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電子帳簿保存法に対応したシステムを導入しない場合はどうなる?

電子帳簿保存法で定められた保存区分には、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つがあります。これら3つのうち、電子帳簿等保存とスキャナ保存の導入は任意ですが、2024年1月からは電子取引への対応が義務化されます。これに伴い、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入しない場合に生じる可能性があるデメリットや、電子帳簿保存法に対応するための方法などについて、詳しく解説します。

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入しない場合はどうなる?

最終更新日:2023年10月10日

目次

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿などを電子保存する際の要件を定めた法律

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿や国税関係書類を電子的に保存するための要件を定めた法律です。1998年の成立以来、何度も時代に応じた見直しが行われてきました。近年では、2022年に改正が行われています。
 
電子帳簿保存法では、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つの保存区分が定められています。このうち電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意ですが、電子取引については、2022年の改正法によって義務化されました。
 
電子取引とは、メール添付やシステム上からのダウンロードのように、電子的に取引関係書類を授受する取引のことです。電子的に授受した書類については、電子データのまま保存する必要があります。電子取引は、ほぼすべての事業者が対象となると考えられます。要件を満たす電子データでの保存を行わなければいけません。
 
ここでは、電子帳簿保存法の対象となる書類や電子帳簿保存法に対応するための保存要件について解説します。

電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、国税関係帳簿と国税関係書類の2種類です。電子帳簿保存法は国税庁が管轄のため、国税関係の帳簿や書類以外は対象外となります。
 
<電子帳簿保存法の対象となる書類>
・国税関係帳簿:会計ソフトで作成した仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売掛帳などの帳簿類
・国税関係書類:会計ソフトで作成した損益計算書や貸借対照表のような決算関係書類、見積書や納品書、領収書のような取引関係書類
 
国税関係書類は、決算関係書類と取引関係書類の2種類に分けられます。国税関係帳簿と決算関係書類は、会計ソフトで電子的に作成したものだけが電子帳簿保存法の対象です。これらは電子帳簿等保存の区分に該当します。
 
取引関係書類については、紙で受け取ったものも対象となり、スキャナ保存の区分に該当します。一方、パソコンなどを使って電子的に作成したものは電子帳簿等保存、電子的に顧客とやり取りをしたものは電子取引に区分されます。取引関係書類は、作成方法などによって、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引のどれに該当するかが決まるため、区分を間違えないようにしましょう。

電子帳簿保存法に対応するための保存要件

電子帳簿保存法の保存要件は、区分に応じて決められています。
 
電子帳簿等保存の要件は2022年の改正で大幅に緩和され、システムの仕様書やディスプレイの備え付け、税務職員の求めに応じてダウンロードできるようにしておくこと、という3点を満たせばよいとされました。
 
一方、スキャナ保存については、紙で受け取ったデータをスキャンして保存することを認めていることから、解像度などの細かい規定が設けられています。一般的には、保存要件を満たすシステムを利用して対応する場合が多いでしょう。
 
※電子帳簿保存法で定められた各保存区分の詳細については「電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説」をご覧ください。
 
また、唯一義務化された電子取引では、「真実性の要件」と「可視性の要件」という2つの要件を満たすことが求められています。これらの保存要件の内容は、下記のとおりです。
 
電子取引の保存要件
保存要件
内容
真実性の要件 タイムスタンプの付与や記録の訂正、削除の履歴が残るシステムの利用など、不正な改ざんが行われないように管理しなければならない。また、正当な理由がない訂正や削除を防止する事務処理規程を定めて、それに従った運用を行うこともできる
可視性の要件 パソコンやプリンター、システムの概要書の備え付けなどが求められる。また、取引日、金額、顧客で検索できる形でデータを保存しなければならない。そのほかにも検索要件が定められているものの、これについては売上5,000万円以下の事業者がダウンロードの求めに応じられるようにしておく場合、満たす必要がない
 

2024年以降に電子帳簿保存法への対応をしないとどうなる?

改正電子帳簿保存法は、2022年1月に施行されました。すでに、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引について、新しい規定にもとづいた保存が求められている状態です。このうち対応が義務化された電子取引については、2023年12月31日までの宥恕措置が設けられています。電子取引に関する電子データの保存に対応できない場合は、2023年中は従来の「紙に印刷して保存」という方法を取ることが可能です。
 
しかし、この宥恕措置は2023年12月で終了します。ここでは、2024年以降も電子取引に関するデータ保存を行わなかった場合どうなるのか、考えられるリスクについて見ていきましょう。なお、下記のリスクは「電子帳簿保存法に対応しなかった場合」だけでなく「電子取引に関するデータの保存を適切に行わなかった場合」のリスクを含みます。また、電子帳簿等保存とスキャナ保存の導入は任意であるため、電子帳簿保存法への対応をしなかった場合の罰則などはありません。

青色申告承認が取り消される

電子帳簿保存法の要件を守らない事業者については、青色申告の承認が取り消される可能性があるため、注意が必要です。これは「電子データでの保存が義務化された電子取引について、従来どおり紙で記録を保存している」といったケースも該当します。
 
ただし、国税庁が定めた「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」によると、青色申告の承認の取消しは違反の程度などを総合的に考えて検討するとしています。例えば、電子取引の一部について、業務フローの都合上適正な形でのデータ保存ができていなかったとしても、それだけを理由に直ちに青色申告の承認が取り消されるといったことはありません。
 
とはいえ、青色申告の承認が取り消されてしまうと、青色申告特別控除が受けられなくなったり、欠損金の繰越ができなくなったりといった多くのデメリットが生じます。万が一にもそのようなことにならないよう、電子帳簿保存法を遵守しましょう。

追徴課税を受ける

電子帳簿保存法への対応をしないと、追徴課税を受けるリスクがあります。
 
追徴課税とは、本来納めなければならない税金が正しく納付されていないときに、支払うべき税額と納めた税額の差額を支払うことです。悪質な隠ぺいや仮装があった場合は、差額に対して35%の重加算税が加算されます。
電子取引のデータを改ざんしたり、隠ぺいしたりして本来の税額より少ない税額を申告・納税した場合は、上記の重加算税にさらに10%が加重されます。
 
ただし、電子帳簿保存法への対応をせず、電子取引のデータ保存を行わなかったからといって追徴課税の対象になるわけではありません。あくまでも正しい納税が行われなかった際の制度であることを覚えておきましょう。

電子帳簿保存法への対応をしない場合のデメリット

電子帳簿保存法のうち、電子帳簿等保存とスキャナ保存は任意であるため、導入するかどうかは事業者が自由に決めることができます。導入にかかる手間などを考えて、見送る事業者もいるかもしれません。
 
しかしながら、電子帳簿保存法に対応せず、従来どおりの紙の保存を続けることにはデメリットがあります。ここでは、電子帳簿保存法への対応をしない場合の4つのデメリットについて説明します。

経理業務が非効率になる

従来どおりに帳簿や書類を紙で保存する場合、電子保存に比べて必要な情報へのアクセスがしづらく、結果的に経理業務が非効率になるというデメリットがあります。
 
例えば、5年分の帳簿のデータを確認したいとき、すべて紙で保存している場合は、ファイルなどを机に積み上げて一つひとつ確認していかなければいけません。電子的に保存されていれば、必要なデータだけを検索して即座に参照できます。
 
また、情報の共有が必要な場合も、紙ベースでは時間と手間がかかります。例えば、税理士と仕訳帳のデータを共有したい場合、帳簿を郵送したり、該当のページをコピーしてファックスを送ったりしなければいけません。

人的ミスが発生しやすくなる

帳簿や書類を紙ベースで作成、管理していると、人的ミスが発生しやすいというデメリットもあります。

例えば、見積書などを手書きで発行している企業では、記入ミスや計算ミスによって本来の金額とは異なる数字を提示してしまうリスクがあるでしょう。また、日付の書き間違いや宛名間違いといった問題が起こる可能性もあります。

電子帳簿保存法に対応するために書類の電子化を進めれば、顧客の情報や計算結果が自動で挿入できるため、ミスを軽減できます。

文書の紛失・劣化のリスクが高まる

紛失や汚損、破損などのリスクが高くなる点も、帳簿や書類を紙で制作・管理する際のデメリットです。

「必要な書類を取り出して閲覧した後、戻す場所を間違えた」「書類を閲覧中にコーヒーをこぼしてしまった」といった些細なことで、簡単に書類はなくなったり、汚れたりしてしまいます。改ざんや削除が容易にはできないシステムを利用して電子的に書類を保存することで、このようなトラブルを避けられるでしょう。

保管スペースが必要になる

ある程度のスペースが必要になる点も、帳簿や書類を紙ベースで保管する際のデメリットです。
 
法人が作成した帳簿や書類は、基本的に7年間の保管が義務付けられています。保管のための倉庫やスペースを確保しなければならず、その分のコストが生じます。
 
また、保管期間が過ぎた後の書類や帳簿類を処分する際のコストも発生するでしょう。

電子帳簿保存法に対応するために必要なこと

電子帳簿保存法に対応することで、自然と経理業務の効率化やペーパーレス化を進めることができます。

ここでは、電子帳簿保存法に対応するために必要なことについて、手順に沿って解説します。

電子帳簿保存法の保存要件や対象書類を理解する

電子帳簿保存法に対応するために、まずは電子帳簿保存法の保存要件や対象書類の確認から始めましょう。
電子帳簿保存法には、3つの区分ごとに要件や対象書類などが定められています。電子化を検討している帳簿や書類がどの区分に対応するのかを確認し、それに応じた対応策を取ってください。
 
※電子帳簿保存法で定められた各保存区分の詳細については「電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説」をご覧ください。
 
なお、対応が義務付けられた電子取引については、2023年4月の税制改正によって「相当の理由があると税務署長が認める事業者のうち、ダウンロードの求めに応じられ、なおかつ電子取引データを印刷した書面の提示ができる事業者は要件を満たさなくてよい」という猶予措置が設けられています。最新の情報をもとに要件などの確認を行いましょう。

社内の管理体制を見直す

電子帳簿保存法の保存要件や対象書類を確認できたら、次は現状の国税関係帳簿や国税関係書類の管理方法を確認し、電子化に対応する場合の業務フローを検討しましょう。
 
このときも、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引のうち、どの区分について検討しているのかを明確にしておく必要があります。それぞれの要件に従って、現在の管理体制からどのように変更すべきなのかを考えることが大切です。

電子帳簿保存法に対応できる人材育成、研修を実施する

社内の管理体制の見直しまで完了したら、次は電子帳簿保存法に対応できる人材育成や研修を実施します。
 
電子帳簿保存法をスムーズに導入するためには、正しい知識を身につけた従業員が不可欠です。電子帳簿保存法の導入によって影響を受ける部署の従業員に対して、適切な教育を行いましょう。
 
特にスキャナ保存や電子取引に対応する場合は、経理部以外の従業員にも影響を及ぼすと考えられます。ケース別の対応方法やマニュアルなどを用意して、ミスやトラブルが発生しづらい体制を作ることが大切です。

電子帳簿保存法に対応したシステムやクラウドサービスを導入する

電子帳簿保存法への対応をスムーズに行うためには、電子帳簿保存法に対応できるシステムやクラウドサービスの導入が必要不可欠です。これらのシステムやクラウドサービスを導入すれば、要件を満たす形で帳簿や書類を保存できます。
 
特に電子帳簿等保存やスキャナ保存は、システムを利用しないと対応が困難です。スキャナ保存ができるシステムの中には、電子取引に関しても対応ができるシステムもあるため、併せて電子化を進めていくのもおすすめです。

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入して経理のDXを進めよう

電子帳簿保存法を導入せず、データ保存を適切に行わなかった場合、青色申告承認が取り消されてしまったり、追徴課税を受けたりするなどのリスクが生じます。そのようなリスクを回避するためにも、まだ対応が不十分の企業は、電子帳簿保存法への対応を急ぎましょう。
 
電子帳簿保存法に対応できるシステムを活用すれば、要件を満たしているかどうか心配することなく、手軽に帳簿や書類の電子保存が可能です。電子帳簿保存法への対応に苦慮している事業者や、対応方法に悩んでいる事業者は、システムの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
 
BP Storage」は、紙の書類のスキャナ保存にも、電子取引のデータ保存にも対応できるシステムです。書類を取り込むだけで、簡単に電子帳簿保存法に対応した書類の保存ができます。申請や承認もシステム上から行えるため、経理業務の効率化に役立つでしょう。
 
また、まずは請求書の電子化から始めたいという事業者には「BtoBプラットフォーム 請求書」がおすすめです。請求書の受け取りと発行のどちらにも対応しているため、ぜひご活用ください。

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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