株式会社大黒屋取材日 2018年3月28日

飲食店の秘伝の味を作る老舗ソースメーカー。
中小だからこその情報管理と発信で、食の安全と取引先の開拓に役立てています。

利用サービス 規格書(メーカー) | エリア 関西 | 業種 調味料製造
株式会社大黒屋

「食いだおれの街」大阪の食文化を支える、老舗ソースメーカーの株式会社大黒屋様。長年培ったソース作りの経験を生かした専用ソースの開発で、味にこだわる飲食店のニーズに応えています。秘伝の味を作る情報管理とその活用方法を、代表取締役社長 大西 英一様と、品質管理責任者の常務取締役、大西 正之様に伺いました。

ココがPOINT!

小さなメーカーならではの、顧客ニーズに応えるソース作り

― 沿革と事業内容を教えてください。

代表取締役 大西 英一様(以下、大西社長):創業は1923(大正12)年、創業者が独自にソース作りを勉強して、ソースと酢を売っていたのがはじまりです。主力商品のソースは、業務用と小売用に製造・販売しています。主な取引先様は卸や飲食店様などあわせて500社ほどです。売上比率は業務用が圧倒的に多く、今、一番の売れ筋は串カツソースです。その他、お好み焼きやたこ焼きなど、粉物文化の大阪にソースは欠かせません。

弊社の特徴として、オリジナルソースの製造を大ロットはもちろん、100リットルという小ロットのご注文からも承っています。大手メーカーだと、1,000リットル未満は採算がとれないため作れないのですが、弊社では業務用の大型容器に限り小ロットでの製造も可能です。お店の料理に合うソースを求める飲食店さんのこだわりにあわせ、長年の経験を生かしたご提案をさせていただいています。

そうしたこともあって、各飲食店用に開発したPB商品は、NB商品より多くなりました。

代表取締役
大西 英一様

― アイテム数が多いと、商品情報の管理が大変そうですね。

大西社長:オリジナルのPB商品を作るためには、取引先へ提出する商品規格の管理は欠かせません。しかし、業界としては長い間、商品情報を管理するという意識は希薄だったと思います。

大阪の中小規模ソースメーカーの多くは取扱商品数が極端に少なく、ソースならソース1種類だけを長年作り続けているところが少なくありません。また、昔も今も、町のお好み焼き屋さんなどの個店の飲食店と直接取引しています。個店から「このソース何が入ってんねん」と規格書の提出を求められることもまずありません。

常務取締役 大西 正之様(以下、大西常務):食の安心・安全を守るためにも、今後は企業規模の大小に関わらず商品規格の管理は必須となってくると思います。商品の原材料情報や食物アレルギー情報を知りたいお客様へ、情報提供をする必要があるからです。

弊社の場合、もともと小売店から商品規格書の提出を依頼されることは多かったのですが、20年くらい前から飲食店の依頼も増えてきました。BSE問題や遺伝子組み換えなど、食の安心・安全への意識が社会的に高まってきたからでしょう。

お得意先の卸さんを通した飲食店との取引では、基本的に新商品を入れる際には規格書が必要ですし、チェーン店など規模の大きな外食企業ほど、必ず提出依頼があります。

常務取締役
大西 正之様

― どのように取引先用の規格書を作成しているのでしょうか?

大西社長:以前は、依頼を受けるたびに品質管理担当者が提出先のフォーマットにあわせて書き込んでいました。NB商品はもともとエクセルで作ったベースがあるのですが、PB商品の場合は定まったフォーマットがなく、提出先の専用フォーマットにあわせるか、こちらでいちから作るしかありませんでした。書式もばらばらだし、追加で情報がほしいと細かい注文も多いので、手間も時間もかかります。また、転記ミスなども気になっていました。

現在は、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入して、規格書の依頼から提出までシステム化されています。

規格書情報の提供が、新しい取引先への商品PRに

― システムを導入された印象はどうでしたか?

大西社長:取引先からお誘いをいただき、最初は「そんなんあんねんな」みたいな感じでした。便利そうだと思ったのは、業界標準フォーマットで管理できるという点です。みんなで使えば、これまでばらばらだったフォーマットが統一される点は魅力でした。また、取引先の専用フォーマットで提出を依頼されてもシステムからの出力で対応できるので、転記のために二度入力する手間が省けミスの心配もありません。

― 自社商品の規格書の管理にも使われているそうですね。

大西社長:NB商品の規格書情報を登録・管理するのに『自社管理機能』を利用しており、探すのも楽になりました。また、規格書情報を『食品情報DB』へも登録しました。データベースへの登録で、『BtoBプラットフォーム 規格書』を使っている外食企業や卸なら誰でも、弊社の商品情報を直接取得・閲覧でき、商品を知っていただくことができます。

こちら側も、どんな企業が見にきてくれているのかがわかるため、弊社と取引のない企業さんにアプローチをかけることができるのです。何かしらの興味があって閲覧されていると思うので、飛び込みで営業をかけるより反応がありそうな気がします。

― 食の安心・安全のための管理だけでなく、販促ツールとしても活用されているんですね。

大西社長:販促ツールという点でいえば、規格書も昔は文字情報だけでしたが、『BtoBプラットフォーム 規格書』は写真も登録できるので、営業用のカタログとして利用ができます。営業担当者からは、新規のご提案をする際に資料の一つとして活用しており、便利になったという声も聞いています。

ひと手間かけたソース作りで、おいしさを伝えたい

― 今後、どのような事業展開を考えておられますか?

大西社長:近年依頼が多いのは、地産地消の商品開発です。地元特産のトマトを使ったソース作りといったご要望が増えてきています。一般的にソースの原料となる野菜や果物は、ペースト状のピューレを使うことが多いのですが、弊社では生の素材をすりつぶすところからこだわっており、やはり風味が違います。手間はかかりますが、でもその手間が商いなんやでと、味にはこだわっていきたいですね。

大西常務:食の安全面では、規格書のフォーマット統一化を進めていきたいです。みんなでフォーマットを共有できれば便利ですし、便利に使っているのをみた人たちが、「うちもこれにするわ」と輪が広がっていくような、そんな使い方をしていきたいです。

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株式会社大黒屋

設立1948年12月(創業1923年)
事業内容ウスターソース類、食酢、醤油、酎割及び清涼飲料水、その他液体調味料の製造
代表者代表取締役 大西 英一
本社所在地大阪府大阪市福島区玉川2-9-26
企業サイトhttp://www.kk-daikokuya.co.jp/
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