岡山フードサービス株式会社取材日 2019年3月1日

商品は価格でなく、機能で差をつける。アクティブな提案営業には、取引情報の見える化が必須です。

利用サービス 受発注(受注)規格書(卸) | エリア 関西 | 業種 食肉卸
岡山フードサービス株式会社

創業40周年を迎える大阪の食品卸企業、岡山フードサービス株式会社様。製造・販売や外食事業といった幅広い事業展開に加え、近年は自社農場もかまえて6次産業化事業へも参画しています。安心・安全な食の安定供給を社会的使命とする代表取締役社長 岡山氏と、その理念を実現させている担当者のみなさまに、取り組みを伺いました。

ココがPOINT!

「人に良い」食のために、製造・流通・販売すべてを担う

― 沿革と事業内容を教えてください。

代表取締役社長 岡山氏(以下、岡山社長):弊社の創業は1980年、妻と2人ではじめた食肉の卸売がはじまりです。当初は資金もなく商品は豚肉だけ、得意先様は22軒でした。そこから少しずつ商品と得意先様を増やしていき、現在は、チェーン店様から個店様まで外食企業を中心に、約4,000店舗の様々な業態とお取引があります。今も食肉は取り扱いの主力ですが、あらゆる食品を扱っています。

とはいえ、たくさん商品を揃えればそれだけ商いのチャンスが増えるかというと、必ずしもそうではないのが卸売業の難しいところです。他に特徴がなければ単なる“よろず屋”に過ぎません。また、デジタル化が進むにつれ、良い商品であっても、どうしても他社様とは質ではなく価格競争のみに陥ってしまうことがあるのも事実です。その結果、取引に至らず捨てる商品もあります。こうしたジレンマをいかに解消していくか、ずっと模索しています。

代表取締役社長 岡山 克巳氏代表取締役社長 岡山 克巳氏

-どのような取り組みをされているのでしょうか。

岡山社長:商品はただ右から左に動かすだけでなく、何らかの機能を持たせることが必要です。その考えではじめたのが「仕込み代行業」でした。飲食店での調理作業を軽減するため、下ごしらえの済んだ半製品を作り、店内調理を1クックで可能にしたキットとして取り揃えました。組み合わせるとひとつのメニューになります。また、取引先の仕込みのニーズを把握するため、惣菜店や飲食店の運営もはじめました。さらに、商品開発やメニュー開発、業態開発でもお客様をサポートできる仕組みを整えています。

自社商品や店舗では、化学調味料や食品添加物自体を使用しないことをこだわりとしています。食は、「人」に「良い」と書きます。美味しく、安心・安全で便利であること、安定して供給することが、弊社のテーマです。そのために、鹿児島県の南九州市に自社農園を設けて、農林水産省の六次産業化・地産地消法に基づく「統合化事業計画」の認定を受けました。生産・製造から流通、販売まですべて手がけ、小売も外食も行う、食の総合ディストリビューションが当社の事業内容です。

アクティブな営業に欠かせない、情報化の重要性

-多角化する経営で、重視していることはありますか?

岡山社長:事業の主軸は昔も今も卸売でして、社員にはずっと「納品した伝票を毎日見るように」と言い続けています。これは、取引内容を毎日確認することから、お客様の多様なニーズや弊社の不足した点に実感を持ち続けることが大切という意味です。卸売の役割とは、得意先様ごとに、どのくらいの日数でどんな商品の発注があるかをしっかりと把握し、この日発注がなければおかしいと気づくことです。受け身で漫然とお客様からご注文いただくだけではなく、主体的にアクティブな営業をすることで、より得意先様へお役立ちできるのです。

そのためにあらゆる取引情報は、担当者任せにせず、全事業の全履歴をデータベースとして残せるようにしたいと創業当初から思っていました。ですから1987年には、自社開発のオフィスコンピュータを稼働させました。当時としてはかなり珍しい取り組みだったので、メディアで取り上げられたり講演を依頼されたりしましたね。

― 情報化社会に先駆けて、システム化に力を入れておられたのですね。

岡山社長:とはいえ、私自身はいまだにスマートフォンを持っていません(笑)。システム面は社内に専門部署を設けて、やりたいことを具現化してもらっています。インターネットを通して受注するシステム『BtoBプラットフォーム 受発注』も、2003年に得意先様からのご要望で導入しました。業界全体でみると受注手段の多くはFAXや電話ですが、もっと電子化してゆくゆくはFAXでの受注をなくしたいと思っています。

営業情報支援課 ご担当者様:電話やFAXで受注すると、「言った、言わない」といったトラブルの発生リスクがどうしてもあります。一方、データで受注すれば、取引の履歴が確実に残り、弊社も得意先様も一目で確認することができます。双方にとって良い仕組みですし、今後もますます電子化を進めて手間を減らしていきたいです。

管理本部システム部部長:システム化においては当然、業務効率化と生産性向上も重要な案件となります。2008年からは商品規格書の提出対応に『BtoBプラットフォーム 規格書』を使っています。毎月40~50件ほど提出の依頼があるのですが、自動提出機能と社内データベースとの連動が可能であったため、業務の負担はかなり軽くなりました。導入前に比べて、月間平均50%程度の作業量のコスト削減を実現することができました。

管理本部システム部 部長管理本部システム部 部長

会社の利益を従業員と分かち合い、未来を描く

―2018年には、『BtoBプラットフォーム 受発注』の『受発注ライト』機能も導入されています。

営業本部 販売統括課長:小規模の飲食店様が無料で発注できるサイト「岡山フードサービスオンライン」の運営に使っています。まだはじまって3ヶ月ほどですので、得意先様のお声はこれからといったところです。それでもキャンペーンページなどの販促機能なども使い、ゆくゆくはアクティブな営業に活用していきたいと考えています。

岡山社長:注文を受けるという行為自体は、FAXや電話だろうとオンラインであろうと、付加価値が生まれるわけではありません。受注を通じて価値を創造するとは、たとえば「賞味期限が近いので半値でどうぞ」とか、「作りすぎたのでお安くできます」といった他にはないタイムリーな情報を、こちらから発信していくことです。「岡山フードサービスオンライン」でそうしたことができるようになれば、受発注業務とも絡めることができ、もっと面白くなっていくでしょう。

営業本部 販売統括課長営業本部 販売統括課長

― 今後の展望をおきかせください。

岡山社長:情報はシステムを使ってもっと「見える化」をはかりたいと考えています。あらゆる数字が瞬時にわかり、たとえば在庫状況が毎日つかめたら、実際に冷蔵庫に行ってから発注しなくても、自動発注ができますよね。各部署の生産性も毎日確認して、それもすべて社員と共有したいんです。弊社は労使の関係ではなく、ともに経営しましょうという考え方でいます。

経営の内容をすべてみせる「分かち合う経営」です。毎月の粗利益も営業経費もすべて明らかにすることで、みんなで生産性をあげ、その粗利益額の50%を分配する、これはシステムがなければできません。

また、人口減少が進むこれからは、GDP減少は明らかです。特に農業人口の激減はまぬがれません。弊社が農業に参入した理由のひとつでもありますが、食の安定供給には社会的使命をもって取り組んでいます。誰も幸せになれない従来型農業ではなく、AIを活用した新しい農業システムの構想など、考えはじめるとアイデアは尽きません。食という、誰もが生きていくうえで欠かせないものを扱う卸売は、私にとって天職です。

営業情報支援課 ご担当者様営業情報支援課 ご担当者様

関連リンク

岡山フードサービス株式会社

設立1980年6月25日
事業内容外食・中食産業へのトータルディストリビューション
代表者代表取締役社長 岡山 克巳
本社所在地大阪市住吉区苅田7-3-10
企業サイトhttps://okayamafs.com/
>この企業情報とニュースを見る