最終更新日:2023年6月5日
2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行によって、電子取引上のデータ保存が義務化されました。同時に、電子化に際して設定されていたさまざまな要件が緩和されています。スキャナ保存時のタイムスタンプの付与期間も、緩和された要件のひとつです。そこで今回は、改正電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについて、仕組みや取得方法、緩和された要件について詳しく解説します。
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目次
- 電子帳簿保存法は帳簿や書類のデータ保存を認める法律のこと
- タイムスタンプは電子化された書類に付与される時刻情報のこと
- タイムスタンプと電子署名の違い
- 電子帳簿保存法とタイムスタンプの関連性
- 改正電子帳簿保存法の施行によってタイムスタンプの要件はどう変わった?
- タイムスタンプの付与期限の緩和
- タイムスタンプの付与期間と付与要件の緩和
- タイムスタンプが必要な保存形式とは?
- スキャナ保存
- 電子取引
- タイムスタンプの発行方法
- 1 保有しているシステムのタイムスタンプの発行可否を確認する
- 2 書類をスキャンし、データをアップロードする
- 3 タイムスタンプの発行を時刻認証局に要求する
- 4 タイムスタンプトークンを受け取る
- 5 タイムスタンプを発行する
- タイムスタンプに費用はかかる?
- タイムスタンプを付与する際の注意点
- タイムスタンプの付与期間を守る
- 原本の取り扱い方針を決める
- タイムスタンプに対応するシステムの導入を検討しよう
電子帳簿保存法は帳簿や書類のデータ保存を認める法律のこと
電子帳簿保存法は、法人税法や所得税法などにもとづいて保存が義務づけられている帳簿・書類について、データで保存することを認める法律です。1998年の施行後、何度かの改正を経て、直近では2022年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行されています。
電子帳簿保存法には、下記に挙げる3つの保存形式があります。
・電子帳簿等保存
電子帳簿等保存とは、パソコンで作成した帳簿や書類を、データのまま保存する場合の保存形式です。パソコンで作成している請求書の控え、会計システムや会計ソフトで作成した帳簿や決算関係書類などをデータのまま保存します。
・スキャナ保存
スキャナ保存は、請求書や領収書などを自社が紙で作成したり、他社から紙で受け取ったりした場合に用いる保存方式です。スキャナーで読み取って、データ化して保存します。
・電子取引
電子取引は、領収証や請求書をはじめとした取引関連書類を介してパソコン上でやりとりする電子取引を行った場合に用いる保存方式です。取引のデータをデータとして保存します。
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タイムスタンプは電子化された書類に付与される時刻情報のこと
タイムスタンプは、その名のとおり電子化された書類に付与される時刻情報です。タイムスタンプの具体的な役割は下記のとおりです。
■タイムスタンプの役割タイムスタンプの役割 |
概要 |
---|---|
存在証明 |
タイムスタンプが刻印された時刻以前から、電子化された書類が存在していることの証明 |
非改ざん証明 |
タイムスタンプが刻印された時刻以降、電子化された書類が改ざんされていないことの証明 |
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タイムスタンプと電子署名の違い
タイムスタンプと同様に、書類が改ざんされていないことを証明する手段のひとつとして、電子署名があります。タイムスタンプは、あくまでも書類が作成された時刻と、それ以降の非改ざん性を証明するものであり、作成者が誰かまではわかりません。そこで必要となるのが電子署名です。
電子署名法で定められた、電子署名の要件は下記のとおりです。
■電子署名法で定められた電子署名の要件
電子署名の要件 |
概要 |
---|---|
本人性の証明 |
本人の意思によって電子署名が付与された事実を証明すること。印鑑証明書と同じ役割を果たす電子証明書が付与された電子署名を使うことによって証明する |
非改ざん性の証明 |
電子署名を付与した段階と現時点で、登録データが改ざんされてないかを確認できること。公開鍵暗号基盤(PKI)などの仕組みで改ざんを防ぐ |
電子帳簿保存法とタイムスタンプの関連性
電子帳簿保存法の対象となる書類は、領収書・請求書などの証憑(しょうひょう)書類や、貸借対照表・損益計算書などの決算書といった国税関係書類です。電子帳簿保存法に対応することによって、書類の破損や盗難、紛失のリスクが軽減され、検索性も向上して業務の効率化が期待できます。
一方で、気になるのが改ざんの可能性です。データは紙の文書と比べると改ざんが容易であるため、これまでは何らかの形でリスクヘッジをする必要がありました。そこで、リスク軽減を目的にタイムスタンプの付与が電子化の要件となったのです。
改正電子帳簿保存法の施行によってタイムスタンプの要件はどう変わった?
前述のとおり、タイムスタンプの付与を電子化の要件としたものの、その要件の厳しさから、タイムスタンプは思ったように普及しませんでした。また、国税関係書類の電子保存そのものの導入を躊躇している企業も少なくありません。
そのため、2022年1月1日に施行された改正電子帳簿保存法では、導入促進を目的としていくつかの要件が緩和され、タイムスタンプ要件も緩和されました。
ここでは、改正電子帳簿保存法の施行によって緩和されたタイムスタンプ要件について説明します。
タイムスタンプの付与期限の緩和
改正電子帳簿保存法によって緩和された要件のひとつが、タイムスタンプの付与期限です。
これまでは、書類のスキャンから3営業日以内に受領者が自署をした上で、タイムスタンプを付与する必要がありました。改正後は受領者の自署が不要となり、タイムスタンプ付与期間も最長で2ヵ月以内と大幅に延長されています。
これにより、月末や月初、繁忙期などには、実務を終わらせてからタイムスタンプの付与に取り掛かれるようになりました。従来に比べて経理担当者の負担が大幅に軽減されるため、人手不足の企業でも電子保存に取り組みやすくなっています。
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タイムスタンプの付与期間と付与要件の緩和
データ保存時のタイムスタンプ付与も、改正電子帳簿保存法によって変更された点です。
これまでデータ保存を行う場合は、例外なくタイムスタンプ付与が必須でした。限られた期間ですべてのデータにタイムスタンプを付与する必要があり、経理担当者の負担が非常に大きかったのですが、今回の改正により、タイムスタンプの付与期間が緩和されたのです。
また、今回の改正によって、タイムスタンプ付与期間の緩和と併せて、タイムスタンプ付与自体の要件も緩和されました。訂正・削除の機能がないシステムか、もしくは訂正・削除の履歴を残すことができるシステムを使ってデータを保存する場合に限り、タイムスタンプの付与が不要になったため、経理担当者はタイムスタンプ業務から解放されるようになったのです。
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タイムスタンプが必要な保存形式とは?
改正電子帳簿保存法の施行により、訂正・削除の記録を残して作成した国税関係帳簿書類や、訂正・削除できないシステムで電子的に作成した国税関係帳簿書類については、タイムスタンプが不要となりました。そのため、タイムスタンプが必要な保存形式は、スキャナ保存と電子取引の2つになっています。
ここでは、タイムスタンプが必要となる2つの保存形式について、それぞれ詳しく説明します。
スキャナ保存
タイムスタンプが必要な保存形式としてスキャナ保存があります。スキャナ保存の対象は、途中で手書きの記録があるなど、一貫して電子的に作成していない自社発行書類の控えと、紙で受け取った請求書や国税関係書類です。
スキャナ保存では、タイムスタンプの付与が保存要件として定められています。改正電子帳簿保存法の中で国税庁が定めたスキャナ保存の要件には「一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に、一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務に係るタイムスタンプを付すこと」と記載されています。一の入力単位とは、複数枚にまたがる国税関係書類のすべてのことです。例えば書類が3枚で構成されているのなら、1回で読み取る3枚すべてが1の入力単位となります。
また、請求書や納品書などのお金の流れの証拠となる重要書類の場合は、最長2ヵ月と概ね7営業日以内にタイムスタンプが付与されますが、見積書や注文書などの取引がまだ確定していない段階の一般書類は適宜付与が認められています。

電子取引
電子取引もタイムスタンプが必要な保存形式です。電子取引の対象は、電子データとして送信、または受領した国税関係書類です。電子取引では、タイムスタンプの付与は必要要件ではないものの、選択要件にはなっています。電子取引を行う際は、下記の措置のいずれかを行うことが定められています。
<電子取引において定められている選択要件>
・タイムスタンプが付与されたデータを受け取っている
・タイムスタンプのない書類を受け取ったら、すぐにタイムスタンプを付与している
・訂正、削除の履歴が残るシステムを利用している
・電子取引データの訂正、および削除の防止に関する事務処理規程を策定・運用している
事務処理規程を策定するだけでもこの要件を満たすことができるため、電子保存でタイムスタンプを不要にすることは比較的容易でしょう。
タイムスタンプの発行方法
タイムスタンプはどのようにして発行するのでしょうか。ここでは、システムを利用したイムスタンプの一般的な発行方法を解説します。

1 保有しているシステムのタイムスタンプの発行可否を確認する
まず、システムにタイムスタンプを発行する機能が備わっていることを確認します。機能がない場合、もしくは基本サービスにない場合、システムの移行やオプションサービスへの加入を検討しても良いでしょう。
2 書類をスキャンし、データをアップロードする
保有しているシステムでタイムスタンプが発行できるようになったら、次に対象の書類をスキャンします。
スキャナーがない場合、スマートフォンなどで撮影した画像でも代替できますが、解像度200dpi以上、赤色、緑色および青色の階調がそれぞれ256階調(約1677万色)以上などの基準を満たす必要があります。
データのスキャンが完了したら、使用しているシステム、またはクラウドにデータをアップロードします。
3 タイムスタンプの発行を時刻認証局に要求する
データのアップロードができたら、時刻認証局 (TSA)にデータのハッシュ値を送付し、タイムスタンプの発行を依頼します。ハッシュ値とは、元のデータから一定の計算手順によって生成される固有の文字列のことです。電子ファイルの内容が少しでも違えばハッシュ値も変わるため、同じものは存在しません。
4 タイムスタンプトークンを受け取る
刻認証局は、電子書類のハッシュ値に時刻情報を付与したタイムスタンプトークンを生成して電子書類作成者に送信します。タイムスタンプトークンとは、時刻を偽造できないよう、ハッシュ値と時刻情報を合わせたものです。
5 タイムスタンプを発行する
システムにデータをアップロードすると、時刻認証局からタイムスタンプが発行されます。
タイムスタンプが発行されたら、元データのハッシュ値とタイムスタンプトークンのハッシュ値を照らし合わせ、一致しているかどうか確かめましょう。一致していればタイムスタンプによる存在証明と非改ざん証明がなされたということになり、書類が原本であることと、タイムスタンプの時刻に存在したことが証明されます。

タイムスタンプに費用はかかる?
タイムスタンプの利用には、費用がかかります。
具体的な金額はタイムスタンプの事業者によって異なりますが、システムの月額利用料に含まれている場合と、タイムスタンプを付与するごとに費用がかかる場合があります。タイムスタンプを頻繁に利用するなら月額定額制、あまり使用しないなら従量課金制と、自社の状況によって支払方法を判断することが大切です。
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タイムスタンプを付与する際の注意点
タイムスタンプを利用するにあたって、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
ここでは、タイムスタンプを付与する際の2つの注意点について説明します。
タイムスタンプの付与期間を守る
タイムスタンプを利用する際には、必ず付与期間を守らなければなりません。
タイムスタンプの付与期限が緩和され、一部の書類はタイムスタンプを付与する必要がなくなりました。しかし、依然としてタイムスタンプを付与しなければならない書類も多く存在しています。業務フローの中に組み込んで忘れないようにするとともに、関係者に早めの対応を呼びかけましょう。
原本の取り扱い方針を決める
タイムスタンプを付与する際には、事前に原本の取り扱い方針を決めておく必要があります。
2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行以降、スキャナ保存した書類の原本はすぐに破棄できるようになりました。担当者が管理に迷わないよう、例えば上長が確認したら破棄する、担当者の一存で破棄しても良い、などの原本の取り扱い方針を定めて周知しましょう。
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2022年の改正電子帳簿保存法の施行によってタイムスタンプの要件が緩和され、担当者の負担はかなり軽減されました。ただし、導入しているシステムが改正電子帳簿保存法の要件に対応していなければ、これまでどおりの方法でタイムスタンプを付与しなくてはなりません。
導入しているシステムの機能を確認し、必要に応じてシステムの移行を検討しましょう。
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よくある質問 Q1.電子帳簿保存法でタイムスタンプは必須ですか? 電子帳簿保存法の改正により訂正・削除の記録を残して作成した国税関係帳簿書類や、訂正・削除できないシステムで電子的に作成した国税関係帳簿書類については、タイムスタンプは不要になりました。そのため、タイムスタンプが必要な保存形式は、スキャナ保存と電子取引の2つのみです。詳しくは「改正電子帳簿保存法の施行によってタイムスタンプの要件はどう変わった?」をご確認ください Q2.タイムスタンプはどんなものですか? タイムスタンプは、電子化された書類に付与される時刻情報です。刻印された時刻以前から、電子化された書類が存在していることの存在証明と、時刻以降に電子化された書類が改ざんされていないことの非改ざん証明としての役割があります。詳しくは「タイムスタンプは電子化された書類に付与される時刻情報のこと」をご確認ください Q3.タイムスタンプは誰が発行するのですか? タイムスタンプは時刻認証局 (TSA)に発行を依頼します。システムを利用したタイムスタンプの一般的な発行方法については、タイムスタンプの発行方法をご確認ください。システムを利用したタイムスタンプの一般的な発行方法については、「タイムスタンプの発行方法」をご確認ください。 |
監修者プロフィール

宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。
【保有資格】CFP®、税理士
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