
最終更新日:2026年4月13日
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応をきっかけに電子請求書システムを導入したものの、「思ったように業務が効率化されていない」「ランニングコストがかさんでいる」といった課題を感じている場合もあるのではないでしょうか。システムのミスマッチは、経理業務の負担を増やすだけでなく、経営判断の遅れにもつながりかねません。
そこで今回は、電子請求書システムのリプレイス(移行)について解説します。 移行を検討すべきタイミングや、失敗しないためのシステム選定のポイント、具体的な移行手順まで網羅的に紹介しますので、ぜひ電子請求書システムのリプレイスの参考にしてください。
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目次
- 電子請求書システムを移行すべきタイミング
- システム連携が不十分
- 保守終了や運用コスト増
- 取引先からの要望に対応困難
- 機能不足や操作性の悪さによる工数増加
- サポートが不十分
- セキュリティ対策が不十分
- 電子請求書システムの移行の際に確認すべき要件
- 電子請求書システムの移行手順
- 1. 現状業務と課題の棚卸し
- 2. 要件定義
- 3. システムの比較検討
- 4. 移行計画とデータ移行方針の策定
- 5. 本番移行
- 電子請求書システムのリプレイス時の注意点
- 機能だけで選定しない
- スコープを曖昧にしない
- 取引先の運用を見落とさない
- データ移行を過小評価しない
- 移行計画と運用準備を軽視しない
- 電子請求書システムを移行して経理業務を効率化しよう
- よくあるご質問
- 電子請求書システムの移行はどんなときに検討しますか?
- 電子請求書システムの移行の注意点は何ですか?
- 電子請求書システムの移行の目的は何ですか?
電子請求書システムを移行すべきタイミング
システムのリプレイスにはコストと労力がかかりますが、それを上回るメリットが得られるタイミングがあります。現状のシステム運用において、次の6つの兆候が見られたら、リプレイスを検討すべきサインといえるでしょう。
- <電子請求書システムを移行すべきタイミング>
- ・システム連携が不十分
- ・保守終了や運用コスト増
- ・取引先からの要望に対応困難
- ・機能不足や操作性の悪さによる工数増加
- ・サポートが不十分
- ・セキュリティ対策が不十分
システム連携が不十分
導入している電子請求書システムが、会計システムや販売管理システムとスムーズに連携できない場合は、リプレイスを検討すべきです。
例えば、売掛管理や請求書発行、入金消込、仕訳連携などが分断されており、CSVデータの加工や手入力が発生している状況は非効率です。システム間のデータ連携が自動化されれば、転記ミスがなくなり、月次決算の早期化も実現できるでしょう。
保守終了や運用コスト増
電子請求書システムのランニングコストが導入当初よりも増加している場合も、見直しのタイミングです。
オプション機能の追加や、利用ユーザー数・通数の増加、ベンダーによる値上げなどで、想定以上にコストが膨らんでいるケースは少なくありません。コストパフォーマンスの高い別サービスへ移行することで、必要な機能を維持しながら運用コストを適正化できる可能性があります。
取引先からの要望に対応困難
現行の電子請求書システムでは、取引先から求められる特定のフォーマットやポータルでの受領に対応できない場合も、リプレイスの契機となるでしょう。
電子請求書の普及に伴い、取引先ごとの指定に対応できないことは、ビジネス上の機会損失や信用低下につながるおそれがあります。配信・受取方法を柔軟に対応できるシステムへの移行が求められます。
機能不足や操作性の悪さによる工数増加
「導入前に聞いていた機能と違う」「法対応で急いで導入したが、自社の運用に合っていない」といったように、電子請求書システムの機能不足や操作性の悪さを感じる場合もリプレイスを検討しましょう。
例えば、承認フローが用意されていなかったり、取引先マスタや品目マスタの管理が煩雑だったりするケースが挙げられます。
必要な機能を使うために高額なオプションが必要だったり、画面の操作性が悪く現場の工数が増えていたりするなら、自社の業務フローにフィットしたシステムへの乗り換えを検討することをおすすめします。
サポートが不十分
電子請求書システムの運用において、ベンダーのサポート体制も重要です。「問い合わせへの回答が遅い」「対応が不親切」「マニュアルがわかりにくい」といった状況は、トラブル時のリスクを高めます。 また、サポート利用に追加料金がかかる場合も、トータルコストを押し上げる要因となります。安心して長く使えるパートナーを選ぶことが大切です。
セキュリティ対策が不十分
現行システムのセキュリティ対策が不十分な場合も、リプレイスを検討すべきタイミングです。
例えば、PDFをメール送付する方法では、セキュリティリスクが考慮できていないケースも少なくありません。かつて広く使われていたPPAP(パスワード付きZIPファイルをメール送信する方式)は脆弱性が指摘され、現在では政府や多くの企業で廃止が進んでいます。
こうしたセキュリティリスクをを軽減する対策の一つとして、DtoD(Data to Data)に対応したシステムへ移行が有効です。人手を介さずシステム間で直接やりとりすることで、メール送信に伴うリスクを排除し、セキュリティを大幅に強化できます。
さらに、より安心して利用するためには、第三者機関による認証を取得しているシステムを選ぶことも重要です。ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマークなどの認証取得、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)の登録は、システムのセキュリティレベルが客観的に評価されている証となります。国内でのデータ保管や24時間365日の監視体制なども、安心して利用できる判断材料となるでしょう。
※PPAPの詳細は下記の記事もご覧ください。
電子請求書システムの移行の際に確認すべき要件

新しい電子請求書システムを選定する際は、機能面だけでなく、運用面やサポート面も含めた総合的な評価が必要です。
以下のチェック項目を参考に、自社にとって外せない要件を整理しましょう。
- ■電子請求書システムの移行の要件
-
要件 チェック項目 法令対応 電子帳簿保存法とインボイス制度に対応しているか 業務プロセスとのフィット 自社で最も件数の多い請求パターンについて、売上計上~請求~入金消込までをシステム上で完結できるか 連携・データ構造 主力の会計ソフト/ERPとのデータ連携が標準機能または現実的な工数で実現できるか 取引先側の受け取り方法 主要な取引先が希望する受領方法に無理なく対応できるか 機能・操作性 必要な機能が標準機能として提供されており、追加オプションなしで自社の運用に合った操作ができるか コスト 初期費用だけでなく、利用量やユーザー数の増加に伴うランニングコストの見通しが明確か 内部統制・運用面 起票~承認までのワークフローと承認・操作ログが残り、誰がいつ何をしたかを後から確認できる仕組みになっているか サポート体制 サポートの対応範囲・応答速度・費用が明確で、困ったときに頼れる体制が整っているか
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電子請求書システムの移行手順
電子請求書システムの移行プロジェクトを成功させるには、計画的な進行が不可欠です。ここでは、現状分析から本番稼働までの標準的な5つのステップを解説します。

1. 現状業務と課題の棚卸し
まずは、電子請求書システムに関連する現在の業務フローを可視化することから始めましょう。
請求書の起票から承認、発行、送付、入金消込までの一連の流れをフローチャートに落とし込み、関係部門ごとの役割を明確にします。その上で、手作業が発生している箇所やボトルネックになっている工程、ミスが起きやすいポイントを洗い出し、解決すべき課題を特定します。
2. 要件定義
洗い出した課題をもとに、新しい電子請求書システムに求める要件を定義します。
自社の代表的な請求パターン(定期請求、都度請求、前受金など)をリストアップし、それぞれに必要な機能を具体化します。また、機能要件だけでなく、セキュリティ基準や稼働率、サポート体制といった非機能要件についても明文化しておくことが重要です。
3. システムの比較検討
要件定義にもとづいて複数の電子請求書システムをピックアップし、比較検討を行います。
カタログスペックだけで判断せず、デモや無料トライアルを活用して、実際の操作感を確かめることが大切です。特に、自社の複雑な請求パターンや承認フローが再現できるか、会計システムとのデータ連携がスムーズに行えるかを重点的に確認しましょう。
4. 移行計画とデータ移行方針の策定
導入する電子請求書システムが決定したら、詳細な移行計画を立てます。いつから新システムを利用開始するか、旧システムはいつまで並行稼働させるか、取引先への案内はいつ行うかなどをスケジュールに落とし込みます。
また、過去の請求データをどこまで新システムに移行するかも重要な決定事項です。すべてのデータを移行するのはコストと時間がかかるため、参照頻度や法的要件を考慮して範囲を決めましょう。
5. 本番移行
準備が整ったら、電子請求書システムの移行作業を実施します。
マスタデータや過去データの移行は、ベンダーが提供する移行ツールやCSVインポート機能を利用するのが一般的です。本番移行前には必ずリハーサルを行い、件数や金額にズレがないかを確認します。
また、経理部門だけでなく、請求書を起票する従業員向けの操作研修を実施し、スムーズに新運用へ移行できるよう準備を整えます。
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電子請求書システムのリプレイス時の注意点

電子請求書システムの移行にはリスクがつきものです。よくある失敗パターンを事前に把握し、対策を講じておくことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。
- <電子請求書システムのリプレイス時の注意点>
- ・機能だけで選定しない
- ・スコープを曖昧にしない
- ・取引先の運用を見落とさない
- ・データ移行を過小評価しない
- ・移行計画と運用準備を軽視しない
機能だけで選定しない
電子請求書システムを機能の豊富さだけで選んでしまうと、現場の運用に合わず失敗する可能性があります。
「多機能すぎて使いこなせない」「画面が複雑で入力ミスが増えた」といった事態を避けるため、実際の業務フローに即した操作性や、現場担当者にとっての使いやすさを重視しましょう。
スコープを曖昧にしない
電子請求書システムの設定の範囲(スコープ)が曖昧なままプロジェクトを進めると、後から追加要件が発生し、スケジュール遅延や予算超過の原因となります。
「どの業務までをシステム化するのか」「どのデータまで移行するのか」を明確に定義し、関係者間で合意形成を図っておくことが重要です。
取引先の運用を見落とさない
自社の都合だけで電子請求書システムを選定すると、取引先に負担を強いることになります。
取引先が希望する請求書の受取方法に対応できるか、取引先側の社内承認フローに影響がないかなどを事前に確認しておきましょう。取引先の利便性も考慮することで、スムーズな移行が可能になります。
データ移行を過小評価しない
電子請求書システムのデータ移行やマスタ整備にかかる工数は、往々にして見積もりよりも膨らみます。
特に、取引先マスタの表記ゆれや、過去データのクレンジングには多大な時間がかかります。余裕を持ったスケジュールを組み、早めにデータ整理に着手することが大切です。
移行計画と運用準備を軽視しない
電子請求書システムの切り替えに伴う業務停止リスクや、万が一トラブルが発生した際の切り戻し手順を想定していないと、本番稼働時に大混乱を招くおそれがあります。
新旧システムの並行稼働期間を設ける、バックアップ体制を整える、サポート窓口を周知するなど、移行計画と運用準備には十分な時間を割くようにしましょう。
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電子請求書システムを移行して経理業務を効率化しよう
電子請求書システムの移行は、単なるツールの入れ替えではなく、経理業務のあり方を見直し、効率化と法対応を同時に実現するための重要なプロジェクトです。現状の課題を正しく把握し、適切なタイミングで計画的に移行を実施することで、業務への影響を最小限に抑えながら、大きな導入効果を得ることができます。
請求書業務の完全デジタル化を目指すなら、『BtoBプラットフォーム 請求書』へのリプレイスがおすすめです。PDF化やスキャンが不要なDtoD(Data to Data)で請求データをデジタル送受信できるため、業務とコストの最適化が可能です。さらに、発行・受取を一つのシステムで一元管理できます。支払通知書や納品書などの発行・受取・保管にも対応し、請求業務を一本化できる点も強みです。
また、取引先はデジタルデータで受領するためAI-OCRが不要となり、電子帳簿保存法への対応も容易になります。取引先は無料で利用できるため、法制度の対応の負担軽減にもつながるでしょう。多くの会計システムや自社基幹システムとの連携実績があり、第三者機関による複数の認証取得・国内データ保管・24時間365日の監視体制など、万全のセキュリティ体制も整っています。
電子請求書システム移行についてのご不明点やご相談は、「無料オンライン相談」からお気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
Q. 電子請求書システムの移行はどんなときに検討しますか?
既存のシステムと会計ソフト等の連携が不十分なときや、運用コストが増加したときに検討します。また、機能不足で業務工数が増加している場合や、取引先が求める形式に対応できない場合、PDF送付のみでDtoD連携ができず電子化が中途半端な場合も、リプレイス(移行)を検討すべき重要なサインといえます。
詳細は「電子請求書システムを移行すべきタイミング」をご覧ください。
Q. 電子請求書システムの移行の注意点は何ですか?
機能の多さだけで選ばず、現場での使いやすさを重視することが大切です。また、システム化の対象範囲を明確にし、取引先が希望する受取方法などを見落とさないよう注意しましょう。さらに、データ移行にかかる工数を過小評価せず、移行計画と運用準備に十分な時間を割くことが、トラブルを防ぐための鍵となります。
詳細は「電子請求書システムのリプレイス時の注意点」をご覧ください。
Q. 電子請求書システムの移行の目的は何ですか?
最大の目的は、経理業務のあり方を見直し、効率化と法対応を同時に実現することです。システム間のデータ連携によって転記ミスを防ぎ、月次決算の早期化を図ります。また、DtoD連携による受取側の入力作業の削減や、自社に合ったシステムへの見直しによる運用コストの適正化も、移行の重要な目的となります。
移行すべきタイミングの詳細は「電子請求書システムを移行すべきタイミング」をご覧ください。
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監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部
この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。