最終更新日:2023年8月31日
2023年10月1日から、いよいよインボイス制度が開始されます。これに伴い、企業は請求書や領収書の様式変更、処理方法の見直しが必須となります。会計・経理システムの改修や新規導入にかかるコスト増に頭を悩ませている方も少なくないのではないでしょうか。そこで今回は、インボイス制度導入に際して利用できる補助金制度について解説します。補助金を活用して、インボイス制度導入の負担を軽減しましょう。
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目次
- インボイス制度の概要
- インボイス制度で利用できる補助金の種類
- 小規模事業者持続化補助金
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 補助金を受給する際の注意点
- 必要な機器を明確にする
- 事前に申込期限を確認しておく
- あらかじめ補助要件を確認しておく
- 補助金は課税対象になる
- 補助金を活用してインボイス制度のスムーズな対応を目指そう
インボイス制度の概要
インボイス制度とは、2023年10月1日から導入される「適格請求書等保存方式」の通称です。インボイス制度導入後は、適格請求書(インボイス)以外の請求書による仕入税額控除が受けられなくなります。また、適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者の登録をした事業者のみです。
インボイス制度の導入後は、請求書の発行や消費税の申告方法が変わります。制度に対応した会計・受注システムへの改修もしくは新規導入が必要になるでしょう。また、免税事業者が適格請求書発行事業者になる場合は、新たに消費税の申告と納税が発生します。
これらへの対応には一定のコストがかかり、費用負担が増加すると考えられます。インボイス制度に対応するための補助金を活用することが大切です。
※インボイス制度の詳細については「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法」をご覧ください。
インボイス制度で利用できる補助金の種類
インボイス制度で利用できる主な補助金は「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「ものづくり補助金」の3つです。
ここでは、それぞれの補助金について、補助額や補助率、対象経費、対象者などを解説します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、持続的な経営のために一定の取り組みを行う小規模事業者向けの補助金です。インボイス枠として、インボイス制度に適応する小規模事業者向けの補助金加算制度が用意されています。
1. 補助額と補助率
持続化補助金の上限額は下記のとおりです。
<小規模事業者持続化補助金の上限額>
・通常枠:50万円
・特別枠のうちインボイス枠以外:200万円
・特別枠のうちインボイス枠:100万円
小規模事業者が小規模事業者持続化補助金の対象になる事業を行うと、その経費の一部が補助金として補助されます。このとき、小規模事業者持続化補助金の補助率は原則的に経費総額の3分の2で、赤字事業者の場合のみ4分の3となりますが、補助率を4分の3に引き上げる場合は、賃金引き上げ枠と赤字事業者の要件を満たす必要があります。
例えば、50万円の経費を使った場合は、その3分の2の金額である約33万円を補助金として受け取ることが可能です。
■小規模事業者持続化補助金の補助額と補助率
|
通常枠 |
特別枠 |
||||
賃金引上げ枠 |
卒業枠 |
後継者支援枠 |
創業枠 |
インボイス枠 |
||
補助金上限額 |
50万円 |
200万円 |
100万円 |
|||
補助率 |
3分の2 |
3分の2 |
3分の2 |
小規模事業者持続化補助金の対象となる経費は、下記のとおりです。
<小規模事業者持続化補助金の対象となる経費>
・機械装置等費
・広報費
・ウェブサイト関連費
・展示会等出展費
・旅費
・開発費
・資料購入費
・雑役務費
・借料
・設備処分費
・委託・外注費
たとえば、システム開発のための費用や試作品を作成するための費用、インボイス制度に対応するための専門家への相談費用などが、小規模事業者持続化補助金の対象になります。
3. 補助金の対象者
小規模事業者持続化補助金の対象者は、下記をすべて満たす法人、個人事業主、特定非営利活動法人です。
<小規模事業者持続化補助金受給の対象となる条件>
・2021年9月30日から2023年9月30日までの間に一度でも免税事業者だったことがある
・適格請求書発行事業者の登録をしている
・補助事業終了時点でも適格請求書発行事業者である
・常時使用する従業員の数が一定以下である(商業・サービス業の場合は常時使用する従業員の数が5人以下、その他の場合は従業員の数が20人以下)
・資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接的に100%の株式を保有されていないこと
・直近3年間の課税所得の平均額が15億円以下である
・事業の交付規定で定める様式に沿った報告書の提出を補助金申請までに行った事業者である
・「卒業枠」を利用したことがない事業者である

IT導入補助金
IT導入補助金は、事業者が自社の課題解決につながるITツールを導入する際に、費用の一部が補助される制度です。IT導入補助金にはいくつかの種類がありますが、インボイス対応も見据えたデジタル化を推進する「デジタル化基盤導入類型」と「商流一括インボイス対応類型」が、インボイスに関連する補助金です。1. 補助額
IT導入補助金の補助上限額は、対象経費ごとに定められています。
デジタル化基盤導入類型と商流一括インボイス対応類型のIT導入補助金の補助上限額は、それぞれ下記のとおりです。
■デジタル化基盤導入類型のIT導入補助金の補助上限額
導入ツール | 補助上限額 |
会計・受発注・決済・ECソフト | 350万円 |
PC等 | 10万円 |
レジ等 | 20万円 |
■商流一括インボイス対応類型のIT導入補助金の補助上限額
導入ツール | 補助上限額 |
受発注ソフト | 350万円 |
2. 補助率
IT導入補助金の補助率は、対象経費と種類、企業規模ごとに定められています。
デジタル化基盤導入類型と商流一括インボイス対応類型のIT導入補助金の補助率は、それぞれ下記のとおりです。
■デジタル化基盤導入類型のIT導入補助金の補助率
導入ツール | 補助率 |
会計・受発注・決済・ECソフト(50万円未満) | ツール価格の4分の3以内 |
会計・受発注・決済・ECソフト(50万円以上350万円以内) | ツール価格の3分の2以内 |
PC等 | ツール価格の2分の1以内 |
レジ等 | ツール価格の2分の1以内 |
■商流一括インボイス対応類型のIT導入補助金の補助率
事業者 | 補助率 |
大企業等 | ツール価格の2分の1以内 |
中小企業・小規模事業者等 | ツール価格の3分の2以内 |
3. 補助金の対象となる経費
IT導入補助金の対象となる経費は、デジタル化基盤導入類型の場合、ソフトウェア購入費、最大2年分のクラウド利用費、ハードウェア購入費、導入関連費(保守サポートの費用を含む)などです。また、商流一括インボイス対応類型の場合は、取引相手の中小企業等が無償利用できるツールを導入するときのみ、最大2年分のクラウド利用費が補助対象となります。
4. 補助金の対象者
IT導入補助金の対象者は、事業者の規模ごとに定められています。
IT導入補助金の対象者は、小規模事業者の場合と中小企業の場合で、それぞれ下記のとおりです。
■IT導入補助金の対象者(小規模事業者の場合)
業界 | 常時使用する従業員の数 |
製造業、建設業、運輸業 | 5人以下 |
卸売業 | 20人以下 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 20人以下 |
■IT導入補助金の対象者(中小企業の場合)
業界 | 資本金の額(上限) | 常勤従業員数(上限) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
また、商流一括インボイス対応類型のIT導入補助金のみ、上記の小規模事業者と中小企業の表内の条件にあてはまらない大企業も受給の対象となります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり直面する制度変更に対応し、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金のことです。IT導入補助金と同じく、個人事業主を含む多くの事業者が補助対象ですが、業種ごとに資本金と従業員数の条件が異なります。
1. 補助額
ものづくり補助金の補助上限額は、事業者の従業員数ごとに定められています。
具体的な補助上限額は、それぞれ下記のとおりです。
■ものづくり補助金の補助上限額
従業員数 | 補助上限額 |
5人以下 | 750万円 |
6~20人 | 1,000万円 |
21人以上 | 1,250万円 |
2. 補助率
ものづくり補助金の補助率は、従業員規模にかかわらず一律3分の2以内です。ただし、対象経費によって補助率が異なる場合があります。
3. 補助金の対象となる経費
ものづくり補助金の対象となる経費は下記のとおりです。
<ものづくり補助金の対象となる経費>
・機械装置・システム構築費
・技術導入費(補助対象経費総額の3分の1まで)
・専門家経費(補助対象経費総額の2分の1まで)
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費(補助対象経費総額の2分の1まで)
・知的財産権等関連経費(補助対象経費総額の3分の1まで)
4. 補助金の対象者
ものづくり補助金の対象者は、主に中小企業と小規模事業者です。補助の対象になるか否かは、資本金や従業員数などから判断されます。
補助対象となる小規模事業者は、常勤従業員数で定義されています。その人数は製造業その他業種・宿泊業・娯楽業の場合は20人以下、卸売業・小売業・サービス業では5人以下の、会社または個人事業主です。
また、補助対象となる中小企業者は、資本金又は常勤の従業員数が下記の表の数字以下となる会社または個人です。
■ものづくり補助金の補助対象となる中小企業者
業種・組織形態 | 資本金 | 常勤従業員数 |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤ、チューブ製造業 、工業用ベルト製造業を除く) |
3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業、または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
その他の業種(上記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
補助金を受給する際の注意点
補助金を受給する際は、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。ここでは、補助金を受給する際の4つの注意点について説明します。

必要な機器を明確にする
補助金を受給する際は、あらかじめ必要な機器を明確にしておくことが大切です。補助金は、事業に必要な支出に対して支給されます。まずは、インボイス制度に対応するために何が必要か、いくら必要なのかを明確にしましょう。そうすれば、おのずと適した補助金がどれなのかも判断できるはずです。
事前に申込期限を確認しておく
補助金を受給したい場合は、事前に申込み期限を確認しておきましょう。それぞれの補助金には、申込み期限が決まっています。期限を過ぎると、次の募集時期まで待たなければいけません。事前にスケジュールを確認し、申請に間に合うように手続きを進めることが大切です。予想外のトラブルが発生することもあるため、余裕を持って準備を始めてください。
あらかじめ補助要件を確認しておく
補助金を受給する際には、必ずあらかじめ補助要件を確認しておきましょう。補助金の種類により、それぞれ補助要件は異なります。また、要件は適宜見直しが行われます。それぞれの補助金を交付している団体のWebサイトなどで最新情報を確認し、要件を満たせるかどうか検討しておくことが大切です。
補助金は課税対象になる
補助金を受給する際に注意しておきたいこととしては、補助金は課税対象になるという点が挙げられます。
補助金は収益扱いとなるため、所得税や法人税の対象となります。結果的に、補助金の対象となる経費から補助金を控除した残額が所得税や法人税の経費となる点には注意が必要です。
補助金を活用してインボイス制度のスムーズな対応を目指そう
インボイス制度に対応するには、請求書や領収書の様式が適格請求書に合わなければなりません。多くの場合、既存の会計、受注システムの改修もしくは新規購入が必要になります。しかし、多くの中小企業や小規模事業者にとって、システムの入れ替えに伴う支出は大きな負担になるでしょう。中小企業や小規模事業者が利用できる補助金を活用して、できるだけ負担を抑えることが大切です。
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監修者プロフィール

宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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