
最終更新日:2026年4月13日
納品書の電子化は、業務効率化やコスト削減などの観点から、多くの企業で取り組まれています。しかし、納品書の電子データは、電子帳簿保存法に則って正しく保存する必要があります。「電子帳簿保存法の要件が複雑で大変」「具体的な電子化の方法がわからない」といった課題を抱えている担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、納品書の電子化に必要な知識や具体的な方法、電子化によるメリット・デメリットをわかりやすく解説します。納品書を電子化する際のシステム選びのポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
- 納品書は電子化できる
- 納品書を電子化する方法
- 納品書を電子データで作成する
- 紙の納品書をスキャンする
- 電子化した納品書を保存する方法
- スキャナ保存の要件に沿って保存する
- 送受信した納品書を電子データのまま保存する
- 電子データを印刷して保存することは認められていない
- 納品書を電子化するメリット
- 業務効率化が図れる
- コストを削減できる
- 過去の納品書を見つけやすくなる
- 紛失リスクを低減できる
- リモートワークを推進できる
- セキュリティを強化できる
- 納品書を電子化するデメリット
- システムの導入・運用にコストがかかる
- 完全な電子化は難しい
- 運用ルールを整備する必要があ
- 納品書を電子化する際のポイント
- 納品書の控えは一定期間保管する
- 適切なセキュリティ対策を行う
- 顧客の承諾を得て運用する
- 納品書を電子化し、事業の成長を加速しよう
- よくあるご質問
- 納品書は電子帳簿保存法の対象ですか?
- 納品書を電子化するにはどんな方法がありますか?
- 電子化した納品書を保存するにはどんな方法がありますか?
納品書は電子化できる
納品書は、商品やサービスの納品事実を証明する重要な書類です。法律上の発行義務はありませんが、日本では商習慣として広く使われており、税務上の証憑書類として一定期間の保存が義務付けられています。
以前は紙での保存が一般的でしたが、2022年1月の電子帳簿保存法改正により保存要件が大幅に緩和され、一定の条件を満たせば紙の納品書をよりスムーズに電子化して保存できるようになりました。
電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿・書類の電子データでの保存を認める法律のことで、下記の3つの保存区分があります。
- <電子帳簿保存法の3つの保存区分>
- ・電子帳簿等保存:パソコンなどで作成した、納品書の控えなどの帳簿・書類を保存する。対応は任意
- ・スキャナ保存:紙で受領、または作成した納品書などの書類をスキャンして保存する。対応は任意
- ・電子取引データ保存:電子データで送受信した納品書などの書類を電子データのまま保存する。対応は義務
なお2024年1月以降、メールやクラウドサービスなどを通じてやりとりした電子取引データは、電子データでの保存が原則として義務化されました。ただし、電子取引データ保存の要件にしたがって保存できないことについて、相応の理由があると所轄税務署長が認めた場合、要件を満たさない形での保存が認められる猶予措置が設けられています。
納品書を電子化する方法
納品書を電子化する方法は、主に下記の2つです。ここでは、それぞれの具体的な進め方や注意点について見ていきましょう。

納品書を電子データで作成する
納品書を最初から電子データで作成すると、スムーズに電子化できます。
ExcelやWordなどで作成し、PDF化する方法が手軽ですが、この方法では電子帳簿保存法の保存要件を満たすのに手間がかかります。この点を解消するには、電子帳簿保存法の保存要件に準拠した専用システムの利用がおすすめです。専用システムを利用すれば、保存要件に含まれる「タイムスタンプの付与」や訂正・削除の履歴を確認するための「バージョン管理」などが自動で行われるため、運用の負担を大幅に軽減できるでしょう。
紙の納品書をスキャンする
自社で作成した紙の納品書や、顧客から紙で受領した納品書をスキャナで読み取れば、電子データとして保存できます。
この方法を「スキャナ保存」と呼びますが、後述するとおり、スキャナ保存には複数の要件が定められています。2022年1月の電子帳簿保存法改正によって、税務署長への事前承認制度が廃止されるといった要件緩和がありましたが、依然として法令遵守は必須です。
なお、スキャン後の原本(紙)は、スキャンデータが要件を満たしていることを確認すれば、廃棄できます。
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電子化した納品書を保存する方法
電子化した納品書を保存する際には、電子帳簿保存法で定められた保存区分ごとの要件を正しく守る必要があります。ここでは、紙の納品書をスキャナで電子化した場合の保存方法、送受信した電子データの保存方法について解説します。
スキャナ保存の要件に沿って保存する
顧客から紙で受領した納品書を電子化する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件に沿って保存します。スキャナ保存の主な要件は下記のとおりです。
- <スキャナ保存の主な要件>
- ・解像度200dpi以上で読み取る
- ・赤・緑・青の階調が256階調以上のカラー画像で読み取る
- ・タイムスタンプを付与する
- ・検索機能を確保する など
上記のとおり、単に画像データを保存するだけでなく、解像度やタイムスタンプ、検索性の確保といった保存要件を満たす必要があります。そのため、これらの要件を確実に満たすことができるスキャナやシステムの利用が不可欠です。
送受信した納品書を電子データのまま保存する
自社から顧客へ納品書を電子データで送信した場合は、その控えを電子データのまま保存する必要があります。また、顧客から電子メールやクラウドサービスを通じて納品書を受領した場合も、電子データのまま保存しなくてはなりません。
これらは、電子帳簿保存法の「電子取引データ保存」に該当し、スキャナ保存と同様、同法の保存要件に沿った保存が求められます。具体的な要件は、下記のとおりです。
- <電子取引データ保存の要件>
- ・改ざん防止のための措置をとる
- ・保存データを確認するためのディスプレイやプリンターを備え付ける
- ・日付・金額・顧客名の3要素で検索できるようにする
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電子データを印刷して保存することは認められていない
納品書を電子データで送受信した場合、その納品書(控え)を紙で保存することは、原則として認められていません。
2023年12月31日までは、「電子取引データ保存が困難な事情がある」と納税地の所轄税務署長が認めた場合に限り、紙に出力して保存することが認められる「宥恕措置」がありました。しかし、2024年1月以降、電子取引データは電子データのまま適切に保存することが義務化されています。
ただし前述のとおり、電子取引データ保存の要件で保存できないことについて相応の理由があると所轄税務署長が認めた場合は、要件を満たさない形での保存が認められる猶予措置があります。
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納品書を電子化するメリット

納品書を電子化することには、複数のメリットがあります。主なメリットは下記のとおりです。
<納品書を電子化するメリット>
業務効率化が図れる
納品書を電子化することで、業務効率化が期待できます。納品書を紙で作成・送付する場合は、用紙を用意して手書きしたり、プリンターで印刷したりする手間が必要です。また、商品に同梱する際も、入れ間違いがないように十分注意する必要があります。
しかし、納品書を電子データで作成・送付すれば、このような一連の作業を省略可能です。また、電子データであれば送付後すぐに顧客に届くため、郵送作業によって生じるタイムラグも解消されるでしょう。
コストを削減できる
各種コストを削減できることも、納品書を電子化するメリットです。納品書を電子データで作成・送付すると、紙の場合には必要だった用紙代、インク代、郵送費(切手・封筒代)などが不要になります。
さらに、ファイリングや保管に必要なスペース、管理にかかる人件費も削減できます。記載内容に誤りがあり、再発行が必要になった場合も、追加の郵送費をかけずに迅速に対応可能です。
過去の納品書を見つけやすくなる
納品書を電子データで管理すると、過去に作成した書類を見つけやすくなります。
紙の納品書の場合は、過去の書類をまとめたファイルをひとつずつ棚から取り出して探さなくてはなりませんが、電子データではそのような作業は不要です。システム上で顧客名、日付、金額などを入力するだけで、目的のデータを見つけ出すことができます。
紛失リスクを低減できる
紛失のリスクが減る点も、納品書を電子化するメリットです。
紙の納品書は、気をつけてファイリングしていても、紛失や破損、汚損のリスクがあります。しかし、電子データで管理していれば、適切にバックアップをとることで安全に保護できます。クラウドサービスを利用していれば、万が一自社のシステムに障害が発生したときも、データが失われないため安心です。
リモートワークを推進できる
納品書の電子化は、リモートワークの推進を後押しします。
インターネット環境が適切に整備されていれば、オフィスに出社しなくても自宅や外出先から納品書の発行、管理、過去データの閲覧が行えます。「納品書への押印や発送作業のためだけに出社する」という非効率な状況を解消できるでしょう。
セキュリティを強化できる
納品書を電子化してデジタル管理することにより、情報の漏洩や改ざんに対するセキュリティを強化できます。
紙の納品書は、鍵付きのキャビネットなどに保管しない限り誰でも閲覧できますし、持ち出しも容易です。しかし、電子化してアクセス権限の設定やパスワード付与をすることにより、関係者以外の閲覧を制限できます。また、電子帳簿保存法の要件に沿ったシステム運用を行えば、修正履歴が残るため、不正な改ざんの抑止にもつながるでしょう。
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納品書を電子化するデメリット
納品書の電子化には多くのメリットがある一方、注意すべきデメリットも存在します。ここでは、納品書を電子化するデメリットについて見ていきましょう。
<納品書を電子化するデメリット>
システムの導入・運用にコストがかかる
納品書を電子化すると、システムの導入・運用などに一定のコストがかかります。納品書の発行ができるシステムの利用料は、サービスによって異なります。システムを導入する際は、それぞれのサービスによって得られるメリットが、コストに見合うかどうかを踏まえて検討することが大切です。
なお、ExcelやWordによって作成した納品書をPDF化してメールに添付する方法なら、システムの導入コストがかかりません。しかし、電子帳簿保存法の電子取引の要件を満たす形で保存する必要があるため、社内で対応できるかどうかを確認しておくことが重要です。
完全な電子化は難しい
納品書を完全に電子化することは困難である可能性があります。自社が電子化を推進しても、すべての取引において即座に電子化できるとは限りません。顧客の中には、従来どおり紙でのやりとりを希望する事業者が残る可能性があるためです。また、出荷業務のプロセス上、現物に納品書を同梱する運用が定着している場合もあり、社内外の調整には一定の時間がかかります。
納品書の完全電子化ができない場合、電子データとして発行する納品書と、紙の納品書が混在することになります。管理に手間がかかるおそれもあるため、業務フローや納品書の控えの管理方法などについて改めて確認が必要です。
運用ルールを整備する必要がある
納品書を電子化する際は、運用ルールを整備する必要があります。
電子帳簿保存法に沿った適切な保管を徹底するには、社内のガバナンスを整えなくてはなりません。「誰が、いつ、どのようにデータを保存・管理するのか」といった具体的な運用ルールを策定し、関係部署や担当者に周知徹底させる必要があるでしょう。
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納品書を電子化する際のポイント

納品書の電子化をスムーズに進めるには、どのようなポイントを押さえればよいのでしょうか。ここでは、納品書を電子化する際の3つのポイントについて解説します。
<納品書を電子化する際のポイント>
納品書の控えは一定期間保管する
納品書を電子データで発行した場合、その控えを法令で定められた期間にわたって適切に保管しなければなりません。
保管期間は、法人の場合は原則として7年間です。個人事業主の場合は、青色申告・白色申告のどちらの場合も5年間の保管が義務付けられています。納品書を電子化すると物理的な保管スペースは不要になりますが、期間内はいつでも取り出せる状態でデータを保持しておく必要があります。
※納品書の保管期間の詳細は下記の記事もご覧ください。
適切なセキュリティ対策を行う
納品書を電子化すると、保管スペースを設け、鍵付きキャビネットに入れるといった手間は不要になりますが、不正アクセスや不正コピーを防ぐセキュリティ対策が求められます。
特定の担当者のみがアクセスできるよう権限を付与したり、いつ誰がデータを閲覧したかを記録できる「アクセスログ」の確認機能を持つシステムを導入したりする対策が不可欠です。
顧客の承諾を得て運用する
納品書を電子化できたとしても、顧客の承諾なしに運用を変更するのは避けるべきです。
顧客によっては、社内規程やシステムの都合上、どうしても紙での納品書発行を継続してほしいと希望されるケースもあります。その場合は、自社のルールを押し通すのではなく、移行期間を設けたり紙での発行も並行したりするなど、柔軟な対応を心掛けることが大切です。
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納品書を電子化し、事業の成長を加速しよう
納品書を電子化すると、業務効率化やコストの軽減、過去の納品書の検索性向上といった、多くのメリットが得られます。納品書や請求書などの電子化を始めたい場合は、『BtoBプラットフォーム 請求書』をご検討ください。請求関連の書類発行だけでなく、請求書の受取業務にも対応可能です。
また、受け取った納品書や、発行した納品書の控えを電子帳簿保存法に対応した形式で保存するなら、『BP Storage』の利用が便利です。あらゆる国税関係書類を電子帳簿保存法に対応した形式で保存できます。
さらに、発注から納品、請求までを一貫してデジタル化するなら、受発注プラットフォーム『BtoBプラットフォーム TRADE』がおすすめです。受発注業務をまとめてデジタル化することで、効率良くやりとりを完了できます。電子帳簿保存法に適切に対応し、生産性の高い業務へとシフトするために、納品書の電子化を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
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よくあるご質問
Q. 納品書は電子帳簿保存法の対象ですか?
納品書は税務上の証憑書類であり、電子帳簿保存法の対象となります。同法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分が定められています。特に、メールやクラウドなどで送受信した電子取引データは、原則として電子データのまま保存することが義務付けられています。詳細は「納品書は電子化できる」をご覧ください。
Q. 納品書を電子化するにはどんな方法がありますか?
主に2つの方法があります。1つ目は、最初からExcelやWord、あるいは専用システムを使って納品書を電子データで作成する方法です。2つ目は、紙で作成・受領した納品書をスキャナで読み取る「スキャナ保存」です。法令の保存要件を満たしやすくするため、専用システムの利用が推奨されます。詳細は「納品書を電子化する方法」をご覧ください。
Q. 電子化した納品書を保存するにはどんな方法がありますか?
電子化の経緯により保存方法が異なります。紙の納品書をスキャンした場合は、一定の解像度やタイムスタンプの付与といった「スキャナ保存」の要件に従って保存します。一方、電子データで送受信した場合は、改ざん防止措置や検索機能の確保など「電子取引データ保存」の要件に沿ってデータのまま保存します。詳細は「電子化した納品書を保存する方法」をご覧ください。
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監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士