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区分記載請求書等保存方式とは? 「区分記載請求書」と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の違い

2019年に導入された「軽減税率」により、消費税率が8%と10%に分類されました。それに伴いこれまでの「請求書等保存方式」から変更されたのが、「区分記載請求書等保存方式」です。消費税率の異なる品目ごとに請求や経理の方法が変わるため、戸惑っている人も多いのではないでしょうか。 また「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」との違いや、関連性についての理解にも混乱が見られます。ここでは「区分記載請求書等保存方式」についての情報をわかりやすく整理しながら、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」との違いを解説します。

区分記載請求書等保存方式とは? 「区分記載請求書」と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の違い

最終更新日:2021年11月10日

目次

「区分記載請求書等保存方式」とは?

「区分記載請求書等保存方式」とは、軽減税率制度導入に伴う請求書の形式や経理方式の変更を適用した制度です。「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が始まるまでの4年間の経過措置となります。最初にその概要と新たに追加された記載事項について解説しましょう。

「区分記載請求書等保存方式」の概要

「区分記載請求書等保存方式」では軽減税率制度導入に合わせ、請求書記載および経理の方式の変更がなされています。軽減税率の適用品目といった消費税率が、複数存在するためです。

適用期間は 2019年10月1日から2023年9月30日までで、2023年10月1日から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」適用まで、4年間の経過措置期間として置かれます。

基本、従来の「請求書等保存方式」の形式を維持するものの、軽減税率の適用対象となる商品の仕入れと適用対象外の仕入れ区分を明確にする必要があります。そのため記載事項を追加した帳簿および請求書などの保存が要件にくわえられました。

「区分記載請求書等保存方式」で追加される記載事項

「請求書等保存方式」と「区分記載請求書等保存方式」の項目には、以下のような違いがあります。

軽減税率制度導入前の「請求書等保存方式」は、下記のとおりです。
・発行側の企業名や氏名
・取引年月日
・内訳
・金額
・宛名

「区分記載請求書等保存方式」での記載事項は、下記のとおりです。
・発行側の企業名や氏名
・取引年月日
・内訳
・金額
・宛名
・軽減税率対象商品の旨(追加された項目)
・税率ごとに対価した額(追加された項目)

軽減税率対象商品には「※」「〇」などの記号を使い、軽減税率の対象となる品目ならびに対象とならない品目、それぞれに明確な区別をつけます。

また軽減税率8%対象商品に対する請求額と、消費税10%対象商品に対する請求額は区別して記載するのです。消費税率ごとの品目での合計金額の記載も必要となります。

「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の違い

2023年10月1日から導入される「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」とはどのようなものなのでしょうか。「区分記載請求書等保存方式」との相違点を確認します。

2023年10月に開始の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」とは?

「適格請求書等保存方式」は通称「インボイス制度」と呼ばれます。

「適格請求書」とは、正確な適用税率や消費税額を受け取り側に伝えるための手段です。たとえば請求書や納品書、領収書、レシートなどが該当します。

「適格請求書」が発行できるのは、適格請求書発行事業者の登録をした個人事業主や法人のみとなります。登録していないと「適格請求書」を扱えません。現在、適格請求書発行事業者の登録を受けられるのは課税事業者のみとされています。

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」で受け取り側が仕入税額控除をするには、発行側から適格請求書を受け取らなくてはなりません。よって取引関係に多大な影響がおよぶ可能性も高いでしょう。

受け取り側から適格請求書の交付を求められた際、応じられない発行側は取引を避けられる可能性もあります。適格請求書発行事業者の登録は2021年10月から開始しており、これまでは非課税事業者だったとしても課税事業者として登録可能になります。ただし登録後は、消費税の申告と納税の義務が生じる点に留意する必要があります。

※「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の詳細は以下をご覧ください。
インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法

「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式」の具体的な違い

「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」では、先にあげた「区分記載請求書」の記載項目にプラスして以下の2項目が必要となります。ただし「区分記載請求書等保存方式」の期間内は適用されません。
1. 適格請求書発行事業者の登録番号
2. 税率ごとの消費税額および適用税率

2023年10月以降は、先に述べたとおり取引先が適格請求書を発行しない場合、受け取り側は仕入税額控除ができなくなります。適格請求書には上記2点の記載が必須とされるため、留意しなければなりません。

「区分記載請求書等保存方式」への対応と実施義務について

「区分記載請求書等保存方式」への具体的な対応と、実施義務・罰則について解説しましょう。

「区分記載請求書等保存方式」への対応

「区分記載請求書等保存方式」は消費税が複数ある場合、それを明らかにするための制度です。そのため取扱品目に軽減税率の対象品目がない場合、対応は不要となります。軽減税率対象品目の扱いがある場合で、仕入税額控除を受けるためには以下の対応が求められるのです。
発行側:「請求書等の記載事項の変更(軽減税率対象商品の旨・税率ごとに対価した額を追記)」
受領側:「区分経理に対応した帳簿の作成と、品目の税率・税額の明記」「上記で作成した帳簿や取引先が発行した区分記載請求書の保存」

受領した請求書に「軽減税率の対象品目である旨」や「軽減税率と標準税率それぞれの合計対価額」が記載されていない場合、受け取り側でそれぞれの項目を追記できます。

※軽減税率制度の詳細は以下をご覧ください。
軽減税率はいつまで?経理担当者が知っておくべき請求書の処理方法

「区分記載請求書等保存方式」は義務?

税率区分を記載した請求書の発行は義務でなく、任意です。受け取り側と発行側、両者に合意があれば発行しなくても問題ありません。ただし受け取り側から請求書の発行を要求された場合、発行側には請求書を発行する義務が生じます。

また「区分記載請求書等保存方式」では、「3万円未満(税込み)の課税仕入れ」および「請求書等の交付を受けなかった点に対してやむを得ない理由がある」場合、請求書といった書類がなくても一定の事項が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除が認められるのです。

やむを得ない理由となるのは、再交付の依頼に応じてもらえなかった場合といった客観性のある事情によります。「区分記載請求書」の内容に従って、経理処理も「区分経理」が必要です。仕入税額控除を受けるためには、区分経理に従った帳簿の作成・請求書の保存が条件となります。

「区分記載請求書等保存方式」は移行までの暫定措置

「区分記載請求書等保存方式」は次制度へ移行するまでの暫定措置で、適用期間は 2019年10月1日から2023年9月30日までです。10月1日以降は適格請求書発行事業者の登録番号などの記載が必要となる「適格請求書等保存方式」が適用されます。

「区分記載請求書等保存方式」では軽減税率制度導入前の「請求書等保存方式」へ追加項目の記載が求められるため、請求書の仕様を変更するといった対応が必要になるでしょう。いずれの側の事業者でも現行の「区分記載請求書等保存方式」と、その後の「適格請求書等保存方式」双方への十分な理解が必要です。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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