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経理のテレワーク(在宅)のやり方-テレワーク導入のポイントと環境整備-

職場に出勤しない働き方、「テレワーク」に、多くの効果が期待されている。従来、得意先回りで外出の多い営業職などが利用するイメージがあった。だが、情報通信技術(ICT)の発展で、経理部門や管理部門といったバックオフィスでも導入が進んでいる。これまでテレワークに向かないと思われてきた部門が柔軟な働き方にシフトすることで、人手不足対策や生産性向上につながる可能性がある。また、新型コロナウイルス(COVID-19)対策のひとつとして導入する企業も増えている。 企業と従業員双方にさまざまなメリットをもたらすテレワーク。確実に普及しつつあるが、まだ心理的な抵抗を感じるという声も少なくない。だが、「誰もが働きやすい環境をつくる」というテレワークの本来の目的に注力すれば、その導入は難しくない。経理部門におけるテレワーク導入に置けるポイントと課題の解決方法について紹介する。

経理のテレワーク(在宅)のやり方-テレワーク導入のポイントと環境整備-

最終更新日:2020年3月5日

目次

「テレワーク」とは? 3つの勤務形態

テレワークの語源は、「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語。テレワークの普及・推進活動を行っている一般社団法人日本テレワーク協会は「情報通信技術(ICT)を活用し、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義している。

出社せず、自宅で働く「在宅勤務」だけがテレワークではない。移動中やカフェなどを利用した「モバイル勤務」、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどを利用した「サテライトオフィス勤務」もテレワークに含まれる。また、従業員が会社以外で仕事をすることを言う「リモートワーク」、フリーランスが在宅などで仕事をする「SOHO」などもテレワークの一種といえる。

在宅勤務
就業場所は自宅。通勤負担が軽減され、時間を有効活用できる。交通麻痺などの影響を受けずに仕事を持続することができる。
 
通勤時間の削減

モバイル勤務
就業場所は移動中の電車内や外出先、カフェなど。出先からオフィスに戻る必要がなく、無駄な移動時間を削減し効率化できる。
 
移動時間など
隙間時間の活用

サテライトオフィス勤務
就業場所は、遠隔勤務用の施設。自社による専用型と複数の企業がシェアする共用型がある。職住近接、集中できるなどのメリットがある。
 
職住近接の環境の確保

職場に一日も出社しない完全テレワークのほか、週2~3日を職場に出社し、残りを在宅勤務やモバイル勤務とする場合もある。ひとことでテレワークといっても働くスタイルによってさまざまな勤務形態を組み合わせられる。


テレワークの効果

一般社団法人日本テレワーク協会は、テレワークの効果を大きく7つ挙げている。

1.優秀な社員の確保
育児期・介護期等の社員への働きやすい環境の実現による離職の防止(継続雇用)

2.雇用創出と労働力創造
退職した高齢者、通勤が困難な障がい者、遠方居住者などの新規雇用の創出

3.オフィスコスト削減
オフィススペース、ペーパーコスト、通勤・交通コストの削減

4.ワーク・ライフ・バランスの実現
家族と過ごす時間、自己啓発などの時間の増加(仕事と生活の調和)

5.生産性の向上
顧客への迅速・的確な対応(営業職)

計画的、集中的な作業実施による業務効率の向上(研究・開発職、スタッフ職、営業職など)
6.事業継続性の確保(BCP)

非常災害時やパンデミック(感染症流行)時における事業継続

7.環境負荷の軽減
通勤減少、オフィスの省力化による、電力消費(量)、CO2排出量の削減

出典:一般社団法人日本テレワーク協会ホームページ

大型台風の影響で都心の交通網がストップし、出社を急ぐ会社員たちが駅前に大行列を作ったことは記憶に新しい。また、2020年2月には新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の防止対策のひとつとして、大企業が数週間にわたる全面的なテレワーク化に次々と踏み切った。こうした自然災害やパンデミック(感染症流行)時による混乱回避にもテレワークは期待が寄せられている。非常時の円滑な事業継続のためにテレワーク体制を整えておくことが大切だ。また、資料や帳票類の電子化によるペーパーコストの削減や、電力消費量の削減など、企業が受けるメリットは多い。

では、従業員側はどうだろう。実際にテレワークを実施して実感するメリットとして「通勤・移動時間の削減」「育児との両立」「業務への集中力の向上」などの声が挙げられている。 育児や介護などフルタイムで常勤できない事情があっても、テレワークなら可能な業務もある。


経理部門がテレワークを導入するメリット

経理業務で欠かせないデータ入力や伝票入力は、環境さえ整っていればどこでもできる。エクセルやアクセスを使ったデータ分析も可能だろう。また、経費精算や請求書受け取り後の仕訳、発行手続きや給与計算なども、リモート環境やクラウドサービスの導入で対応できる。

家庭の事情で毎日の出社が厳しい経理担当者が、テレワークによって自分のペースで業務に集中できれば、ワーク・ライフ・バランスも実現し、離職も防げる。また、高いスキルを持ちながら制度がなかったため離職せざるを得なかった経理担当者が、テレワークを利用することで復職することもあるだろう。ますます加速する人材不足の解決策としても有効だ。

こうした元・経理などの潜在的な労働力を活かした、経理のアウトソーシングも登場している。経理代行サービスを提供するメリービズ株式会社には約800名のスタッフが登録。プロジェクトごとに経験豊富な経理スタッフがテレワークで業務を担っている。テレワーカーを活用すれば、締め日が集中する月末月初といった局所的な繁忙期に、人員を増やさず対応できる。


テレワークが注目される理由と普及の現状

テレビ会議やWeb会議システムなどの発達、チャット、メールといったツールの普及で時間や場所の制約は取り払われ、テレワークのハードルは下がっている。さらに、近年は日本政府によるテレワーク推進の後押しもある。2017年には、東京オリンピック・パラリンピック開催中の交通混雑緩和を目的に、開会式が行われる7月24日が「テレワーク・デイ」と位置づけられた

推進の背景には、少子高齢化による労働力不足の深刻化もある。地方に住みながら都心の企業への就業も容易になり、離職の防止にもなるなど、働き方改革の一環として期待されている。

では、現状では、どのくらいの企業がテレワークを導入しているのだろうか。2019年の調査で導入していると答えた企業は25.1%。6.8%だった2017年の時点に比べ、導入企業も関心度も着実に上昇している。

出典:「東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)」、東京都、2017年、2018、2019年

導入の目的は、「定型的業務の生産性の向上」(50.5%)を筆頭に、「従業員の通勤時間、勤務中の移動時間の削減」「育休中・介護中、その他通勤に支障がある従業員への対応」が続く(東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)」東京都、2019年7月)。

その一方で、いまだに半数以上の企業が「導入予定はない」と答えている。「勤務時間の管理の難しさ」、「社内コミュニケーションへの支障」、「長時間労働になりやすい」、「情報漏洩への心配」といった理由が列挙されている。

テレワークのメリットは感じつつも、「うちは無理」と、長年の慣習を変える抵抗感ではじめから諦めているという声も多い。しかし実は、さまざまなツールの利用でその課題は解決できる可能性もある。


経理部門がテレワークを導入する際のポイント

まず大切なのは、目標を明確にし、業務を見直すことだ。ITで解決できる非効率な作業や、担当者が不在になるとストップしてしまうような属人化した作業など、課題を洗い出していこう。まずは見える化し、課題を解決するためのツールの活用も検討していくことになる。一気に導入するのが難しければ、スモールスタートで導入し、徐々に改善していくやり方もある。


整えるべきテレワーク環境

<紙資料の電子データ化>

職場へ出勤しなければ仕事ができない理由のひとつに、紙の書類でのやりとりが挙げられる。特に経理は紙の文化が根強い部門だといわれる。たとえば交通費などの経費精算は領収書が必要だ。毎月発生する請求書の発行業務では、大量の請求書を印刷し、封入して郵送しなければならない。一方で経理部門や各部署に届く請求書も、同時期に処理が必要だ。ほかにも、現金で給与を手渡すケースは少ないだろうが、給与明細を紙で発行する企業はまだまだ多い。

だが実は、こうした書類は電子データ化しても支障がない場合が少なくない。むしろ、データ化することで二次的な活用が可能となる。クラウド上にアップされていれば場所や時間を選ばず、情報を共有できる。紙の書類の持ち出しや紛失などもなくなり、内部統制にもつながる。

ペーパーレス化によってWeb上で完結する承認フローを構築すれば、どこで仕事をしていても承認が可能だ。また、どこの段階で承認が止まっているのかも一目でわかり、効率化を図ることができるだろう。

会計ソフトや請求書の発行・受取、経費精算、給与明細の発行といったクラウドサービスの登場で、経理は紙の書類に埋もれることなくどこでも仕事が可能となっている。

<コミュニケーション環境の整備>
会議、打ち合わせ、社外との調整など、ツールを利用することで、職場と同じような環境で働くことが可能になる。
  • ・クラウドグループウェア(Office365、G Suite、サイボウズOfficeなど)
  • ・Web会議ツール(Zoom、Skype、V-CUBE ミーティングなど)
  • ・リモートアクセス(MagicConnect、Splashtop Businessなど)
  • ・チャットツール(ChatWork、Slack、LINE WORKSなど)
    など
<セキュリティ対策>
テレワークが導入できない理由として、「情報漏洩への心配」挙げる声は多い。万全のセキュリティ対策はテレワークの大前提だ。特に、会社の資産を預かる経理には厳しいコンプライアンスが求められる。紙の書類に比べ紛失や盗難の心配がなく、改ざんなどの不正ができないクラウドサービスの利用が望ましいだろう。
ポイントとなる対策は「ルールづくり」「技術的な対策」「物理的な対策」の3つだ。まずは、セキュリティガイドラインを策定し、従業員にルールを浸透させる。そのうえでアクセスの管理・制限、暗号化といった技術的な対策を施し、物理的にも、書類や端末の施錠管理、のぞき見対策などを施したい。

テレワークが広げる新しい可能性

人手不足対策や生産性向上など、テレワークのメリットは大きい。オリンピック・パラリンピック開催を前に導入が推進されてきたタイミングで発生した、新型コロナウイルスの感染拡大。IT企業など環境の整った一部の働き方だと思っていたテレワークに、素早く対応できる企業が次々現れたことに、新たな時代の到来を感じる。

テレワーク導入は、これまでのやり方を変えることへの心理的な不安も伴う。特に顔を合わないからこそ、密なコミュニケーションの構築は欠かせない。導入への一歩をまず踏み出すことで、テレワークでできること・できないこともはっきりするだろう。2020年以降は本格利用が拡大していくだろう。次世代の働き方は、もうすでに始まっている。

まとめ

経理部門におけるテレワークの現状と導入のポイントを紹介してきた。ワーク・ライフ・バランスや人材不足の解決など、テレワークにはさまざまなメリットがあることがわかった。一方で、紙の文化が根強いといわれる経理部門の、テレワークに踏み切れない課題も見えてきた。

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は、請求書の電子データ化によって経理部門のテレワークを促進するソリューションだ。紙で受け取った請求書を電子保存し、WebのBtoBプラットフォーム上で電子請求書として一元管理が可能になる。また、請求書の発行も同プラットフォーム上から可能だ。これにより、自宅やサテライトオフィスなど、どこにいても属人化することなく、請求書業務を遂行できるようになる。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

参考

・一般社団法人日本テレワーク協会 テレワークの効果
https://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_effect.html

・東京都 多様な働き方に関する実態調査(テレワーク)
https://www.hataraku.metro.tokyo.jp/hatarakikata/telework/donyu/index.html


取材

メリービズ株式会社
代表取締役 工藤 博樹 氏

テレワークを利用して、全国の経理経験者と企業を結ぶ、経理代行サービス「バーチャル経理アシスタント」を提供。仕訳入力、経費精算、請求書発行、売掛・買掛管理などの業務をアウトソーシングで請け負う。約800名のスタッフが登録している。
https://merrybiz.jp/ 

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