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BtoB決済の未来ーフィンテックがもたらす“未来予想図”

BtoB決済の未来ーフィンテックがもたらす“未来予想図”

最終更新日:2018年11月2日

近年、フィンテック(Fintech)の発展と定着により、社会の構造変化が起こり始めている。個人向けではキャッシュレス化が進んでおり、仮想通貨による決済や取引のリアルタイム性を求められるようになってきた。一方、月末に請求を締め、翌月末に銀行振込で支払うと長年変わることのなかったBtoB決済にも、同様の波が押し寄せてきている。そこで今回は、日本のフィンテック企業や金融・決済サービス企業で結成された一般社団法人Fintech協会の代表理事会長・丸山弘毅氏に、近い将来に起こり得るBtoB決済の変化についてうかがった。

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目次

<現在>時代に取り残された企業間決済

急速に広がりつつある個人向け決済サービス。企業間決済への波及はありうるのだろうか。

個人向けで急速に進む決済のキャッシュレス化

現金やATMを使う機会が減ったとは感じないだろうか。近年、フィンテックの台頭により、現金を使わないキャッシュレス決済や、銀行を介さない決済・送金サービスが数多く登場している。個人の買い物をクレジットカードや電子マネーなどで支払うキャッシュレス決済の比率は約20%で、経済産業省は2025年に40%に高める目標を定めている。

これまでになかった新しい決済の形も出てきた。スマートフォンとQRコードを使って支払いを行うQRコード決済だ。おサイフケータイやアップルペイなどと異なり、スマートフォンの機種に関係なく、アプリをインストールすることで利用することができる。

中国で急速に普及しており、国内でも楽天やLINEに加え、アマゾンが参入したことも大きく報じられた。これらのサービスの多くは決済だけでなく、アプリを通じて送金する機能も備える。

劇的な進化を遂げつつある個人向けの決済サービスの一方で、BtoB(企業間)決済の動向はどうだろうか。取引金額のほとんどを占めるのは銀行振込だ。その他には口座振替、クレジットカード、代金引換、手形といった手段もあり、直接現金をやり取りする例は極めて少ない。その意味ではキャッシュレス化は進んでいるものの、現状は個人向けのようにフィンテックを活用した大きな変化がみられるとはいえない。

BtoBでの決済はなぜ変わらないのか。一般社団法人Fintech協会の丸山弘毅代表理事会長はこう分析する。

「新たな技術が登場した際、普及のカギを握るのはUX(ユーザーエクスペリエンス=体験)です。製品やサービスを利用して便利さを実感し、また使いたいと思わせる体験が必要なのです」

現状のBtoB決済では、サービス提供者側のつくったルールに合わせる側面が強いため、使う側はメリットを感じにくいと考えられる。

複数の経理業務をまとめる新・決済システムへの期待

これは個人向けサービスで考えるとわかりやすい。たとえば、タクシーでの支払いに電子マネーを使うと現金支払いよりも便利だが、さらに乗車中にスマートフォンのアプリで支払いを済ませられれば、到着と同時にすぐ車を降りることができ、より便利だと実感できるだろう。

また、コンビニで買い物する際も、①ポイントカードを出し、②電子マネーを出して決済し、③レシートを受け取るという3つの作業を、アプリを見せるだけですべて完結できればUXは劇的に向上する。

「複数の動作をまとめることこそが使う側のメリットとなりますが、そのためには異なるシステムの連携も必要です。BtoB決済が抱える課題もそこにあります。近い将来、より多くの経理業務が繋がったりまとまったりする新たな決済手段が生まれ、圧倒的な便利さを体感できれば、従来の銀行振込から乗り換える強い動機になるでしょう」

システムの連携という面では、企業の経理部門を取り巻く技術革新も確実に進んでいる。たとえば、2017年に銀行API(口座情報や取引機能を外部ソフトウェアやアプリに提供するしくみ)が開放されたことで、クラウド会計や電子請求書システムなど経理周りのさまざまなシステムの利便性は飛躍的に向上した。すでにRPA(業務自動化)は普及段階に入っており、新しい決済の仕組みが登場すれば企業の経理部門は劇的な効率化も見込める。




BtoB決済のネックは「支払サイト」と「振込手数料」

とはいえ現状のBtoB決済は、システムの連携や自動化だけでは解決できない様々な課題を抱えている。まず挙げられるのは、「月末締め、翌月末払い」といった支払サイトだ。商品の売買から実際の支払いまでのタイムラグは企業の資金繰りを左右する切実な問題だが、現状では買い手のルールに従わざるを得なかったり、大企業が優位に立ちやすい傾向にある。

「多少の手数料を払ってでも早く入金が欲しいというニーズは多い」と丸山氏は言う。決済代行サービスなどでは、締め日を増やしたり支払サイクルを短縮するオプションサービスが登場している。しかし、純粋な企業間での取引では、支払サイトを変更することは一般的に難しい。また、銀行を介した決済は振込に手数料がかかる点も大きい。先ほどの「月末締め、翌月末払い」が企業間取引で一般的な理由の一つに、都度決済を行っていると毎回手数料が発生してしまう―― という問題を防ぐ目的もある。

銀行振込は振込1件ごとに手続きが必要で、取引件数が多ければ多いほど手間もコストも増してしまう。すべての取引を1回の支払いにまとめることができれば、経理部門の負担は劇的に削減できるだろう。

企業間決済が抱えるこうした課題は解決できるのか。BtoB決済の未来について検証していく。

<未来>フィンテックがもたらす“未来予想図”

企業間決済が抱える課題は見えてきた。それらを解決する3つの未来を想像してみよう。

  1. 未来予想図
  2. ①「即時払い」が当たり前になる
  3. ②「デジタル通貨」が法定通貨に代わる
  4. ③複雑な入出金が1回にまとまる

未来予想図①「即時払い」が当たり前になる

「月末締め、翌月末払い」などの支払サイトがなくなり、リアルタイム決済に変わっていく。



近年のアメリカや中国などでは、個人の買い物の場合、実質的な支払いを翌月に回せるクレジットカードより、リアルタイムで銀行口座から引き落とされるデビットカード決済が普及している。そして企業間取引でも、即時決済が一般的だ。

「海外では、納品を受けたら即時入金するのが標準です。支払サイトの概念はありますが、支払いまで時間を空ける場合は、その分の金利や手数料を支払うという考え方が浸透してきています。日本のように『タダで支払いを遅らせる』という考え方は一般的ではなくなってきました」

日本でも今後、支払サイトが短縮したり、即時払いが普及する可能性は大いにあると丸山氏は指摘する。その理由の一つとしてあげられるのが従業員への賃金の支払いだ。労働力不足が深刻な問題となっている今、従業員に対する即時払いのニーズが高まっているという。

「働いてからその対価を得るまで最大1カ月程度の期間がある現在のシステムは、雇用側に有利で、労働者側にとっては不利です。賃金の早期受け取りのニーズに応え即時払いを導入すれば労働力を確保しやすくなるため、導入に踏み切る企業が出てくることは十分あり得るでしょう」

早く賃金を払うためには、顧客からの支払いも早めてもらう必要がある。結果として、BtoB決済でもリアルタイム性が高まると考えられている。

このリアルタイム性は、融資にも波及している。一般的に銀行などの金融機関は、融資を希望する企業に過去3期分程度の決算書や事業計画書などの書類を提出させて審査をする。書類の作成や銀行の審査で、融資が実行されるまで1週間~1カ月程度かかるのが通例だ。

これに対し、数多くの決済データを持つ事業者が、日々の取引履歴をもとに即時審査をする「トランザクション(取引履歴)レンディング」と呼ばれる新しい融資の形が出てきた。アマゾンや楽天、GMOなどの事業者が既に提供を始め、最短1日で審査が完了する。

このように、企業にまつわるお金の流れは、今後ますます即時性を高めていくだろう。

未来予想図②「デジタル通貨」が法定通貨に代わる

決済のたびに発生する手数料をなくすために、新しい通貨の登場が望まれている。





決済のリアルタイム性を高めるうえでネックとなってくるのが、銀行振込の手数料だ。納品を受けた後に、即時に決済をする場合、その度に手数料がかかってしまう。この問題の解決策として期待されているのが『デジタル通貨』と呼ばれる新しい通貨だ。既存のビットコインに代表されるような仮想通貨や電子マネーとは異なる、新たな概念として注目されている。

仮想通貨との大きな違いは、発行主体(日本円にとっての日本銀行のような通貨を発行する管理者)があり、円に対しての価値も変動せず、いつでも換金できる点だ。発行主体には、楽天やアマゾンのようなプラットフォームを運営する企業が想定されている。

プラットフォームを利用する企業間での取引は独自のデジタル通貨で支払い、または受け取りを行って、円に換金することになる。プラットフォームが複数できて異なるデジタル通貨が流通しても、デジタル通貨同士も交換できれば問題はないという。

「奇抜な発想と感じるかもしれませんが、すでに決済サービスのペイパルではアカウント内で債権と債務の相殺が可能ですし、フリマアプリのメルカリでも売上金をポイントにして購入資金に充てる機能があります。こうした機能が企業間決済に拡大していくのは時間の問題かもしれません」

お金のハブ機能を果たすことを考えれば、運営主体となるプラットフォーマーには、銀行が真っ先に思い浮かぶ。三菱UFJ銀行はすでに1コイン=1円と定める独自のデジタル通貨『MUFGコイン』を構想し、実証実験を始めている。

他にも、みずほフィナンシャルグループは、ゆうちょ銀行や地方銀行と共に、共通のデジタル通貨『Jコイン』の発行を予定している。

また、BtoCではアマゾンや楽天など巨大なマーケットプレイスを持つ事業者や、BtoBでも決済や受発注関連サービスを提供する業者などが主体となることも想定されている。

未来予想図③複雑な入出金が1回にまとまる

複数企業間での振込作業を相殺できる、仕組みづくりが期待されている。






毎月繰り返される振込作業と、それにかかるコストの問題を一気に解決できる可能性を秘めるのが、「マルチラテラルネッティング」という仕組みだ。

「ネッティング」とは、互いに売買取引のある2つの企業同士(バイラテラル)で、一定期間の支払いと受け取りを帳簿上で相殺し、差額だけを支払う方法だ。2社のうち債務が上回っている方が1回支払うことでやりとりを終わらせることができるので、振込の手間とコストが1回分で済む。

ネッティングを多数の企業間で行うのがマルチラテラルネッティングだ。数多くの取引先に債権や債務を持っている場合でも、それらを一定期間分をひとつにまとめ、債務が上回っていれば1回の支払い、債権が上回っていれば1回の入金があり、それで完結する仕組みを指す。取引社数や件数に関わらず1回で済むようになるので、件数が多いほどメリットは大きくなる。

ただ、問題もある。この仕組みでは、最後に残った1回の支払いあるいは入金が、どの社に対するものかがわからなくなり、法的な有効性もはっきりしなくなるのだ。

これを実用化する現実的な選択肢として、特定のプラットフォームがまとめ役(ネッティングセンター)となって参加企業の債権や債務を取りまとめ、デジタル通貨を介して支払いを行うという仕組みも考えられている。

<Editor's note>

ここまで、企業間決済の未来を予想してご紹介してきたが、いずれもまだ現実的な運用には至っていない。

だが、そう遠くない将来に、決済のスピード化やリアルタイム化、円という法定通貨以外の通貨の活用といった局面が来ると考えられる。

新しい決済の仕組みが登場すれば企業の経理部門は劇的な効率化も見込める。経理を担当するビジネスパーソンは、導入の是非に関わらず新サービスの情報を貪欲に集めたり、個人向けサービスも積極的に試すなどしてアンテナを張り巡らせておきたい。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。


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監修者プロフィール

一般社団法人Fintech協会/代表理事会長 丸山 弘毅

慶應義塾大学商学部を卒業後、株式会社ジェーシービーで与信管理、マーケティング、新規事業開発やM&Aを担当。業界初となるOne to Oneマーケティングシステムを構築する。2006年に株式会社インフキュリオンを創業し、決済、マーケティング、情報活用戦略などを手がける。2015年に同社代表取締役、一般社団法人Fintech協会代表理事に就任。

https://www.fintechjapan.org/

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