最終更新日:2025年10月3日
「請求明細書」は、取引の透明性を高め、顧客との信頼関係を築くうえで欠かせない書類です。
請求書とは何が違うのか、送付・保存方法はどうすればよいのか、インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応はどうするのかといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、請求明細書の役割や、請求書・支払明細書との違い、作成方法、送付・保存のポイント、そしてインボイス制度への対応を詳しく解説します。
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目次
- 請求明細書とは、請求内容の内訳を詳細に記載した書類のこと
- 請求明細書と請求書・支払明細書の違い
- 請求明細書と請求書の違い
- 請求明細書と支払明細書の違い
- 請求明細書の作成方法と記載項目
- 請求明細書に記載すべき主な項目
- 請求明細書作成のポイント
- 請求明細書作成時のよくあるミス
- 請求明細書の主な送付方法
- 請求明細書をメールで送付する場合の注意点
- 事前に顧客の同意を得る
- PDF化してセキュリティ対策を行う
- 電子印鑑やタイムスタンプを活用する
- 請求書との関連性を明記する
- 請求明細書の保存期間と保管方法
- 請求明細書は7年保存しておくのが安心
- 請求明細書の保管方法
- インボイス制度における請求明細書の対応
- 請求明細書の発行はシステムを活用してミスなく効率化しよう
- よくある質問
請求明細書とは、請求内容の内訳を詳細に記載した書類のこと
顧客に代金を請求する際、請求内容を詳細に示すために使われるのが「請求明細書」です。これは、商品名やサービス名、数量、単価、税率、消費税額など、取引の内訳を明記する補助的な書類であり、通常は請求書と併せて発行されます。
請求明細書には法的な発行義務はありませんが、次のようなケースで発行されることが一般的です。
<請求明細書が発行される主なケース>
- ・取引内容が多岐にわたり、請求書だけでは把握しづらい場合
- ・複数部門やプロジェクト単位での請求がある場合
- ・顧客から内訳の明示を求められた場合
このように、請求明細書は取引の透明性を確保し、請求先の理解を得るための実務的な役割を担っています。記載ミスや漏れを防ぎ、後のトラブルを防止するためにも、正確で見やすい請求明細書の作成が求められます。
請求明細書と請求書・支払明細書の違い
ビジネス上で用いられる帳票には、請求明細書のほかにも「請求書」や「支払明細書」といった書類があります。それぞれの役割や発行者、記載内容には明確な違いがあるため、混同しないように注意が必要です。ここでは、請求明細書と請求書、支払明細書の違いを解説します。
- ■請求明細書・請求書・支払明細書の違い
-
書類 請求明細書 請求書 支払明細書 発行者 売り手 売り手 買い手 目的 請求金額の根拠を詳細に示す 代金の支払いを正式に依頼する 実際の支払い内容を売り手に明示する 主な記載内容 商品名・サービス名、数量、単価、税率、消費税額など取引の詳細 合計金額、請求先情報、支払期限、振込先など 支払日、支払金額、対象取引、振込先、控除項目など 用途 取引の透明性を確保し、請求内容を理解してもらう 正式な請求書類として支払い依頼を行う 支払いの内訳明細として発行し、認識の齟齬を防ぐ
請求明細書と請求書の違い
請求書は、代金の支払いを正式に求めるための書類で、合計金額・請求先・支払期限などの情報が簡潔にまとめられています。取引の最終的な請求額を伝える「本体」としての役割を担っているのが請求書です。
一方、請求明細書はその請求書の「中身」を補足する書類です。商品やサービスの名称、数量、単価、金額、消費税額など、請求金額の内訳が詳細に記載されています。
例えば、取引件数が多かったり、請求対象が複雑だったりする場合には、請求書に明細をすべて記載するのではなく、別紙として請求明細書の添付を求められることもあります。
請求明細書は、顧客とのトラブル防止や経理処理の効率化にも役立つでしょう。
請求明細書と支払明細書の違い
請求明細書は、売り手が顧客に対して発行する書類であり、「何に対していくら請求しているのか」という内訳を提示する目的で用いられます。
一方、支払明細書は、買い手が支払いを行った後に、実際の支払い内容を明示するために発行する書類です。「いつ・何に対して・いくら支払ったか」を記録する役割があります。
つまり、請求明細書は「請求の根拠」、支払明細書は「支払いの内訳明細」として、それぞれ立場も用途も異なります。これらを正しく使い分けることで、会計処理の正確性を高めるとともに、相互の信頼関係を維持することが可能になるのです。
※支払明細書の詳細は下記の記事もご覧ください。『BtoBプラットフォーム 請求書』で請求書の発行も受取もデジタル化!
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請求明細書の作成方法と記載項目
請求明細書の記載項目にフォーマットはありません。そのため、誰が見てもわかりやすく、必要な情報を正確に記載することが重要です。近年では、クラウド型の請求書発行システムや会計ソフトを導入し、作成や管理を自動化することで、記載ミスを防ぎながら効率的に運用する企業が増えています。
ここでは、請求明細書に記載すべき主な項目、作成時のポイント、そしてよくあるミスを解説します。
請求明細書に記載すべき主な項目
請求明細書には、次のような情報を記載するのが一般的です。これらの情報を過不足なく記載することで、請求内容の正当性を明確にし、顧客との信頼関係を築くことができるでしょう。
<請求明細書への主な記載項目>
- ・取引先の氏名または名称、住所
- ・発行者の氏名または名称、住所、電話番号、インボイス登録番号
- ・請求日(発行日)
- ・取引日
- ・商品・サービスの内容
- ・数量
- ・単価
- ・金額
- ・適用税率(税率10%、軽減税率8%等、内容ごとに区分)
- ・消費税額(税率ごとに分けて記載)
- ・税抜・税込の区分
- ・合計金額(小計+消費税)
- ・支払期限・振込先などの特記事項(必要に応じて)
請求明細書作成のポイント
請求明細書を作成する際は、次のような点を意識しましょう。
<請求明細書を作成する際のポイント>
- ・誰が見ても理解できるよう、項目や数値は明確かつ正確に記載する
- ・情報を詰め込みすぎて視認性が下がらないように意識する
- ・請求書と請求明細書の金額や内容は常に整合性を保つ
- ・インボイス制度に対応するため、軽減税率対象品目の明示や登録番号の記載を忘れない
これらのポイントを押さえることで、顧客とのトラブルを防ぎ、円滑な取引関係を維持できます。
請求明細書作成時のよくあるミス
請求明細書は取引の透明性を高めるために欠かせない書類ですが、作成時のミスがトラブルにつながることも少なくありません。ここでは、請求明細書作成時によくあるミスとその対処法を一覧にまとめました。
チェックリストとして活用し、正確で信頼性の高い請求明細書を作成しましょう。
- ■請求明細書を作成する際のよくあるミスと対処法
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よくあるミス 対処法 数量や金額の入力間違い、振込先口座情報の誤記 請求書と突き合わせてダブルチェックを徹底する 同じ取引の重複記載や抜け漏れ 自動チェック機能付きのシステムやテンプレートを活用する インボイス制度や電子帳簿保存法の要件不備 登録番号や税率区分を必ず記載し、フォーマットを定期的に見直す
請求明細書の主な送付方法
請求明細書を作成したら、顧客へ正しく送付することが大切です。
請求明細書の送付方法としては、主に「郵送」「メール送付」「FAX送付」「クラウド送付」の4つがあり、それぞれに特徴があります。送付手段によって、スピードやコスト、確実性に差があるため、顧客の要望や自社の業務フローに応じて最適な方法を選択しましょう。
- ■請求明細書の4つの送付方法
-
送付方法 メリット デメリット 郵送 ・正式書類としての印象を与えられる
・受取側が紙での管理を好む場合に適している・郵送費・印刷費がかかる
・到着まで時間がかかる
・紛失リスクがあるメール送付 ・即時送信でき、コストがほぼかからない
・データの保管・共有がしやすい
・セキュリティ対策を講じやすい・誤送信や添付漏れのリスクがある
・顧客がファイルを開けない場合もあるFAX送付 ・すぐに送信・確認が可能
・システム連携している企業には対応しやすい・画質が悪く読みにくいことがある
・顧客の受信環境に依存する
・控えの管理がしにくいクラウド送付 ・セキュリティが高く、誤送信リスクを抑えられる
・電子帳簿保存法対応に適している
・請求履歴を管理しやすい・顧客がクラウドシステムへログインする必要がある・顧客のITリテラシーやシステム導入状況に左右される
送付方法を選ぶ際は、単に利便性だけでなく、顧客の業務環境や慣習も考慮しましょう。また、どの方法を選んでも、送付記録を残しておくことがトラブル防止につながります。
請求明細書をメールで送付する場合の注意点
前述のとおり、請求明細書の送付方法には「郵送」「メール送付」「FAX送付」「クラウド送付」があります。
その中でも、手軽さやスピード、コスト面から最も広く使われているのがメール送付です。近年は請求業務の電子化やリモートワークの普及により、PDFを添付して送るスタイルが主流になっています。
ただし、メール送付は便利な反面で誤送信や改ざんリスクがあるため、次のポイントを押さえておくことが重要です。
<請求明細書をメールで送付する場合の注意点>
- ・事前に顧客の同意を得る
- ・PDF化してセキュリティ対策を行う
- ・電子印鑑やタイムスタンプを活用する
- ・請求書との関連性を明記する
事前に顧客の同意を得る
請求明細書をメール送付する際は、顧客に事前に合意を得ておくことでトラブル防止につながります。また、PDF形式での送付や電子押印の要否も確認しておきましょう。
PDF化してセキュリティ対策を行う
メール送付前に請求明細書をPDF化し、パスワード保護や編集制限をかけることで、情報漏洩や改ざんリスクを軽減できるでしょう。
従来はZIPファイルとパスワードを別メールで送る「PPAP」が一般的でしたが、近年はセキュリティ上のリスクが指摘され、公的機関でも廃止が進んでいます。代替策としては、パスワード付きPDFを直接送付する方法や、セキュアなファイル共有サービスの活用が推奨されています。
※脱PPAPの詳細は下記の記事もご覧ください。電子印鑑やタイムスタンプを活用する
請求明細書送付の際は、電子印鑑やタイムスタンプを用いることで、文書の正当性や改ざん防止を強化できます。
請求書との関連性を明記する
請求明細書と請求書が同一の取引にもとづくものであることを明記し、混乱を避けるようにしましょう。メールの件名や本文で「請求書および明細書添付のご連絡」といった一文を入れるのが有効です。
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請求明細書の保存期間と保管方法
請求明細書は、単なる請求補助資料としてだけでなく、税務調査や取引トラブル時の証拠資料としても重要な役割を果たします。そのため、法律上の義務や実務上の要請を踏まえ、適切な保存期間を守り、紙・電子を問わず信頼性の高い方法で保管することが求められます。
ここでは、法人・個人の保存期間と、紙・電子それぞれの保管方法について見てみましょう。
請求明細書は7年保存しておくのが安心
請求明細書には専用の保存義務はありませんが、取引関係を示す大事な書類として税法上の帳簿書類と同じ扱いになります。そのため、次の期間を目安に保管する必要があります。
- ■請求明細書の保存期間
-
事業形態 保存期間 法人 原則7年間。ただし欠損金が出た年度は最大10年間の保存が必要 個人事業主(青色申告) 原則7年間 個人事業主(白色申告) 原則5年間。トラブル防止のため7年間保存しておくのが安心 インボイス関連の請求明細書 発行側・受領側ともに7年間の保存が義務
つまり、事業の形態にかかわらず、「7年間は保存しておく」ことを基準にするのが安全です。税務調査や顧客との確認のときに重要な証拠となるため、必ず整理して保管しましょう。
※電子帳簿保存法の保存期間の詳細は下記の記事もご覧ください。
請求明細書の保管方法
請求明細書の保管方法には、「紙による保管」と「電子データによる保管」の2つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。業務体制や管理体制に応じた適切な方法を選びましょう。
なお、電子データで受け取った請求明細書は、電子帳簿保存法にもとづき電子データのまま保存することが義務化されています。
- ■請求明細書の保管方法別のメリット・デメリット
-
保管方法 メリット デメリット 紙での保管 ・直感的に管理しやすい
・法制度に詳しくなくても運用できる
・すぐに書類として提出できる・保管スペースが必要になる
・紛失・劣化のリスクがある
・検索性が低く探すのに時間がかかる電子データでの保管 ・検索や共有がしやすい
・保管スペースが要らない
・クラウド活用でバックアップ・セキュリティ面も強化できる・電子帳簿保存法に準拠する必要がある
・システム整備が必要な場合がある
・一定のITリテラシーが求められる
電子データで請求明細書の保管を行う場合は、タイムスタンプの付与や改ざん防止機能、アクセス権限の管理など、電子帳簿保存法で求められる条件を満たす必要があります。法定保存期間中に安全かつ正確にデータを保持できる環境を整備しておきましょう。
インボイス制度における請求明細書の対応
2023年10月から施行されたインボイス制度により、インボイス(適格請求書)の発行が必要となるケースが増えています。インボイスとは、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段で、登録事業者のみが発行できる書類です。
請求書だけでなく、請求明細書においても、インボイスに求められる記載項目がすべてそろっていれば、インボイスとしての効力を持ち、仕入税額控除の要件を満たすことができます。
<請求明細書(インボイス対応)に記載すべき主な項目>
- ・適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
- ・取引年月日
- ・取引内容(軽減税率対象品目は明示)
- ・税率ごとに区分した取引金額(税込または税抜)
- ・税率ごとの消費税額
- ・請求先の氏名または名称
出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」
これらの要件を満たすことで、請求明細書はインボイスとして認定されます。効率的かつ正確に作成するためには、請求書発行システムやインボイス対応のテンプレートを活用するのが有効です。
※インボイス制度の詳細は下記の記事もご覧ください。『BtoBプラットフォーム 請求書』で請求書の発行も受取もデジタル化!
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請求明細書の発行はシステムを活用してミスなく効率化しよう
請求明細書は、請求書の内訳を詳しく示すことで、取引の透明性を高め、金額に対する納得感を得てもらうために欠かせない書類です。請求書や支払明細書との違いを理解し、正確な情報をわかりやすく記載することで、誤解やトラブルの防止につながります。
請求明細書の発行の効率化と正確性の両立を図るためには、テンプレートの活用や、クラウド型の請求書発行システムの導入も有効です。インフォマートの「BtoBプラットフォーム 請求書」を活用すれば、請求書と整合性の取れた請求明細書を簡単に作成・送付・保存でき、業務負担の軽減と法令対応を同時に実現できます。
請求明細書の役割と対応方法を正しく理解し、自社の請求業務にしっかりと活かしていきましょう。
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よくある質問
Q. 請求明細書とは何ですか?
請求明細書とは、請求金額の内訳を詳細に記載した書類のことです。商品名やサービス名、数量、単価、税額など取引の内訳を明記し、一般的に請求書と併せて発行され、売り手と買い手双方の金額認識の齟齬防止に役立ちます。
詳細は「請求明細書とは、請求内容の内訳を詳細に記載した書類のこと」をご覧ください。
Q. 請求書と請求明細書の違いは?
請求書は代金の支払いを正式に依頼する書類で、合計金額、合計金額、請求先情報、支払期限、振込先などを記載します。一方、請求明細書は請求書の中身を補足する書類で、商品名・サービス名、数量、単価、税率、消費税額など取引の詳細を記載します。
詳細は「請求明細書と請求書・支払明細書の違い」をご覧ください。
Q. 請求明細書には法的効力がありますか?
請求明細書は代金の支払いを請求するための補足資料ですので単体での法的効力は限定的で、法的な発行義務もありません。
監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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