十分協議を重ね、開示方針を決定しましょう。

あわせて、経営層・金融機関に対して財務指標への影響を丁寧に説明し、理解と承認を得ておくことが大切です。金融機関とのローン契約やコベナンツ条項に影響が及ぶ可能性がある場合は、特に早急な対応が求められます。

4. システム・業務プロセスの構築

使用している会計システムが新基準に対応しているかを確認し、必要に応じてシステムの更新やリース管理ツールの導入を検討します。月次仕訳フローを整理し、新たな業務手順を明文化した社内マニュアルを整備しましょう。

また、経理担当者向けの研修を実施し、新しい会計処理の考え方や操作方法を習得させることも不可欠です。部署間の連携フローや承認ルートも見直し、新基準に対応した業務プロセスを構築することが、スムーズな本番適用につながります。

5. 本番適用と継続運用

2028年3月決算から初適用となる4月始まりの企業は、本番適用に向けた最終確認を行います。リース負債の満期別残高など、開示が求められる情報を適切に作成し、四半期レビュー体制を確立しておきましょう。

適用後も、新規のリース契約が締結されるたびに適切な会計処理が求められます。継続的な運用を支える仕組みを整え、定期的に対応状況を見直しながら、精度の高いリース管理を維持することが重要です。

新リース会計基準への対応を進めながら、帳票管理のデジタル化も検討しよう

新リース会計基準の適用により、リース契約に関する書類の管理や仕訳処理が大幅に複雑化します。対応を進める上では、契約書や請求書などの帳票類をデジタルで一元管理できる体制を整えることが、業務効率化のカギとなります。

インフォマートが提供する『BtoBプラットフォーム 請求書』なら、受け取った請求書も発行した請求書も、電子データとして一元管理・長期保存が可能です。電子帳簿保存法にも対応しており、煩雑な請求書管理の負荷を大幅に削減できます。経理業務の効率化により、新リース会計基準への対応といった重要な業務に時間とリソースを集中させることができるでしょう。

新リース会計基準への対応と並行して、ぜひ『BtoBプラットフォーム 請求書』によるデジタル化もご検討ください。

よくあるご質問

Q. 新リース会計基準は誰が対象ですか?

借手となる企業は業種を問わず対象となり、オフィス賃貸や社用車など、原則としてすべてのリース契約が対象となります。貸手側は従来通りの処理が継続されるため、借手側で特に注意が必要です。ただし、リース期間が12ヵ月以内の「短期リース」や一定金額以下の「少額リース」については従来通りの処理が可能です。
詳細は「新リース会計基準の適用対象となるリース取引」をご覧ください。

Q. 新リース会計基準が改正された理由は?

財務情報の透明性と企業間の比較可能性を高めるためです。これまで日本ではオペレーティング・リースのオフバランス処理が認められ、類似取引でも企業間で表示が異なる課題がありました。IFRS(国際財務報告基準)との整合性を図り、国際的な比較可能性や財務情報の信頼性を確保する目的で改正が行われました。
詳細は「改正の主な目的」をご覧ください。

Q. 新リース会計基準はいつから適用されますか?

2027年4月1日以後に開始する事業年度から原則適用されます。なお、2025年4月1日以後の事業年度からの早期適用も可能です。主に上場企業や大企業が影響を受けますが、中小企業などの監査対象外法人は原則として強制適用の対象外とされています。ただし、今後の動向には継続して注意が必要です。
詳細は「新リース会計基準は2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用」をご覧ください。

監修者プロフィール

監修者:宮川 真一

監修者:宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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