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セミナーレポート:東京と札幌で見えたDXのリアルな違い~「こうすればよかった」を実践した経理DX、今日から5分で踏み出せる最初の一歩~

セミナーレポート:東京と札幌で見えたDXのリアルな違い~「こうすればよかった」を実践した経理DX、今日から5分で踏み出せる最初の一歩~

最終更新日:2026年7月16日

2026年5月8日に開催された「札幌国税局・実務のスペシャリストがひも解くバックオフィスの最前線」における、亀田温大氏(北海道ソーシャルメディアネットワーク協会 会長)の講演パートをお届けします。東京と北海道の両拠点でDX支援を行う亀田氏が見てきた「地域によるDXの壁の違い」から、多くの企業が陥りがちな「経理DXの3つの失敗」、そして明日からすぐに実践できる「5分で踏み出せる最初の一歩」まで、現場のリアルな声に基づいた実践的なノウハウが語られました。

登壇者プロフィール

北海道ソーシャルメディアネットワーク協会 会長
(KAMERAD株式会社 代表取締役社長) https://kame-rad.co.jp/
亀田 温大氏

  • KAMERAD株式会社代表
  • 北海道ソーシャルメディアネットワーク協会会長
  • 札幌ホットスポットガイド運営(北海道PRメディア)
  • HOKKAIDO JOURNAL運営(世界へ向けた多言語SNS発信)
  • 一般社団法人ウェブ解析士協会(ウェブ解析士資格保有)
  • 地方M&A / 事業承継窓口
  • 札幌市を拠点に北海道内に5つの拠点(現在も拠点数拡大中)

目次

スライド_今日、お持ち帰りいただきたい 4つのこと

東京と札幌で見えた「DXの壁」のリアルな違い

DXの推進において、東京と地方(札幌)では直面する「壁」の種類が全く異なります。

【東京の壁:予算と人材の奪い合い】東京の中小企業がDXで最もつまずく理由は「お金(予算が割けない)」であり、全体の28.3%を占めています。東京には最新情報やツールが密集していますが、IT人材は大手企業に囲い込まれており、中小企業では採用が難しいのが現状です。
また、DXに着手した企業の66.2%が「ツールは入れたが、紙をデジタルにしただけで仕事が変わっていない」という状況で止まっています。

スライド_東京の最大の壁は、「お金」

【札幌(地方)の壁:人材不足と「何から始めればいいか分からない」】
一方、地方における最大の壁は「人材不足」で、36.2%と圧倒的1位です。東京のように「お金」が大きな壁にはなっていません。さらに地方特有の特徴として以下の3点が挙げられます。

  • 「何から」が見えない:32.5%の企業が「何から始めていいかわからない」と回答しており、これは東京の約4倍にのぼります。
  • 意欲は東京より高い:「DXを推進したい」と答える割合は東京より約25%も高く、非常に熱量があります。 これは地方の強みといえる部分です。
  • 拠点が離れている:本社が東京、現場が札幌といったように決裁者と現場が離れており、本社主導で入れたツールが現場で使いづらいというケースが頻発しています。

スライド_札幌の最大の壁は、「人」

DX推進のキーマンにおいても、東京だと社内にDX推進室といったDX推進チームが置かれます。対して、地方は経理担当者が色々全部こなしすという状況が今も多い印象です。何から手を出せばいいか分からない状況で難しく見えてしまう部分があります。

よくある失敗の形も結構違います。東京はツールを入れただけで満足して、結局使われてない。札幌は決断が遅れてもう何も変わっていかない、結局進まないケースです。 「強み」については、東京はやはり情報の最先端。スピードとか選択肢が多いのに対して、札幌は継続力、意欲が大きなポイントです。ここは東京と比較しても、DXを推進できる可能性を秘めていると思っています。

スライド_同じ「DXが進まない」でも、原因はこんなに違う

東京と札幌でやり方や壁は違えど、「紙と手作業が多い」「経理に負担が集中している」「ツールはあるのに仕事が変わらない」という根っこの悩みは共通しています。

スライド_やり方は違う。でも、悩みは同じ

  • 根強く残る「紙と手作業」主体の業務フロー
    中小機構の調査(2024年)によると、DXへの取り組みで最も多いのが「文書の電子化(57.6%)」です。しかし、その実態は「ひとまず紙をデジタルデータに置き換えただけ」という初期段階に留まっています。
    実際のDX支援の現場でも、いまだに「紙で申請を受け付け、その原本を本部に集めてバインダーやフォルダで物理的に管理している」といった、アナログな運用が主流のケースが多く見られます。
  • 法改正に伴う「経理部門への負担集中」
    電子帳簿保存法の義務化などへの対応により、経理担当者1人あたり平均で月4.5時間も業務量が増加しているというデータが出ています。
    制度への対応コストや確認作業の増加が、特定の担当者や経理部門全体の大きなプレッシャーとなっています。
  • 「ツールを入れただけ」で終わる業務の停滞
    国の調査では、DXに着手した企業の実に66.2%が「単に紙をデジタルにした段階」で足踏みしているという結果が出ています。
    高機能なツールを導入したものの、結局は使いこなせず、実際の仕事の進め方や業務効率は何一つ変わっていないという「形骸化」が多くの企業で起きています。

絶対に避けるべき「経理DX 3つの失敗」と正しい進め方

現場で何度も見てきた、典型的な経理DXの失敗パターンをもとにその解決策をご紹介します。

スライド_ツールから決めてしまった。

失敗①:ツールから決めてしまった

  • やってしまったこと:法対応などで焦ってAI-OCRや会計ソフトなど高額なシステムを導入したものの、誰も使いこなせず結局Excelに戻り、二度手間になってしまった。
  • こうすればよかった:ツール選びは最後のおまけです。まずは「どの業務をどう変えるか」やめる業務と残す業務を紙1枚に書き出し、業務の整理から始めるべきでした。

スライド_経理現場を、後回しにした。

失敗②:経理現場を後回しにした

  • やってしまったこと:経営陣だけで方針を決め、現場に「これを使え」と丸投げした結果、現場が反発して運用が回らなくなった。
  • こうすればよかった:経営者と現場のキーマンが一緒に考えることが重要です。1時間でもいいので現場の担当者と雑談し、「何に困っているか」を吐き出してもらうステップが必要です。

スライド_「全部、一気に」を狙った。

失敗③:「全部、一気に」を狙った

  • やってしまったこと:請求書、経費精算、稟議など、経理業務をすべてまとめてDXしようとした結果、現場が混乱し、成果が出る前に体力が尽きて頓挫した。
  • こうすればよかった:DXは「勝てる場所で小さく勝ち癖をつくる」ことが重要です。まずは請求書受領など1業務に絞り、3ヶ月で見える小さな成功体験を作ってから次の業務へ進むべきです。

スライド_経理DXは、こういう順番でいけばよかった。

【失敗から得た、正しい順番】

  • 1. 毎月の経理業務を紙に書き出して「見る」
  • 2. 現場の人間と「話す」
  • 3. 全部やろうとせず、1つの業務で「勝つ」

札幌の企業が目指すべき「Phase 3」の未来

スライド_東京と札幌、フェーズの差は確かにある。

中小企業のDXには3つの段階があります。

  • ・Phase 1:紙と手作業の段階(札幌の企業の多くがここ)。
  • ・Phase 2:ツールを入れたが仕事は変わらない段階(東京の企業の多くがここで停滞)。
  • ・Phase 3:1業務に絞り、仕事のやり方自体が変わる段階。

札幌の企業は、東京の真似をして「ただツールを入れるだけ」のPhase 2に陥る必要はありません。持ち前の「続ける力」を活かし、最初からPhase 3を直接目指すことが可能です。

それが実現できれば、3年後には

  • ・経理が経営の右腕になる
  • ・月次決算が5営業日以内に早まる
  • ・属人性が消え、誰でも引き継げるようになる

といった理想の未来に到達できます。

スライド_3年後、北海道の中小企業はこうあるべき。

今日から5分で踏み出せる最初の一歩

DXは構想力ではなく、着手力がすべてです。完璧な計画を立てるより、まずは以下の「5分でできるアクション」のどれか1つを実践してみてください。

スライド_どれか1つでいい。今夜、または明日の朝、やってみてください。

  • 1. 「紙の業務」を1枚に書き出す:
    経理業務で紙が登場する瞬間をすべて白紙に書き出してみる。
  • 2. 経理担当に「困りごと1つ」を聞く:
    LINEや口頭で「今、一番しんどい作業は何?」と聞き、今月はそれだけを改善すると決める。
  • 3. 請求書1枚をAI-OCRに食わせる:
    紙の請求書をスマホで撮影し、システム上で自動化されるリアルを体感する。

スライド_本日のまとめ

最後に、DXで一番重要なのは、構想力ではなくて着手力です。
5分でも現実は変わります。完璧な計画よりは5分の現場観察からまずは始めていくのが成功要因。そしてその現場から出た課題を、「今月はこのセクションをデジタル化していこう」といった進め方で、ひとつひとつ積み重ねていくことが大事です。
動かなければ何も始まりません。会場を出たら、まずは5分間、自社の経理DXの「最初の1メートル」を踏み出してみてください。

KAMERAD株式会社:https://kame-rad.co.jp/

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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