最終更新日:2025年03月13日
気候変動対策が急務とされる中、日本においても政府は2030年までにCO₂を46%削減(2013年度比)の目標を立て、企業に「気候変動によるリスク情報」の開示義務化や、ESGデータの信憑性を確保するための体制整備を求めるなど、脱炭素対応を求める動きが加速しています。こうした背景から、企業が自社やサプライチェーン全体のCO₂排出量を把握・削減するための「見える化」が非常に重要視されています。特に中小企業から大企業までCO₂排出量を算定・分析できるサービスの導入が進み、データに基づいた脱炭素施策の経営改善までを支えています。インフォマートでは企業の脱炭素をテーマとしたイベント「Less is More. for 脱炭素」を2025年2月13日(木)に開催。第1回は「脱炭素を考える集い」と題し、ベンダー7社と環境省の東條様、一般社団法人ClimateIntegrate代表理事の平田様にご登壇いただきました。デジタル技術がビジネスと脱炭素をどのように繋ぎ、企業の競争力強化に貢献するかを探るとともに、脱炭素への取り組みの重要性や脱炭素時代に企業が取り組むべき課題、そしてその解決策を探求しました。
目次
- 企業に求められる脱炭素経営 環境省 脱炭素ビジネス推進室 東條 祐作 氏
- 1.気候変動を取り巻く状況と国の施策の方向性
- 2.地球温暖化対策計画の見直しについて
- 3.脱炭素経営と排出量算定について
- 4.中小企業向け脱炭素経営支援策について
- インフォマートが切り拓く脱炭素社会への道 株式会社インフォマート 市川 元樹
- Scope1〜3対応を簡単に!経理データ活用で業務工数を7割削減する方法とは?アスエネ株式会社 岩田 圭弘 氏
- CO₂排出量の算定から削減まで脱炭素経営をサポートする『invox炭素会計』株式会社invox 横井 朗 氏
- カーボンニュートラル業務の全貌と効率化に関して ウイングアーク1st株式会社 水嶋 健人 氏
- ゼロカーボン実現に向けた潮流と企業に求められること一般社団法人Climate Integrate 平田 仁子 氏
- CO₂排出量算定クラウドサービス”Sustana”のご紹介 株式会社三井住友銀行 清滝 悠 氏
- 脱炭素へのアクション:市場動向とZeroboardでできること株式会社ゼロボード 八木 順也 氏
- 会計データを活用してCO2排出量算出が、月1回わずか10分で完了! 株式会社ディエスジャパン 北條 陽子 氏
- 脱炭素経営を促進する請求業務のご相談はインフォマートまで
企業に求められる脱炭素経営 環境省 脱炭素ビジネス推進室 東條 祐作 氏
1.気候変動を取り巻く状況と国の施策の方向性
近年、地球温暖化に伴う災害の激甚化が叫ばれています。猛暑による農作物の生産減少をはじめ、今後も温暖化が進めばより深刻な事態が起こることが想定されています。
そんな中、大きな転機となったのが2015年のパリ協定です。1.5℃目標に向けて世界的に温室効果ガスの削減に向けた流れが確実になりました。日本では、2020年に「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言。以後、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて様々な取り組みがされています。GXとは、脱炭素・エネルギー安定供給・経済成長の3つの同時実現を目的とした取り組みのことで、今後10年で官民合わせて150兆円投資しその実現を目指しています。

2.地球温暖化対策計画の見直しについて
2024年末、次期削減目標について温室効果ガスの削減目標を2035年に2013年度比で60%削減することを決めました。これまでの歩みを止めることなく、より着実に削減を進めていくことを示しています。次期削減目標達成に向け具体的に様々な対策・施策を定めています。たとえば、「産業・業務・運輸等」では、工場等での先端設備への更新支援や、中小企業の省エネ支援などが挙げられます。

3.脱炭素経営と排出量算定について
ESG投資の拡大が加速していることを背景に、企業は気候変動対策にいかに取り組むかということが重要課題になっています。脱炭素経営を促進する要因のひとつとして、Scope3をはじめとする企業のサステナビリティに関する取り組みの開示要請が高まっていることが挙げられます。
SSBJ草案では、2027年3月期から時価総額に応じて義務化が予定されています。取り組みの開示義務化がされることもあり、サプライチェーンからの要請は高まっています。今後も、脱炭素経営対応が遅れていると、取引上のリスクとなる恐れがあり、早期の対応が求められています。

・脱炭素経営のメリット
中小企業にとって、カーボンニュートラルに向けた取組は後回しにされがちですが、脱酸素経営は厳しい事業環境を乗り越える糸口になりえます。中小企業にとっての脱炭素経営のメリットは、リスク回避と攻めの2つの観点から、大きく分けて①要件を満たす、②競争優位を築く、③新しい事業機会を捉える、の3つあります。②競争優位を築くでは、たとえば就活生に選ばれる価値基準の一つに挙げられることから、人材獲得力を向上させるポイントにもなっています。
一方で中小企業が抱える脱炭素経営に向けた取組の課題も複数あります。実態調査によると、「マンパワー・ノウハウが不足している」という回答が最も多く挙げられました。

4.中小企業向け脱炭素経営支援策について
環境省では、「知る」「測る」「減らす」の3ステップで、脱炭素化の支援に取り組んでいます。「知る」の一つとしては、YouTubeの動画で中小規模事業者向けの脱炭素経営の導入事例なども紹介しています。「測る」に関しては、温対法等に基づく企業の排出量報告・公表をWeb上で行うことができるシステムEEGSをローンチ。Web上で電気の使用量などを入力するだけで、年間の排出量が手軽に算出できる仕組みになっています。また、「減らす」では、省CO₂設備を購入する際の投資を補助金で支援しています。ぜひご活用いただければと思います。
・バリューチェーン全体の脱炭素化支援
中小企業を含めたバリューチェーン全体での脱炭素を進めるために、サプライヤーエンゲージメントを代表する取引先企業に対しての働きかけの取り組みを支援しています。まずは、自社の削減目標設定に向けて、どこの排出量が多いのか、どこに優先的に取り組むべきかポイントを押さえることが大切です。次にエンゲージメントを行うために、どの企業と行うか選定が必要になります。選定の際には、公開情報やアンケート調査等が参考になります。エンゲージメントはいきなり完璧を目指すのではなく、スモールステップで徐々にステージを上げていくことがポイントになります。

インフォマートが切り拓く脱炭素社会への道 株式会社インフォマート 市川 元樹
現在、インフォマートのBtoBプラットフォーム上では110万社超の企業がつながっています。こうした事業そのものが直接的に企業から排出するCO₂を減らし、環境課題へのソリューションになっているといえます。具体的に2023年度の実績でいうと、削減できた伝票枚数は5億枚にのぼり、杉の木で換算すると、52万本超になるという数値を出しています。これは、『BtoBプラットフォーム 請求書』の特徴である、Data to Dataだからこそ実現できること。Data to Dataとは、企業間の帳票類をデータでやり取りする仕組みです。今後も持続可能な社会に貢献するソリューションとしてますます広がっていくと考えています。

Scope1〜3対応を簡単に!経理データ活用で業務工数を7割削減する方法とは? アスエネ株式会社 岩田 圭弘 氏
脱炭素経営を進めるためには4ステップ(①見える化、②削減、③オフセット、④報告)が必要です。しかし、「算定の方法がわからない」といった理由で、①見える化でつまずく人も少なくありません。その理由はエクセルなどで計算する際の手間や時間がかかることにあります。
アスエネでは、CO₂排出量をプラットフォーム上で計算し管理することで、これまでの業務負荷を最大70%削減できるようになります。例えば、ガソリン代の領収書を画像アップロードするとAI-OCRによって数秒で自動計算できます。初めてCO₂算定する方でも、正確に算定できるということが特徴です。また、調達データや会計データといったAPI連携により、入力不要でGHG/LCAの算定することも可能になります。SDGsへの取り組む第一歩、コーポレートブランディングの一環として活用していただいた事例も出てきています。
CO₂排出量の算定から削減まで脱炭素経営をサポートする『invox炭素会計』 株式会社invox 横井 朗 氏
地球温暖化が急激に進む危機的状況の中、私たちにできることは、すべての事業者が脱炭素経営へ気軽に取り組める状況を作ることだと考えています。そこで、現在invoxが力を入れているのは、invoxを利用する上で蓄積したデータを活用し、お客様の事業価値を高めることです。その一つが「invox炭素会計」です。システム上で蓄積した会計・請求データを活用し、CO₂排出量の算定から目標設定、削減・オフセットまで、企業の脱炭素経営をサポートします。業務効率化とセットで取り組むことができ、CO₂排出量の算定のための新たな負担を極力減らせることが最大の特徴です。
また、追加の費用負担なく、炭素会計で脱炭素経営に事業者の皆さまが取り組む状況を作りたいという思いから、お得なパック料金の提供をしています。コスト削減から脱炭素経営で事業の価値を上げるといったところまで、ぜひご一緒させていただければと思っております。
カーボンニュートラル業務の全貌と効率化に関して ウイングアーク1st株式会社 水嶋 健人 氏
カーボンニュートラルの業務は、各部門が連携を取ることで初めて実現が可能です。そのために各工程で最適なツールを使うことで効率化し、連携することが容易になります。また、その際のコストやメリット、デメリットも押さえておきましょう。1.現状把握(見える化)→業務部門
AI-OCRやBPOを活用することでデータ化の工数を削減することが可能です。
2.削減計画策定(わかる化)→環境部・サステナビリティ推進部
運用コストや人件費、実施期間など、様々な観点をもとに総合評価し、ROIの高い施策を実行していくことがおすすめです。
3.実行(排出量削減)(現場最適化)→現場部門
4.脱炭素経営(事業・経営最適化)→経営部門
脱炭素に視点を置くのではなく、経営視点でどのようなインパクトがあるのか先読みし、現場へ落としていくことが大切です。
「EcoNiPass」は、カーボンニュートラルの業務をシンプルにクラウド上で管理ができるプラットフォームです。データの入力工数を大幅削減することから、ダッシュボードでデータ分析までできることがポイントとなっています。
ゼロカーボン実現に向けた潮流と企業に求められること 一般社団法人Climate Integrate 平田 仁子 氏
※一般社団法人Climate Integrate様の講演内容につきましては、非公開とさせていただきます。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
CO₂排出量算定クラウドサービス”Sustana”のご紹介 株式会社三井住友銀行 清滝 悠 氏
※株式会社三井住友銀行様の講演内容につきましては、非公開とさせていただきます。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
脱炭素へのアクション:市場動向とZeroboardでできること 株式会社ゼロボード 八木 順也 氏
日本では、有価証券報告書で開示されるサステナビリティ情報がSSBJにより開発される基準を踏まえて、より広く開示が求められてくると考えられます。この動きから逆算し、求められる社内の体制づくり、Scope3の算定や取引先の情報の収集など、事前に準備を進めているという企業様も増えています。一方で、対応していくうえで手入力などの非効率な作業など、苦労されているという企業様からの声も届いています。GHG排出量算定・可視化クラウドサービス「Zeroboard」は、活動量を入力することでGHG排出量を算定しグラフ化・分析できるツールになっています。大手から中小企業様に導入いただいており、導入事例からは、環境の取り組みをきっかけに新規契約や採用につながったとの声もいただいています。「Zeroboard」以外にも「Zeroboard ESG」や「Dataseed SAQ」などシステム展開し、総合的にサポートしていますので、課題解決にお役立てください。

会計データを活用してCO₂排出量算出が、月1回わずか10分で完了! 株式会社ディエスジャパン 北條 陽子 氏
脱炭素への取り組みに、「何から手を付けたらいいかわからない」という中小企業は少なくありません。上流企業からの要請も増えておりそれに応えられない企業は、取引先から排除される時代が来ています。CO₂排出量の可視化ツール「ファストカーボン」は、人手不足でなかなか脱炭素に取り組めないという中小企業でも、会計情報で排出量の可視化が簡単にできる仕様になっています。特徴は①お手軽、専門知識不要、②信頼でも世界基準、③Scope 3まで算出、④用途に合わせたプラン、の4つです。例えば、ダッシュボードで勘定科目別で排出量が見えるため、「どう減らすか」に対するヒントが直感で得られやすくなっています。また交通費に伴う排出量も、脱炭素の専門知識がなくても交通費支給額から簡単に算出が可能です。脱炭素経営の第一歩となる現状把握に「ファストカーボン」を活用していただき、手間とコストをかけずに進めていただきたいと思っています。

脱炭素経営を促進する請求業務のご相談はインフォマートまで
インフォマートでは、ペーパーレス化による脱炭素経営の実現をサポートする『BtoBプラットフォーム 請求書』をご提供しています。請求書のデジタル化は、単に業務効率化だけでなく、企業の環境負責任を果たす重要なステップです。
本セミナー以外にも、請求書業務の課題解決に役立つセミナーを随時開催し、みなさまのご参加をお待ちしています。
こちらの「電子請求書イベント・セミナー一覧」から、お好きなセミナーにご参加くださいませ。
監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部
この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。
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