最終更新日:2024年12月4日
2019年10月に軽減税率制度が導入されたことで、現在の消費税率は10%と8%の2つになりました。そのため、請求書を記載する際にも、消費税率が何%なのかを明記しなければなりません。特に、2023年10月にスタートした適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応した請求書では、消費税率の記載方法が明確に規定されています。消費税率を正しく記載できるように、記載項目や書き方を知っておく必要があるでしょう。
そこで今回は、サンプルを交えながら請求書の書き方をわかりやすく解説していきます。請求書を作成するときはもちろん、受け取った請求書の記載項目に問題がないかを確認する際にも役立つため、正しい知識を身に付けておくことが大切です。
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目次
- 軽減税率制度とは、特定の品目について消費税を軽減する制度のこと
- 軽減税率制度の対象となる品目一覧
- 軽減税率制度・インボイス制度の導入による請求書の変更点
- 請求書等保存方式から区分記載請求書等保存方式に変更
- 区分記載請求書等保存方式から適格請求書等保存方式に変更
- 軽減税率対応の請求書に必要な記載項目
- 軽減税率制度に対応した請求書の記載例
- 区分記載請求書等保存方式の請求書サンプル
- 適格請求書等保存方式の請求書サンプル
- 軽減税率対応の請求書を作成する際に確認すべきこと
- 発行する請求書の方式を確認する
- 自社の取り扱い品目が軽減税率の対象になるか確認する
- 取り扱い商材すべてについて税率区分を登録する
- 軽減税率制度に対応する請求書の作成には、システムの導入がおすすめ
- よくある質問
軽減税率制度とは、特定の品目について消費税を軽減する制度のこと
軽減税率制度とは、特定の品目について消費税を通常よりも軽減する制度のことです。日本以外の諸外国でも導入されており、多くの場合は食料品に対する税率を引き下げることが多いでしょう。
日本の軽減税率制度は、2019年10月1日からの消費税増税に伴って導入されました。それまでは一律8%だった消費税率を10%に引き上げるにあたり、飲食料品や新聞など、一部の品目の消費税率を8%に据え置いています。
軽減税率制度導入の目的は、低所得者の消費税負担を軽減することです。食費は、誰もが必ず負担しなければならない支出ですが、所得が低いほどエンゲル係数は高くなります。そのため、食料品にかかる消費税率を抑えることで、低所得者の負担を抑える目的があるのです。
一方、軽減税率の導入によって、食料品などを扱う小売業や飲食業など、現場の業務負担は増しています。消費税が混在することで、軽減税率の対象商品とそれ以外を分けて計上しなければいけなくなりました。
課税売上高が1,000万円だったとしても、課税売上高にかかる消費税が10%の100万円とは限りません。それぞれの消費税率を記録し、正しい計算と納税を行う必要があります。同時に、請求書を発行する際も、各品物の消費税率が何%なのかを正しく明記する必要が出てきました。
なお、軽減税率は、現状期限を設けずに運用されている制度です。いつまで適用されるかは定かではありません。
軽減税率制度の対象となる品目一覧
では、具体的にどのような品目が軽減税率の対象となるのでしょうか。軽減税率の対象となる品目は、下記のとおりです。

出典:国税庁「よくわかる消費税軽減税率制度」
<軽減税率の対象品目例>
・飲食料品(食品表示法に規定する食品)
・テイクアウトや宅配サービスの食品
・学校給食や有料老人ホームの食事
・週2回以上発行される、定期購読契約が締結された新聞
一方、次の項目については、軽減税率の対象になりません。
<軽減税率の対象外の品目例>
・外食
・酒類
・ケータリング、出張料理(顧客の指定の場所に料理人が赴いて調理をするサービス)
・食品と食品以外のセット商品(税抜1万円以下で3分の2以上の価額が食品の場合は軽減税率の対象)
・医薬部外品や医薬品
同じスーパーの売場で販売されていても、オレンジジュースは軽減税率の対象で、ビールは対象ではありません。また、アイスクリームを購入して店内で飲食するか、テイクアウトして店の外で食べるかによっても税率が変わるので注意しましょう。
軽減税率制度・インボイス制度の導入による請求書の変更点
請求書の書き方や役割は、軽減税率制度の導入と適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入によって、大きく変化しました。
ここからは、それぞれの制度の導入によって、具体的に請求書がどのように変わったのかについて解説します。
請求書等保存方式から区分記載請求書等保存方式に変更
2019年10月に軽減税率制度が導入されるまで、請求書は「請求書等保存方式」が適用されていました。しかし、軽減税率制度導入に伴い、税率ごとに取引額を明記する「区分記載請求書等保存方式」に変更されています。
請求書等保存方式から区分記載請求書等保存方式へ変更されたことに伴い、帳簿や請求書に記載する項目も変更されました。
<区分記載請求書方式の適用で変わった点>
・帳簿:軽減税率の対象となる取引について、その旨がわかるように記載する
・請求書:従来の請求書の記載項目に加えて、軽減税率の対象となる取引であることを明示し、税率ごとに合計した対価の額を記載する
ただし、区分記載請求書の発行は、義務ではありません。記載項目に不足があった場合、受け取った事業者による追記によって対応が可能です。
区分記載請求書等保存方式から適格請求書等保存方式に変更
さらに、2023年10月に「適格請求書等保存方式」が導入されたことにより、事業者が仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の発行が必要になりました。
適格請求書には、区分記載請求書にはなかった下記のような特徴があります。
<適格請求書の特徴>
・適格請求書発行事業者のみが適格請求書を発行できる
・適格請求書発行事業者は、顧客から求められた場合、適格請求書を発行する義務がある
・適格請求書がないと、仕入税額控除を受けられない(2029年9月30日までの猶予措置あり)
・消費税の端数処理は、税率ごとに一度しかできない
・税率ごとに合計した対価の額は、税込で記載しても税抜で記載しても構わない
以上のような点から、適格請求書発行事業者以外と取引をする場合は、消費税の仕入税額控除が受けられなくなります。適格請求書発行事業者以外と取引をする場合、結果として納税額が高くなってしまうため注意が必要です。
なお、適格請求書発行事業者は、課税事業者しかなれません。免税事業者が適格請求書発行事業者になった場合、自動的に課税事業者になるため、仕入先などから適格請求書を受け取り、消費税の確定申告や納税を行う必要があります。ただし、簡易課税や2割特例の対象者は、これに限りません。
※適格請求書等保存方式(インボイス制度)の詳細については下記記事をご覧ください。
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軽減税率対応の請求書に必要な記載項目
ここからは、軽減税率制度に対応する請求書の方式である、区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式(インボイス制度)それぞれに必要な記載項目について解説します。区分記載請求書等保存方式と適格請求書等保存方式のそれぞれに必要な記載項目は、次のとおりです。
<区分記載請求書等保存方式に則った請求書の記載項目>
・書類作成者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率対象品目についてはその旨がわかる記載)
・取引金額
・税率ごとに区分した請求金額の合計
・書類の交付を受ける者の氏名または名称
取引内容の軽減税率対象品目については「軽減税率対象」などと個別に記載するか、「※」といった記号を併記し、欄外に「※は軽減税率対象」といった注釈を記載しましょう。
<適格請求書等保存方式に則った請求書の記載項目>
・書類作成者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容(軽減税率対象品目についてはその旨がわかる記載)
・取引金額
・税率ごとに区分した合計請求金額(税込または税別)
・税率ごとに区分した消費税額と適用税率
・書類の交付を受ける者の氏名または名称
・適格請求書発行事業者の登録番号
適格請求書発行事業者の登録番号は、適格請求書発行事業者に登録した際に通知される番号です。適格請求書発行事業者の登録を受けていない場合、登録番号の記載はできません。登録番号のない請求書は、それ以外の項目を満たしていても適格請求書とは認められず、仕入税額控除の対象にもならないので、注意してください。
ただし、2029年9月30日までであれば、必要項目を満たした請求書の発行や、必要項目を帳簿に記載することで、80%または50%の仕入税額控除を利用できる経過措置が設けられています。
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軽減税率制度に対応した請求書の記載例
続いては、区分記載請求書と適格請求書の記載例を紹介します。なお、区分記載請求書も適格請求書も、フォーマットに厳密な決まりはなく、必要な項目が網羅されていれば、どのようなデザインの請求書を利用しても構いません。形式も、紙で発行したものもデータとして発行したものも認められています。ただし、電子データの請求書は、電子帳簿保存法の決まりに則って保存する必要がある点には注意しましょう。
区分記載請求書等保存方式の請求書サンプル
区分記載請求書等保存方式に則った区分記載請求書の記載例は、下記のとおりです。■区分記載請求書のサンプル

出典:国税庁「VI 区分記載請求書等の記載方法等」
サンプルでは、食料品である「小麦粉」と「牛肉」の品名欄に「※」マークがつけられています。欄外に「※印は軽減税率対象商品」との記載があるとおり、これらは飲食料品に該当するため軽減税率の対象となり、消費税率が8%の商品です。
一方、キッチンペーパーは日用品のため、消費税率は10%の対象品目となります。なお、請求書には、税率ごとの合計金額を記載する必要があります。
区分記載請求書では、税率ごとに合計した取引金額を、税込で記載しなければなりません。また、合計額も税込で記載します。
適格請求書等保存方式の請求書サンプル
続いては、適格請求書等保存方式(インボイス制度)に則った、適格請求書の記載例を紹介します。■適格請求書のサンプル

出典:国税庁「4 適格請求書の記載事項」
適格請求書は、区分ごとの合計額と消費税額をそれぞれ記載する必要があります。合計額は、税込でも税抜でも構いません。ただし、請求書の上部に記載する請求金額については、税込で記載しましょう。
登録番号は、Tから始まる13桁の数字です。適格請求書発行事業者の登録が完了したことを知らせる通知に記載されています。
適格請求書を受け取った際は、必要な記載項目が満たされているかどうかと併せて、登録番号が有効かどうかを調べる必要があります。国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録番号を検索して、発行事業者名と一致するかチェックしてください。
※適格請求書等保存方式(インボイス制度)の登録の詳細については下記記事をご覧ください。
軽減税率対応の請求書を作成する際に確認すべきこと

適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されたことで、請求書関連の業務がより複雑化しました。続いては、軽減税率に対応した請求書を発行するにあたって、確認すべきことを紹介します。
発行する請求書の方式を確認する
軽減税率制度に対応するには、区分記載請求書か適格請求書を発行する必要があります。適格請求書発行事業者に登録した場合は、適格請求書を発行しましょう。適格請求書発行事業者ではない場合、区分記載請求書を発行します。自社の取り扱い品目が軽減税率の対象になるか確認する
自社が取り扱っている商材の中に、軽減税率の対象になる商品があるかどうかを確認しましょう。テイクアウトか店内飲食かでも取り扱いが異なるため、細かい確認が必要です。例えば、レストランなどの飲食店では、通常の飲食は軽減税率の対象にはなりません。しかし、レジ横に置かれた菓子類や自家製ドレッシング、持ち帰り用のケーキなどがある場合は軽減税率の対象になるため注意が必要です。
取り扱い商材すべてについて税率区分を登録する
軽減税率の対象になる取り扱い商材がある場合は、税率区分を明確にしておかなければなりません。すべての社員が同一の取り扱いができるよう、全取扱品目について税率区分を明確にしておきましょう。レジや請求書発行システムなどに、あらかじめ税率区分を登録しておくと間違いが起こりにくくなります。
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軽減税率の導入によって、請求書の書き方が変更されています。顧客とスムーズなやりとりをするためにも、正しく納税をするためにも、正しい請求書の書き方を身に付けましょう。とはいえ、適格請求書に対応した請求書の作成やチェックには、手間がかかります。できるだけ担当者の負担を減らし、ミスを軽減するためには、請求書発行システムの導入がおすすめです。
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よくある質問
Q. 軽減税率対象商品を請求書に記載するのは義務ですか?
適格請求書発行事業者は、軽減税率対象品目についてはその旨がわかる記載をした適格請求書を発行する必要があります。適格請求書発行事業者以外は、軽減税率対象商品を記載した区分記載請求書の発行は義務ではありません。記載項目に不足があった場合、受け取った事業者による追記によって対応が可能です。Q. 軽減税率対象品目の記載方法は?
適格請求書も区分記載請求書も、フォーマットに厳密な決まりはありませんが、適格請求書は、区分ごとの合計額と消費税額をそれぞれ記載する必要があります。合計額は、税込でも税抜でも構いません。区分記載請求書では、税率ごとに合計した取引金額を、税込で記載しなければなりません。また、合計額も税込で記載します。Q. 軽減税率の記載なしの請求書を受け取った場合はどうすれば良いですか?
軽減税率の記載なしの適格請求書を受け取った場合は、発行事業者に軽減税率を記載した適格請求書を再発行してもらう必要があります。区分記載請求書では記載項目に不足があった場合、受け取った事業者による追記によって対応が可能です。監修者プロフィール

宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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