株式会社ノムラフーズ取材日 2018年9月14日

年間13万食のおせちと、大手小売のPBにおばんざいを供給。京都の伝統食文化を守り、広めていくためにも、迅速な情報の共有と発信は欠かせません。

利用サービス 規格書(メーカー) | エリア 関西 | 
事業内容 京の伝統食文化に根ざした冷凍の和惣菜類、おせち類の製造加工および販売、店舗運営
株式会社ノムラフーズ

京の伝統的な家庭料理「おばんざい」の美味しさを冷凍技術で閉じ込め、全国へ届けている株式会社ノムラフーズ様。30年前に冷凍おせちの技術を開発したパイオニアとして、毎年13万セットを販売するほか、大手企業のPB商品なども手がけています。取引をする上で、繊細な味を決める原料やその情報管理は欠かせません。正確な情報を管理・発信して活用するための取り組みを伺いました。

ココがPOINT!

― 沿革と事業内容を教えてください。

代表取締役社長 長嶋氏(以下、長嶋社長):弊社は2018年で、創業40周年を迎えました。京都の伝統的な家庭の惣菜「おばんざい」や、おせち料理などの冷凍食品を製造・販売しています。

今でこそ冷凍のお惣菜やおせちは一般的になりましたが、弊社はその先駆けです。冷凍の惣菜自体がなかった時代に自然解凍で食べられる特殊技術を開発しました。それ以来、旬の素材を生かした京の伝統の味を全国にお届けしています。

おせちのお取引先は200社あまりで、百貨店、スーパー、生協と多岐に渡り、通信販売も行っています。おばんざいなどの惣菜は、ハイグレードのホテルやレストランなどにご利用いただいています。売上は、おせちと惣菜で売上をほぼ二分しています。

― 飲食店も運営されていますね。

長嶋社長:多くの方に京のおばんざいの美味しさを知っていただくため、京都市内で直営の飲食店「京菜味のむら」を開店し、自社商品を提供しています。また、賞味期限が3分の1ルールを越えて出荷できないものなど、品質にはまったく問題ないにも関わらず流通できない商品を使用することで、フードロス対策にもつながっています。2018年9月には、2店舗目をオープンしました。

― 惣菜製品の主な取引先業態は、どちらになりますか?

長嶋社長:製造する惣菜のうち、8割以上がPB商品です。特に小売で大手の取引先からの引き合いが多く、ここ20年あまりで、食の安全に求められるレベルが大変高くなったと感じています。規格書の作成や提出対応もかなり増えました。例えば、おばんざいのしょうゆに使われている大豆の情報など、第三階層の原材料まで開示を求められます。1ヶ月に30件ほど対応しているほか、おせちのシーズンはさらに2~30件あるので、年間で400件を超える提出依頼があります。

PB、NBあわせて800品あまりの商品に必要な原材料は2~3000品ありますが、情報を管理していても、大豆の仕入先などがいつの間にか変わっていることがあります。弊社に変更の連絡がない場合もあるので、年に1度は原材料の規格書をすべて取り直して確認しています。また、アレルゲンの有無などが変わる場合もあります。命に関わることですので見直していますが、たいへん負荷のかかる作業でもあります。

品質管理室 規格管理チーム サブリーダー:原材料の魚の産地が変わったり、会社が合併して名前が変わったりといったケースで、時には最新情報を仕入れても3ヶ月ほどで更新することもあります。ひとつの原材料が変わると、その原材料を使っているすべての商品の情報を変更しなければなりません。

代表取締役社長 長嶋 茂様代表取締役社長 長嶋 茂様

― 商品の情報はどのように管理されていますか?

品質管理室 規格管理チーム 担当者:商品規格書の管理システム『BtoBプラットフォーム 規格書』を使って、情報をまとめています。それまではすべてエクセルで管理していたため、必要な情報がどこにあるのか、どれが最新なのかを見極めるのが大変でした。

システムで管理すると、検索機能もあって便利です。お客様から、このメーカーのものを使っていませんか、この産地の原材料を使っていませんか、といったお問い合わせをいただく場合でも、瞬時に検索できるので、かなり時間が短縮できています。パート勤務の者も、特に問題なく操作しています。

品質管理室 規格管理チーム サブリーダー:また、情報変更のあるひとつの原材料が30品に使われていれば、30品ひとつひとつのファイルを開いて更新する作業が必要でした。今はマスタ情報を更新するだけで、同じ原材料を使っている規格書は一括更新される『原材料マスタ機能』を使っているので、とても楽になっています。

提出先の指定するフォーマットにあわせて、エクセルや複数のシステムも使っていますが、『BtoBプラットフォーム規格書』にはよく使う商品の規格書はあらかじめ登録しているので、依頼が来ればすぐに出せて対応時間の短縮にもなっています。システムを使わなければエクセルの項目をひとつひとつコピーしていたので、転記ミスのリスクもありました。

商品開発営業部 担当者:取引先や弊社の直営飲食店でも、エビやカニなど特定のアレルギー物質が入っていない商品がほしいといったご要望を頻繁にいただきます。こういったお問い合わせは、まず営業担当が受けてから品質管理担当に依頼するので、社内共有という点でもシステム化にメリットを感じます。

営業面では、新規取引での商品案内にも積極的に活用したいと考えています。たとえば、展示会に出展した際の商談で、商品規格書を求められても、これまでは社内に持ち帰って後日改めてご案内していました。しかし、昨今は提出までの期間がかなりタイトで、時間がかかると取引を見送られてしまいます。そういったチャンスロスを今後は最小限に抑えていきたいです。その場でノートパソコンやタブレットを開いてご案内できれば、かなり効果があるのではと思います。

その他にも、取引先が弊社へ規格書のお問い合わせをする手間を減らすため、商品情報とともに規格書情報をWEB上に掲載する『食品情報DB』機能を使い、いつでも自由に情報をご覧いただけるようにしています。また、商品を使った料理のレシピ情報を掲載できる『販促支援機能』も導入しました。展示会や通販で商品とともにレシピをご案内できれば、商品を選んでいただけやすくなるのではと思います。

― 2020年にHACCPの法制度が施行されます。安全対策をどのように進めていかれますか?

長嶋社長:現在、弊社では2020年を目標に新工場建設の準備を進めています。HACCP制度化や国際認証などに対応した品質管理で、伝統的な京の食文化を守り続けていきたいと思っています。また、間違った情報を出すことは会社の信頼を損なうので、今後も一層、情報を正確に管理し、取引先や消費者には実直に、迅速に発信していきます。食の安全に求められることは、ますます大きくなっていくことは確実ですから。

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株式会社ノムラフーズ

設立1978年9月25日
事業内容京の伝統食文化に根ざした冷凍の和惣菜類、おせち類の製造加工および販売、店舗運営
代表者代表取締役社長 長嶋 茂
本社所在地京都府京都市伏見区下鳥羽西芹川町66番地
企業サイトhttp://www.nomurafoods.jp/
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