
最終更新日:2026年3月30日
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類を電子データとして保存する場合のさまざまなルールを定めた法律です。電子データの紙での保存が認められる宥恕(ゆうじょ)措置が2023年末で終了し、2024年1月1日から電子データの保存が義務化されました。なお、相当の理由があり対応できない場合には、新たに設けられた猶予措置が適用されることもあります。
そこで今回は、電子帳簿保存法の対象となる3つの保存区分や猶予措置の条件、罰則などについて解説します。
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目次
- 電子帳簿保存法とは?
- 電子帳簿保存法の3つの保存区分
- 電子帳簿等保存(希望者のみ)
- スキャナ保存(希望者のみ)
- 電子取引データ保存(義務)
- 電子取引のデータ保存が義務になるのはいつから?
- 電子帳簿保存法での「猶予措置」とは?
- 改正電子帳簿保存法への対応方法
- 電子取引の状況を把握する
- 保存方法や場所を決める
- システムや規程などの準備をしておく
- 電子帳簿保存法に未対応のまま放置した場合のリスク
- 青色申告の承認取り消しにつながる可能性がある
- 追徴課税・推計課税が課される
- 業務効率化のためにも、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入を
- よくあるご質問
- 電子帳簿保存法の対象となるのはどの保存区分ですか?
- 電子帳簿保存法の猶予措置が適用される条件は何ですか?
- 電子帳簿保存法に違反したらどのような罰則がありますか?
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、保存が必要な帳簿や書類に対して、電子データで保存することなどを規定した法律です。電子帳簿保存法にもとづき国税関係帳簿書類を管理することで、書類の一部、または全部について電子データによる保存を行うことができ、書類の管理に関する作業を軽減するとともに、紙を保管するために必要な物理的スペースを節約することができます。
1998年の創設以来、何度か法改正が行われ、電子データとして保存できる書類の範囲は徐々に拡大されていますが、2022年1月に施行された改正法では、書類の電子保存を進めるための抜本的な要件緩和が行われました。
同時に、電子取引における電子データ保存の義務化も定められています。電子取引を行った場合は、原則として書類を電子的に保管する必要がありましたが、2023年末までは宥恕措置として電子データの紙での保存が認められていました。2024年1月1日からは、電子データのまま保存することが義務化されています。
ただし、条件を満たす場合には、猶予措置として、改ざん防⽌や検索機能など保存時に満たすべき対応をせず、電子取引データを単に保存しておくことも可能です。
※電子帳簿保存法の詳細は下記の記事もご覧ください。
電子帳簿保存法の3つの保存区分
電子帳簿保存法では、保存する書類の種類や作成方法に応じて、3つの保存区分が定められています。それぞれの区分で要件や対応方法が異なるため、自社の業務に関わる保存区分を正しく理解し、適切に対応することが重要です。ここでは、3つの保存区分について詳しく解説します。

電子帳簿等保存(希望者のみ)
電子帳簿等保存は、会計システムなどで作成した帳簿類および決算関係書類を対象とした保存区分です。具体的には、仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳といった帳簿類や、貸借対照表、損益計算書などの国税関係書類です。これらを最初から電子データで作成している場合、そのまま電子保存することができます。
なお、システム関係書類などを備え付けることや、税務職員による電磁的記録のダウンロードの求めに応じることなど、電子帳簿保存法で定められた優良な電子帳簿の要件を満たしている場合には、電子帳簿に関連する過少申告が判明しても過少申告加算税が5%軽減される措置があります。
スキャナ保存(希望者のみ)
スキャナ保存は、紙で受け取った書類をスキャンして電子データとして保存する方法です。取引先から受け取った紙の領収書や請求書といった取引関係書類を、スキャナやスマートフォンで読み取って電子データ化する場合に適用されます。
スキャナ保存を行うことで、紙の書類を保管するスペースを削減でき、書類の検索や管理の効率化が期待できます。ただし、スキャナ保存には一定の要件があり、解像度や検索機能の確保のほか、タイムスタンプの付与、訂正・削除履歴が確認できる仕組みの整備などが必要です。
なお、スキャナ保存に対応したシステムやアプリを利用すれば、これらの要件に対応した電子保存が可能となり、撮影時の記録管理や検索項目の付与を効率的に行うことができます。
※スキャナ保存の詳細は下記の記事もご覧ください。
電子取引データ保存(義務)
電子取引データ保存は、電子的に授受した取引情報を保存する方法で、3つの区分の中で唯一義務化されている保存区分です。電子メールに添付されたPDFの請求書や、ECサイトのマイページからダウンロードした領収書、クラウドサービスを通じて受け取った見積書などが電子取引データ保存に該当します。
電子取引データ保存での注意点は、原則として紙に印刷して保管することが認められていないことです。電子データで受け取った書類は、電子データのまま保存する必要があります。自社がデータで領収書や請求書を発行し、その控えを保存する場合も、電子取引データ保存の対象となります。
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電子取引のデータ保存が義務になるのはいつから?

電子取引のデータ保存が義務化されたのは、改正電子帳簿保存法が施行された2022年1月以降です。しかし、電子保存へのすみやかな対応が難しい事業者も多かったため、2022年1月から電子取引データ保存に関して2年間の宥恕措置が設けられました。
宥恕措置は2023年12月31日で終了しましたが、まだ対応できていない事業者もいるため、2024年1月以降は猶予措置が設けられ、一定の要件を満たした事業者は保存義務を猶予されることになりました。
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電子帳簿保存法での「猶予措置」とは?

2024年1月からの猶予措置とは、2023年12月末までで廃止される宥恕措置に代わり、一定の要件をすべて満たす事業者は電子帳簿保存法に則ったデータ保存を免除される措置です。電子取引のデータ保存について、猶予措置が適用される要件は以下のとおりです。
- <猶予措置が適用されるための要件>
- ・保存要件に従って保存できなかった相当の理由があり、所轄の税務署に相当の理由があると認められること
- ・税務調査時に要求されたデータのダウンロードの求めに応じること
- ・税務調査時に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること
また、保存要件に従って保存できなかった相当の理由とは以下のとおりです。
- <保存要件に従って保存できなかった相当の理由>
- ・資金繰り上の理由により、要件を満たす形での電子取引データの保存に必要なシステムなどの整備ができない
- ・人材不足などにより、システムやワークフローなど求められる要件での保存に対応することができない
例えば、保存システムやワークフローなどの整備が間に合わない場合や、環境は整備したが資金繰りや人手不足などで対応できない場合が挙げられます。
上記のようなケースに当てはまらず、満たすべき要件に従って保存できるにもかかわらず電子保存を行っていない場合は、猶予措置は適用されません。電子取引で授受した取引情報は電子保存が原則であり、あくまで猶予措置であることに注意しましょう。
なお、2026年1月時点では、猶予措置がいつ終了になるかは決まっていません。
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改正電子帳簿保存法への対応方法
改正電子帳簿保存法に対応し、帳簿書類を適切に管理するにはどのような方法があるのでしょうか。ここからは、改正電子帳簿保存法への対応方法を3つご紹介します。
電子取引の状況を把握する
改正電子帳簿保存法に対応するには、まず社内のすべての取引を整理し、電子取引に該当するか否かを事前に把握しておくことが大切です。電子メールでのやりとりだけでなく、WEBサイトからダウンロードした領収書や、クラウドサービスで発行した請求書など、紙を使用しないすべての取引が電子取引データに該当します。社内でどのような電子取引が行われているか、関係部署へ確認をすすめましょう。
保存方法や場所を決める
対応方法としては、電子取引データの保存方法や場所を決めることも大切です。電子取引のデータは、適切な取引を証明するため、下記の4つの要件のうちいずれかを満たさなければいけません。
- <電子取引データの保存要件>
- ・タイムスタンプが付与されたデータを受領する
- ・すみやかにタイムスタンプを付与する
- ・データの訂正や削除をした履歴が残るシステムまたは訂正や削除ができないシステムを利用する
- ・改ざん防止に関する事務処理規程を作って守る
また、上記の要件いずれかを満たすことに加え、税務調査に対応するためにデータを検索できる状態での保存が義務付けられています。取引年月日・取引金額・取引先で検索できるようにするだけでなく、取引年月日・金額で範囲を指定した検索、任意の項目を2つ以上組み合わせた検索をできるようにする必要があります。
さらに、表計算ソフトでファイルリストを作成したり、規則性のあるファイル名にしたりすることで、検索要件に対応しましょう。
システムや規程などの準備をしておく
データの保存方法を決めたら、改ざん防止に関する事務処理規程の作成や、タイムスタンプ・訂正削除履歴が残るシステムの導入などの準備を進めておくことが大切です。事務処理規程を作成する際は、国税庁のWEBサイトに掲載されているサンプルデータを活用することで事務作業の負荷軽減に役立ちます。
また、電子取引だけでなく電子帳簿保存やスキャナ保存に対応しているシステムを採用することで、ワンストップですべての電子帳簿書類の管理を行うことが可能になります。さまざまなシステムが販売されているため、比較検討を行ってもよいでしょう。
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電子帳簿保存法に未対応のまま放置した場合のリスク

電子帳簿保存法に対応しない場合、ペナルティを科される可能性があるため、適切な対応が不可欠です。ここでは、電子帳簿保存法に未対応の場合のリスクについて解説します。
青色申告の承認取り消しにつながる可能性がある
電子帳簿保存法への対応が不十分な場合、青色申告の承認取り消しにつながるリスクがあります。ただし、不備があることですぐに青色申告の承認が取り消されるわけではありません。税務当局の指導や是正勧告後も改善されない場合に、取り消されることがあります。
なお、青色申告の承認取り消しは、国税庁が定める「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づいて判断されます。
青色申告の承認が取り消されてしまうと、青色申告特別控除や欠損金の繰越控除といった税制上の優遇措置は受けられません。その結果、納税額が増える可能性も考えられます。
追徴課税・推計課税が課される
電子帳簿保存法への対応を行わず、帳簿の不備などで税務署が必要な情報を把握できなければ、追徴課税や推計課税によって税負担が増えるリスクもあります。適切に書類が保存されていないことで過少申告が発覚した場合、原則として追加で納める税金の10%の過少申告加算税を支払わなければなりません。
また、帳簿書類が適切に保存されておらず、正確な所得金額が把握できない場合は、推計課税という方法により課税されます。同業他社のデータなどをもとに推計した金額で課税されるため、実際の所得より高い金額で課税されてしまうかもしれません。
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業務効率化のためにも、電子帳簿保存法に対応したシステムの導入を
猶予期間が設けられているとはいうものの、電子取引のデータ保存は義務であり、早急に対応する必要があります。
また、電子帳簿書類管理システムを導入する際には管理ルールを定める必要がありますが、業務を効率化する上でも書類の電子保存には大きなメリットがあります。
この機会に、請求書全般の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。請求書からスタートして、領収書、見積書と段階的に経理のペーパーレス化を進めていくことで、業務効率化を図れます。
インフォマートが提供する『BtoBプラットフォーム 請求書』は、請求書の受領と発行、双方に対応した電子化システムです。請求書のペーパーレス化や、経理のテレワーク化の実現にお役立てください。
また、請求書以外のあらゆる国税関係書類の電子化を進めていくなら『BP Storage』が便利です。請求書をはじめ、契約書や領収書、納品書、検収書、見積書、注文書などを一括して、電子帳簿保存法に対応する形で電子保存できます。ぜひ導入をご検討ください。
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よくあるご質問
Q. 電子帳簿保存法の対象となるのはどの保存区分ですか?
電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引データ保存の3つです。
電子帳簿保存とスキャナ保存は任意ですが、電子取引データは唯一義務化されている保存区分です。
Q. 電子帳簿保存法の猶予措置が適用される条件は何ですか?
猶予措置が適用されるには、以下の要件を満たす必要があります。
- ・保存要件に従って保存できなかった相当の理由があり、所轄の税務署に認められること
- ・税務調査時に要求されたデータのダウンロードの求めに応じること
- ・税務調査時に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること
Q. 電子帳簿保存法に違反したらどのような罰則がありますか?
青色申告の承認取り消しにつながるリスクがあります。また、帳簿の不備などで税務署が必要な情報を把握できなければ、追徴課税(過少申告加算税)や推計課税が課されるリスクがあります。
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監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士