
最終更新日:2026年4月13日
納品書の保管期間は、法人と個人事業主で異なり、会社法や税法、インボイス制度、電子帳簿保存法など複数の法律が絡み合うため、正確に理解するのは簡単ではありません。もっとも、誤った保管期間や方法で管理すると、税務調査での不利益や罰則のリスクもあります。そのため、納品書の保管方法を正しく把握することは重要です。
そこで今回は、法人・個人ごとの納品書の保管に関するルールや、電子保存について解説します。
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目次
- 納品書とは、商品やサービスが顧客へ納品されたことを示す書類
- 納品書の保管義務のルール
- 法人の納品書の保管期間
- 個人事業主の納品書の保管期間
- 納品書の保管期間の起算日(カウント開始日)
- インボイス制度と納品書の位置づけ
- 納品書の保管方法
- 紙の納品書の保管方法の具体例
- 電子データでやりとりした納品書の保管方法
- 紙でやりとりした納品書を電子データで保管する方法
- 納品書の保管義務を怠った場合(紛失した場合)のリスク
- 法令違反による罰則と行政指導
- 税務調査での否認と追徴課税
- 顧客とのトラブルや訴訟リスク
- 納品書を紛失・破棄した場合の再発行
- 納品書は、ルールに沿って正しく保管しよう
- よくあるご質問
- 納品書は何年保管すればいいですか?
- 納品書の保管方法のルールはありますか?
- 納品書を保管しなかった場合に罰則はありますか?
納品書とは、商品やサービスが顧客へ納品されたことを示す書類
納品書とは、商品やサービスが顧客へ確かに納品されたことを示す書類です。受領者が納品内容を確認するために用いられ、取引の事実を証明する重要な役割を担います。
一般的に、納品書には下記のような情報が記載されます。
- <納品書の主な記載事項>
- ・発行日
- ・発行者
- ・受領者の名称・住所
- ・商品名
- ・サービス内容
- ・数量
- ・単価
- ・合計金額
- ・消費税額
これらの情報により、どのような内容の取引を行ったのかを具体的に把握することが可能です。
納品書の発行自体は法律で義務付けられているものではありませんが、実務上は取引の透明性を確保し、後日の認識違いやトラブルを防ぐ目的で広く利用されています。請求書が代金を請求するための書類、領収書が支払いを証明する書類であるのに対し、納品書は「納品された事実」を確認することに特化している点が特徴です。
なお、実務では納品書と請求書を一体化した「納品書兼請求書」が使われるケースもありますが、それぞれの書類の法的な役割は異なります。そのため、どの書類に該当するのかを正しく理解して管理することが重要です。また、発行者側が自社で保管するための写しは「納品書控え」と呼ばれ、一般的には原本とは別に管理されます。
納品書の保管義務のルール
納品書は、取引の事実を証明する重要な書類であるため、原則として発行した側・受領した側の双方に保管義務があります。具体的な保管期間は法人か個人事業主かによって異なり、会社法や税法など複数の法律にもとづいて定められています。
法人と個人事業主それぞれに適用される納品書の保管期間のルールは、下記のとおりです。
法人の納品書の保管期間
法人が保管すべき納品書の期間は、原則として10年と考えるのが安全です。会社法と法人税法ではそれぞれ異なる保管期間が定められていますが、より長い期間を定める会社法に従うと、10年の保管が必要になります。
会社法では、経営の透明性確保や将来的な紛争防止のため、計算書類の附属明細書について10年の保管義務を規定しています。納品書は、取引内容を裏付ける重要な附属明細書のひとつです。
また、法人税法では、税務調査に備える目的から帳簿書類を原則7年間保管することが定められています。ただし、青色申告法人で欠損金(赤字)を翌年度以降に繰り越して将来の利益と相殺できる繰越控除を受ける場合は、その控除期間に対応して10年間の保管が必要です。
このように、会社法では10年、税法(法人税法)では7年または10年と定められているため、どの法人においても納品書は10年間保管しておくことが確実な対応といえます。
個人事業主の納品書の保管期間
個人事業主の納品書の保管期間については所得税法や消費税法に規定があり、原則として5年ですが、条件によっては7年の保管が必要になります。
まず、所得税法では、事業に関する帳簿書類について5年間の保管が義務付けられています。原則として納品書も帳簿書類に含まれるため、白色申告・青色申告を問わず5年間の保管が必要です。
さらに、消費税の課税事業者や適格請求書(インボイス)の発行事業者に該当する場合は、消費税法の規定により、納品書を7年間保管しなければなりません。
なお、専業の個人事業主ではなく会社員の副業の場合も、雑所得として一定の収入を得ていれば、書類の内容などによっては保管義務が生じることもあります。
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納品書の保管期間の起算日(カウント開始日)
納品書の保管期間は、発行日や受領日からカウントされるわけではない点に注意が必要です。
法人と個人事業主では保管期間の開始をカウントする起算日がそれぞれ異なり、法人の場合、納品書の保管期間は原則として決算日の翌日からカウントされます。ただし、欠損金の繰越控除の適用を受ける場合は、確定申告書の提出期限の翌日が起算日となり、実質的に決算日から約2ヵ月後にカウントが始まります。
一方、個人事業主の場合は、確定申告書の提出期限の翌日が起算日です。
- ■納品書の発行日と保管期間の起算日のイメージ
-
起算日を誤って理解すると、保管の不備による法令違反につながるおそれがあるため、正確に把握しておくことが重要です。
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インボイス制度と納品書の位置づけ
インボイス制度とは、消費税の納税額を計算する際に、売上にかかった消費税から仕入れにかかった消費税を差し引く仕入税額控除を適正に行うことを目的として、2023年10月から開始された制度です。この制度では、原則としてインボイスを保存していることが仕入税額控除の要件となり、納品書でも下記のような記載要件をすべて満たしている場合はインボイスとして扱うことが可能です。
- <インボイスとして扱われるために必要な記載事項>
- ・適格請求書発行事業者の名称・登録番号
- ・取引年月日
- ・取引内容(軽減税率の対象になる場合はその旨も記載)
- ・税率ごとに区分した対価の額・適用税率・消費税額
- ・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
インボイスとして扱われる場合は、発行者・受領者の双方が、課税期間の末日の翌日から2ヵ月を経過した日以降7年間にわたって納品書を保管しなければなりません。
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納品書の保管方法

納品書の保管方法は、紙でやりとりしたか、電子データでやりとりしたかによって適用されるルールが異なります。また、紙で受け取った納品書を電子データの形で保管する場合も、法律上の要件を満たさなければなりません。それぞれの場合における適切な保管方法は、下記のとおりです。
<納品書の保管方法>
紙の納品書の保管方法の具体例
紙で受け取った納品書や、発行した納品書の控えは、年度別・月別に整理して保管するのが基本です。ファイルやボックスを活用し、ラベルを付けて管理することで、必要な書類を探しやすくなります。
納品書を台紙に貼り付けて保管すれば、ファイルへの保管がしやすくなり、後で見返す際にも内容を確認しやすくなります。保管場所は、湿気や火災リスクなどをできるだけ避けられる安全な場所を選び、長期間保存できる環境を整えることが重要です。
電子データでやりとりした納品書の保管方法
PDFなどの電子データで受け取った納品書や、請求書発行システムを通じて授受した納品書は、電子帳簿保存法により電子データのまま保管することが義務付けられています。この場合、紙に印刷して保存することは、原則として認められていません。
電子データでの保管には、改ざん防止のための「真実性の確保」の要件と、検索・表示がいつでも簡単にできるようにするための「可視性の確保」の要件を満たした形で保管することが求められます。要件の詳細は下記のとおりです。
- ■電子取引の保存要件
-
これらの要件を満たすためには、電子帳簿保存法に対応したシステムを利用して管理するのが適切です。なお、紙で受け取った納品書をスキャンして電子データにした場合は、このケースに当てはまらないため、次の項目で解説する要件を満たす必要があります。
紙でやりとりした納品書を電子データで保管する方法
紙で受け取った納品書をスキャンして電子保存する方法は、電子帳簿保存法により任意で認められている保管方法です。ただし、電子取引データの保存よりも厳格な要件が定められています。
例えば、下記のような要件を満たすことが必要です。
- <紙で受け取った納品書をスキャナ保存する場合の要件の例>
- ・解像度が200dpi相当以上
- ・カラーでのスキャン
- ・タイムスタンプの付与
- ・訂正不可のシステムの利用または訂正・削除履歴の管理
- ・検索機能の確保
- ・操作マニュアルの備え付け
要件を満たさない場合は電子保存として認められず、法令違反となるおそれがあります。なお、従来は紙の書類の電子保存には事前に税務署への申請が必要でしたが、電子帳簿保存法の改正により、税務署への事前申請は不要となりました。
電子データでの保管には、保管スペースの削減、検索性向上、紛失・劣化リスクの低減といったメリットもありますが、スキャン作業の手間、システムの初期導入コストなどのデメリットもあるため、適切な運用計画を立てることが重要です。
これらのデメリットを最小化にするには、電子帳簿保存法に対応したシステムを導入するのがおすすめです。例えば『BtoBプラットフォーム 請求書』を活用することで、納品書の発行・受領・保管までを効率的に電子化できます。
※『BtoBプラットフォーム 請求書』を活用した納品書の電子化の詳細については、「納品書の発行も受け取りもシステムでデジタル化(電子化)」をご覧ください。
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納品書の保管義務を怠った場合(紛失した場合)のリスク

納品書の保管を怠ったり、保管が必要な期間内に紛失してしまったりすると、法令上・実務上のさまざまなリスクが生じます。代表的なリスクとしては、下記の3点が挙げられます。
<納品書の保管義務を怠った場合のリスク>
法令違反による罰則と行政指導
会社法で規定された保管義務に違反した場合、会社や役員に対して最大100万円の過料が課される可能性があります。
また、税法上の義務に違反すると、青色申告の承認取り消しなどの不利益を受けるおそれもあります。悪質と判断された場合には罰金刑の対象となる可能性もあり、場合によっては企業の信用低下につながる点に注意が必要です。
過料や罰金などがなかったとしても、行政指導や是正勧告、行政処分の対象となるリスクはあります。
税務調査での否認と追徴課税
税務調査の際に納品書を提示できない場合、欠損金の繰越控除や消費税の仕入税額控除が否認される可能性があります。その結果、修正申告を求められ、追徴課税が発生するケースもあります。
顧客とのトラブルや訴訟リスク
納品書がないと納品内容を客観的に証明できないため、納品された内容の認識違いによるトラブルに発展したりする可能性があります。損害賠償請求や訴訟に発展すると、顧客や株主との信頼関係を損なう要因にもなりかねません。
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納品書を紛失・破棄した場合の再発行
納品書を紛失または誤って破棄してしまった場合は、すみやかに発行元へ連絡し、再発行を依頼することが重要です。再発行は法律上の義務ではないため、必ずしも対応してもらえるとは限りませんが、取引の証拠を残すためにも協力を依頼するのが望ましい対応といえます。
再発行を依頼する際は、再発行である旨を明記して発行日や納品書番号を原本と同一にして発行してもらうよう依頼しましょう。
なお、発行元の事情により再発行ができない場合は、契約書や請求書、メールのやりとりなど、取引内容を証明できる代替書類を保管しておくことも検討してください。
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納品書は、ルールに沿って正しく保管しよう
納品書の保管期間は、法人の場合は会社法にもとづいて10年保管し、個人事業主は原則5年、消費税の課税事業者やインボイスの発行事業者は7年の保管が必要です。また、保管期間の起算日は発行日や受領日ではないため、法人・個人それぞれのルールを正しく理解しておきましょう。
納品書は紙でも電子データでも保管でき、電子データで保管すると、保管スペースの削減や紛失リスクの軽減などのメリットがあります。ただし、電子データでの保存は電子帳簿保存法の要件に従わなければなりません。
インフォマートの『BtoBプラットフォーム 請求書』を利用すれば、請求書だけでなく納品書の発行から受領、保管までを一元的に電子化できます。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、さらにほかの帳票類との一元管理も実現できます。納品書の管理方法に悩んでいる場合は、導入をご検討ください。
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よくあるご質問
Q. 納品書は何年保管すればいいですか?
法人と個人で異なります。
・法人: 原則10年です。(会社法、法人税法に基づく)
・個人事業主: 原則5年ですが、課税事業者・インボイス発行事業者は7年間保管が必要です。(所得税法、消費税法に基づく)
Q. 納品書の保管方法のルールはありますか?
納品書の保管方法は、紙か電子データかによって適用されるルールが異なります。
・ 紙の納品書: 年度別・月別に整理し、安全な場所で保管するのが基本です。
・電子データでやりとりした納品書: 電子帳簿保存法に従い、電子データのまま保管することが義務付けられます。「真実性の確保」「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。
※紙で受け取った納品書を電子データで保管する場合(スキャナ保存):任意で認められていますが、電子取引データの保存よりも厳格な要件(例:解像度、カラー、タイムスタンプの付与、検索機能の確保など)を満たす必要があります。
Q. 納品書を保管しなかった場合に罰則はありますか?
納品書の保管義務を怠ると、法令上・実務上のさまざまなリスクが生じます。
・法令違反による罰則・行政指導: 会社法違反で最大100万円の過料、税法上の不利益(青色申告の承認取り消しなど)が生じる可能性があります。
・税務調査リスク: 控除の否認による追徴課税が発生する可能性があります。
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監修者プロフィール

監修者:宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上たちました。現在は、宮川真一税理士事務所の代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士