最終更新日:2025年1月21日
「区分記載請求書等保存方式」は、2019年にスタートした「軽減税率」に伴い導入されていた制度です。8%と10%、複数の消費税率に対応した帳簿や請求書(区分記載請求書)などを保存する方法で、インボイス制度がはじまるまでの暫定的な措置として適用されていました。ここでは「区分記載請求書」とは何か、また、「区分記載請求書等保存方式」と、現在実施されている「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」との違いを解説します。あわせて、税制改正に対応しながら請求書業務も効率化できる、クラウド型電子請求書システムのメリットも紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』で請求書の発行も受取もデジタル化!
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目次
- 「区分記載請求書等保存方式」とは?
- 「区分記載請求書等保存方式」の概要
- 「区分記載請求書等保存方式」は2023年9月30日に撤廃
- 「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の違い
- 「区分記載請求書」より詳細な記載要件が求められる「適格請求書(インボイス)」
- 「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式」の具体的な違い
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 適用税率
- 税率ごとの消費税額
- インボイス制度の免税事業者からの仕入れに関する経過措置
- 3 万円未満の少額取引は、一部特例あり
- 税制改正に対応するには請求書のデジタル化が有効
- よくある質問
「区分記載請求書等保存方式」とは?
「区分記載請求書等保存方式」とは、軽減税率制度導入に伴う請求書の形式や経理方式の変更を適用した制度です。「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が始まるまでの4年間、2019年10月1日から2023年9月30日まで適用されていました。
「区分記載請求書等保存方式」に基づき、「軽減税率の対象品目である旨」と「税率ごとに区分して合計した対価の額 (税込)」を記載した請求書等が「区分記載請求書」です。請求書だけでなく、納品書や領収書も区分記載請求書等に含まれます。
「区分記載請求書等保存方式」の概要
「区分記載請求書等保存方式」では軽減税率制度導入に合わせ、請求書記載および経理の方式の変更がなされました。軽減税率の適用品目と対象外の品目、複数の消費税率が存在するためです。
2019年10月1日から消費税率が8%から10%に引きあげられると同時に、飲食料品や一定の新聞など特定の品目を対象に、軽減税率制度がはじまりました。
消費税率が軽減税率(8%)と標準税率(10%)と複数税率になったため、事業者が消費税等の申告等で本則課税による仕入税額控除を受けるためには、取引等を税率ごとに区分して記帳するなどの経理(区分経理)を実施する必要が生じました。
具体的には、軽減税率導入以前に適用されていた請求書等に追加で、「軽減税率対象品目である旨」と「税率ごとに合計した対価の額(税込)」を記載したものが「区分記載請求書」です。
「区分記載請求書等保存方式」は2023年9月30日に原則撤廃
2023年10月1日から、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」がスタートしました。これに伴い、区分記載請求書保存方式は2023年9月30日をもって原則としては廃止となりました。受け取り側が仕入税額控除を受けるには、請求書や納品書、領収書、レシートなどは「区分記載請求書」ではなく、「適格請求書(インボイス)」の要件を満たす必要があります。
ただし、免税事業者からの仕入による経過措置を受ける場合は、現在でもこの区分記載請求書が必要です。
「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の違い
2023年10月1日から適用されている「適格請求書保存方式(インボイス制度)では、正確な適用税率や消費税額を受け取り側に伝えるための手段として「適格請求書(インボイス)」の交付が求められています。
「適格請求書」が発行できるのは、適格請求書発行事業者の登録をした個人事業主や法人のみとなります。登録していないと「適格請求書」を発行できません。なお、適格請求書発行事業者の登録を受けられるのは課税事業者のみとされています。
※適格請求書等保存方式(インボイス制度) の詳細については下記記事をご覧ください。「区分記載請求書」より詳細な記載要件が求められる「適格請求書(インボイス)」
「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」で受取側(買い手)が消費税の本則課税による仕入税額控除の適用をうけるには、発行側(売り手)が交付した「適格請求書(インボイス)」の保存が必須です。「適格請求書(インボイス)」は、「区分記載請求書」の記載項目に加え、新たな記載要件が定められています。
「区分記載請求書等保存方式」と「適格請求書等保存方式」の具体的な違い
「適格請求書(インボイス)に必要な記載項目は以下のとおりです。下線の項目が、「区分記載請求書」の記載項目に追加される事項です。
1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称および登録番号
2. 取引年月日
3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)および適用税率
5. 税率ごとに区分した消費税額等
6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
引用:適格請求書等保存方式の概要|国税庁(PDF)
適格請求書発行事業者の登録番号
「適格請求書」を発行できるのは、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を申請して登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)のみです。登録番号は、法人番号を有する課税事業者の場合は「T+法人番号」、個人事業者や人格のない社団などは「T+13桁の数字」で、構成されます。
適用税率
請求書に記載されたすべての金額のうち、消費税率10%のものの合計金額と8%のものの合計金額をそれぞれ記載します。
例:10%対象 100,000円
8%対象 50,000円
税率ごとの消費税額
前述した税率ごとに区分して合計した対価の額に対する、それぞれの消費税額を記載します。
例:消費税(10%)10,000円
消費税(8%)4,000円
※税率ごとに区分した消費税額で1円未満の端数が生じる場合、品目ごとの消費税額の合算ではなく、全体の合計(税抜または税込)から消費税額を計算し、「切り上げ」「切り捨て」「四捨五入」など任意の方法で消費税額を決定します。
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インボイス制度の免税事業者からの仕入れに関する経過措置
インボイス制度の実施後は、免税事業者や消費者など、適格請求書発行事業者以外から行った課税仕入れは、消費税額の仕入控除が適用されません。ただし、制度導入後6年間は、仕入税額の一定割合を控除できるようになっています。
具体的な期間と控除の割合は次のとおりです。
・2023年10月1日~2026年9月30日 80%
・2026年10月1日~2029年9月30日 50%
免税事業者はこの間に、課税事業者への転換の要否を見極めながら対応を検討することになります。免税事業者とは、消費税の課税期間にかかる基準期間(※)における課税売上高が1,000万円以下の事業者等です。
※ 基準期間とは、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度
※猶予措置の詳細については下記記事をご覧ください。『BtoBプラットフォーム 請求書』で請求書の発行も受取もデジタル化!
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3 万円未満の少額取引は、一部特例あり
2023年9月30日までは、3万円未満の少額取引は領収書やレシートがなくても帳簿に必要事項が記載されていれば消費税の仕入税額控除が認められていました。インボイス制度導入後、適格請求書発行事業者は、金額にかかわらず「適格請求書(インボイス)」を発行しなければなりません。
ただし、以下のような場合は事業の性質上、適格請求書の交付が困難なため、「適格請求書(インボイス)」の交付義務が免除されます。
・3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
・出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行う場合のみ)
・生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行う場合のみ)
・3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
・郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
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税制改正に対応するには請求書のデジタル化が有効
「区分記載請求書等保存方式」とは、軽減税率制度導入から「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」が始まるまでの4年間に適用された暫定的な運用方法でした。軽減税率の導入や消費税率の変更、またインボイス制度導入など、経理にかかわる法制度はたびたび見直しが行われ、そのたびに大きな改修や対応に迫られてきました。今後も実施されるであろう法改正へ対応していくには、業務に非効率なフローやアナログな部分が残ったままでは限界があります。経理部門に負担をかけず法改正に対応するには請求書業務のシステム導入が有効です。クラウド型のサービスなら、法改正への対応はベンダー企業に任せることができ、業務負担を軽減できます。「BtoBプラットフォーム 請求書」は、請求書をデジタルデータで発行・受取できるクラウド型の電子請求書サービスです。軽減税率制度に伴う「区分記載請求書等保存方式」に対応していたのはもちろん、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」にも対応しており、法令改正があった際も柔軟に対応ができます。電子帳簿保存法にも対応していますので、サービスを利用すれば簡単に請求書業務をデジタル化し、システム上で一元管理すれば経理業務全般の効率化も実現します。法令対応をきっかけに、システム導入による業務のデジタル化を検討してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
Q.区分記載請求書では、消費税の仕入れ税額控除を受けることはできませんか?
A.区分記載請求書は2023年9月30日以降はインボイスとして認められないため、消費税の仕入税額控除を受けることができません。 本則課税による消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、法定事項が記載された帳簿および請求書等(適格請求書、適格簡易請求書のほか、仕入明細書等やそれらの電磁的記録)の保存要件に対応している必要があります。ただし、免税事業者からの仕入の経過措置を受けるためには区分記載請求書が必要です。Q.簡易課税事業者も、適格請求書(インボイス)の発行が必要ですか?
A.簡易課税制度を選択している事業者が請求書の発行側(売り手)で、取引先が課税事業者で本則課税の場合、取引先が消費税の仕入税額控除の適用を受けるには、適格請求書の発行および、発行するための適格請求書発行事業者の登録が必要です。受取側(買い手)の場合、適格請求書(インボイス)の受取や保管は不要です。Q.適格請求書(インボイス)を交付できない免税事業者等は、引き続き区分記載請求書を発行できますか?
A.適格請求書発行事業者に登録していない事業者は、引き続き区分記載請求書を発行することができます。監修者プロフィール

宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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