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領収書を電子化するには?メリットや電子帳簿保存法の要件を解説

領収書を電子化するには?メリットや電子帳簿保存法の要件を解説

最終更新日:2025年4月2日

2022年の電子帳簿保存法の改正により、領収書の電子保存が容易になりました。紙の領収書は、管理や保管に手間がかかり、スペースも圧迫しますが、電子化すれば業務の効率化やコスト削減につながります。

そこで今回は、電子帳簿保存法に則って領収書を電子保存する際の要件や、具体的な保存方法のほか、電子化のメリットと注意点について解説します。経理・総務業務をより効率的に進めるため、領収書の電子化を検討してみましょう。

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目次

電子帳簿保存法における保存要件

電子帳簿保存法は、領収書や請求書などの国税関係書類を電子データとして保存する際のルールを定めた法律です。電子帳簿保存法の保存方法は3つの区分に分かれており、領収書を電子保存する場合は、「電子取引」または「スキャナ保存」のいずれかに該当します。

まずは、電子帳簿保存法の保存区分である「電子取引」「スキャナ保存」「電子帳簿等保存」の、それぞれの特徴について解説します。

■電子帳簿保存法の保存区分の特徴

電子取引

電子取引とは、電子データで受け取った書類を保存する際の区分です。2024年の電子帳簿保存法改正により、電子取引に該当する書類はデータのまま保存することが原則として義務付けられました。PDFで受け取った領収書や、ECサイトのマイページからダウンロードした領収書などが該当します。

近年では、通信料金や電気料金の領収書・請求書が電子発行に切り替わり、紙の発行を停止または有料化する企業が増えています。これらの書類は「電子データで受け取った領収書」に該当するため、印刷せずに電子取引の要件に沿って、データのまま保存しましょう。

スキャナ保存

スキャナ保存は、紙で受け取った書類をスキャンして電子データとして保存する際の区分です。紙の領収書やレシートをデータ化する場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。

スキャナ保存を行う際には、タイムスタンプの付与や改ざん防止措置が必要とされており、適切に運用するためには、電子帳簿保存法に対応したシステムを利用する場合が多いでしょう。

ただし、スキャナ保存は義務ではなく、紙の領収書をそのまま保管しても法的に問題はありません。導入の可否は事業者の判断に委ねられますが、保管スペースの削減や検索性向上を目的に、スキャナ保存の活用を検討する企業も増えています。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存は、最初から電子データとして作成された国税関係帳簿や書類をデータのまま保存する際の区分です。保存要件は「優良な電子帳簿」と「それ以外」に分けられます。

優良な電子帳簿の要件を満たしている場合、税務調査の際に過少申告が発覚した場合でも、過少申告加算税が5%軽減されるというメリットがあります。これは通常の帳簿保存方法と比較して、より正確な記帳と適切な保存が行われていることを前提としているためです。

すでに会計ソフトや請求書管理システムを導入している企業であれば、電子帳簿等保存を活用することで、業務の効率化だけでなく、万が一の際の税制優遇も受けられる可能性があります。導入の際は、要件を確認しながら適切に運用することが重要です。ただし、過少申告自体を避けるための正確な記帳と申告が最も重要であることを忘れてはなりません。

領収書を電子保存する際の要件

領収書を電子データとして保存する際の要件は、データで受け取った場合と、紙で受け取った場合で異なります。ここでは、領収書を電子保存する際の要件について、受け取り方法ごとに解説します。

データで受け取った場合

領収書を電子データで受け取った場合、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当します。電子取引で受領したデータは、印刷して紙で保管するのではなく、データのまま保存することがすべての事業者に原則として義務付けられています。電子取引の保存要件は、下記のとおりです。

■電子取引の保存要件
真実性の確保
(いずれかを満たす)
・タイムスタンプを付与してから、取引情報を受領する
・取引情報の受領後、すみやかにタイムスタンプを付与する
・データの訂正や削除を確認できるシステムか、訂正や削除ができないシステムを利用して保存する
・訂正や削除の防止に関する事務処理規程を作成し備え付け、規程にならった運用を行う
可視性の確保
(原則としてすべて満たす)
・電子計算機処理システムの概要を記載した関連書類を備え付ける
・保存場所にパソコンやプログラム・ディスプレイおよびプリンタと、これらの操作説明を備え付け、すみやかに出力できるよう、データを明瞭な状態で保存する
・下記の検索機能を確保する(※)
(1)「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」が検索できる
(2)「取引年月日」または「取引金額」の範囲指定で検索ができる
(3)上記2つ以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
※税務署職員からのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば(2)(3)は不要
※基準期間の売上高5,000万円以下の事業者がダウンロード等の求めに応じられるようにしている場合、(1)(2)(3)すべて不要

ただし、要件を満たす形での保存が難しい事業者については、2024年1月から設けられた猶予措置として、次の対応を行えば保存要件を満たさない形でのデータ保存も認められています。

<電子取引の猶予措置が適用されるための要件>
・保存要件に従って保存できなかった相当の理由があり、所轄の税務署に相当の理由があると認められること
・税務調査時に要求されたデータのダウンロードの求めに応じること
・税務調査時に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること

多くの事業者は、電子取引で領収書を受け取る機会が増えているため、企業としてどのように要件を満たすか検討しておかなければなりません。対応策として、「電子データを適切に管理できる書類保存システムを導入する」といった方法が考えられます。システムを活用すれば、スムーズに電子帳簿保存法に対応できるでしょう。ただし、導入には一定のコストがかかるため、事業規模に応じた運用方法を検討する必要があります。

システムを導入しない場合は事務処理規程を整備し、領収書のファイル名に「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」を含めて、容易に検索できるようにするといった対応をとりましょう。

※事務処理規程の詳細は下記の記事もご覧ください。

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紙で受け取った場合

紙で受け取った領収書を電子保存する場合は、「スキャナ保存」の対象となります。スキャナ保存は義務ではありませんが、紙とデータが混在すると管理が煩雑になるため、業務効率化を目指すのであればデータ化するのがおすすめです。

スキャナ保存を行う場合、重要書類と一般書類で要件が異なるため、領収書が重要書類に該当することを踏まえて、次の要件を満たす必要があります。

■スキャナ保存の保存要件
  重要書類 一般書類
書類の例 領収書、請求書、契約書など 見積書、注文書、検収書など
入力期間 次のどちらかの入力期間内に入力すること
(1)書類の作成または受領から、概ね7営業日以内
(2)企業ごとに採用している業務処理サイクルの期間(最長2ヵ月以内)を経過後、概ね7営業日以内
※(2)は、企業において書類を作成または受領してからスキャナ保存するまでの各事務の処理規程を定めている場合のみ採用可
画像の解像度 解像度200dpi相当以上
カラー画像 赤、緑、青それぞれ256階調以上(24ビットカラー) 白黒(グレースケール)可
タイムスタンプ付与 入力期間内に付与
※入力期間内のスキャナ保存を確認できるシステムを利用している場合は不要
ヴァージョン管理 データを訂正・削除した際の履歴や内容を確認できるシステム、または訂正・削除ができないシステムを利用する
帳簿との相互関連性 データと、そのデータに関連する帳簿の記録について、相互に関連性を確認できるようにしておく(管理番号をつけるなど) 不要
パソコンなどの備え付け 14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンタ、説明書の備え付け 白黒で保存する場合は、カラー非対応の機器も可
システムの概要書等の備え付け スキャナ保存に利用するシステムの概要書や仕様書、操作説明書、スキャナ保存の担当部署や手順を記載した書類の備え付け
出力 下記の条件ですみやかに出力できるようにする
(1)整然とした形式
(2)書類と同程度に明瞭
(3)拡大または縮小して出力することができる
(4)4ポイントの大きさの文字を認識できる
検索機能 下記の検索機能を確保する(※)
(1)「取引年月日」「取引金額」「取引先名称」で検索ができる
(2)「取引年月日」または「取引金額」の範囲指定で検索ができる
(3)上記2つ以上の任意の項目を組み合わせて検索できる
※税務署職員からのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば(2)(3)不要

スキャナ保存に対応するためには、スキャンしたデータの改ざん防止措置やタイムスタンプの付与が求められるため、専用のシステムを活用するのが一般的です。

なお、データ化した領収書の原本は保存不要とされていますが、後になって「データの解像度が不足していた」「保存要件を満たしていなかった」といった問題が発覚する可能性もあるため、一定期間保存しておくと安心でしょう。

※スキャナ保存の詳細は下記の記事もご覧ください。

領収書を電子化する方法

紙の領収書をデータで保存する場合、適切な電子化の方法を検討する必要があります。電子帳簿保存法の要件を満たしながら、領収書を電子化する方法をご紹介します。

スキャンして電子化する

紙の領収書は、スキャンするかスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影することで、電子化が可能です。ただし、データとして保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たさなければなりません。具体的には、タイムスタンプの付与や、改ざん防止措置を備えたシステムを利用することが求められます。

また、利用するスキャナや業務フローが電子帳簿保存法の規程に沿っているか確認が必要です。スキャンデータの解像度や保存形式、検索機能の確保など、要件を満たす形で運用することで、適切な電子保存が可能になります。

専用システムを導入する

電子帳簿保存法のスキャナ保存に対応した書類保管システムや経費精算サービスを導入することで、領収書の電子化と保存をスムーズに行うことができます。

例えば、「BP Storage」を活用すれば、紙の書類をスキャンしてデータ化し、電子帳簿保存法に準拠した形で保存が可能です。スキャンした領収書の画像は、AI-OCRとオペレーターによってデータ化され、検索要件を満たす形で管理できます。
また、原本の画像とデータを併せて保存できるため、改ざん防止措置を確保しながら安全に管理できるでしょう。

さらに、紙で受け取った領収書だけでなく、PDFで受け取った電子領収書のデータ化と保存にも対応しているため、国税関係書類の一元管理に役立ちます。業務効率を向上させながら法令遵守も実現できるため、電子化を検討する際は、システムの導入も選択肢のひとつとして考えることをおすすめします。

BP Storageについては、下記のページをご覧ください。

領収書を電子化するメリット

領収書の電子化は、領収書を発行する側にも、受け取る側にもメリットがあります。コストや手間の削減につながる領収書の電子化について、3つのメリットをご紹介します。

印紙税がかからない(発行側)

印紙税がかからない点は、領収書の電子化によるメリットのひとつです。5万円以上の領収書を発行する場合、紙の領収書には通常、収入印紙を貼付する必要があります。しかし、電子データで発行される領収書は、印紙税法上の文書には該当しないため、印紙税が不要です。そのため、領収書を電子化することで、印紙代のコスト削減につながります。

また、紙の領収書を発行する場合に必要となる領収書用紙の代金や郵送費なども不要となるため、事務コストを節約できるでしょう。

■紙の領収書発行にかかる印紙税
領収書に記載された売上金額 印紙税額
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 2,000円
参考:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書

なお、1,000万円を超える金額の場合、印紙税額は取引内容や契約の種類によって異なります。詳細は国税庁の公式ウェブサイトを参照してください。

会計業務にかかる負担が軽減される(発行側・受領側)

領収書の電子化は、会計業務にかかる負担の軽減につながります。電子帳簿保存法にもとづき、取引日付や取引金額、取引先名称などの検索要件を満たすことで、過去の領収書を簡単に検索・管理できるようになります。

また、会計システムと連携できる管理システムを導入すれば、領収書の内容を自動で読み取り、仕訳処理をスムーズに行うことも可能です。
手作業での記帳や入力ミスのリスクを軽減し、経理業務の負担を削減できるため、業務の効率化につながるでしょう。

保存・管理にかかるコストを削減できる(発行側・受領側)

紙の領収書を電子データに置き換えることで、保管にかかるコストや労力を削減できます。紙の領収書を管理する場合、ファイルやキャビネットなどの収納スペースが必要ですが、電子化すればこうしたコストは不要になります。さらに、ファイリングや整理の手間といった人的コストもなくなり、書類の紛失リスクも低減できるでしょう。

電子化によるメリットは、単に紙の削減だけではなく、業務の効率化、管理負担の軽減、コスト削減といった多方面に及びます。領収書の発行・受領の頻度が高い企業ほど電子化のメリットを実感しやすいため、積極的に導入を検討するといいでしょう。

領収書を電子化する際の注意点

領収書の電子化には多くのメリットがありますが、適切に運用しなければ税務上の問題や管理コストの増加につながる可能性もあります。領収書をスムーズに電子化するため、下記の点に注意しましょう。

電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある

領収書をデータとして保存する場合、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」または「電子取引」の要件を満たす必要があります。要件を満たしていない場合、税務調査の際に問題視される可能性があります。

満たすべき要件は、領収書の形式や事業者の規模などに応じて変わります。領収書を電子化する際は、自社に該当する要件について事前に確認しましょう。

※電子帳簿保存法の保存要件の詳細は下記の記事もご覧ください。

システム導入や運用にコストがかかることがある

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入すれば、領収書の電子化をスムーズに進めることができます。しかし、システムの導入や運用には一定のコストがかかるため、費用対効果を慎重に検討することが重要です。

初期費用だけでなく、運用コストやメンテナンス費用が発生する場合もあるため、自社の業務規模に適したシステムを選ぶことが求められます。

電子化によって業務効率が向上し、管理コストが削減されることで、結果的にコスト削減につながるケースも多いため、長期的な視点で導入効果を判断することが大切です。

領収書を電子保存して、経理業務を効率化しよう

さまざまな書類の電子化が進む中で、領収書やレシートはいまだ紙で受け取る機会が多いのが現状です。しかし、紙の領収書を管理・保存するには、手間とコストがかかります。領収書を電子保存することで、経理業務の効率化とコスト削減を同時に実現できるため、積極的に電子化を検討するといいでしょう。

株式会社インフォマートが提供する「BP Storage」を活用すれば、紙の領収書をスキャンするだけで簡単にデータ化が可能です。単なる画像保存ではなく、内容を自動で読み取りデータ化できるため、経理業務全体の負担を大幅に軽減できます。

また、電子データで受け取った領収書や、そのほかの国税関係書類の一元管理も可能です。領収書の電子保存をスムーズに導入し、経理業務の効率化を実現したいとお考えの方は、ぜひ「BP Storage」の導入をご検討ください。

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よくあるご質問

Q. 領収書を電子化する方法は?

領収書を電子化するには、スマートフォン等で撮影する、スキャナで読み込むといった方法があります。その際電子帳簿保存法に則って保存する必要があり、「BP Storage」のような専用のシステムを利用すると簡単かつ安全に電子化と保存をすることができます。詳しくは「領収書を電子化する方法」をご覧ください。

Q. 領収書の電子化の義務化はいつから?

領収書の電子化は義務化されていません。ただし、領収書を電子データとして保存したい場合は、2024年1月1日から完全義務化された電子帳簿保存法の「電子取引」または「スキャナ保存」に該当するため、それらに則る必要があります。詳しくは「領収書を電子保存する際の要件」をご覧ください。

Q. 領収書を電子化するメリットは?

主に以下の3つのメリットがあります。
・印紙税の削減
・会計業務にかかる負担の軽減
・保存・管理にかかるコストの削減
詳細は「領収書を電子化するメリット」をご覧ください。

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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