株式会社伊藤園掲載日 2021年1月28日

商品規格書のデータベース化で問い合わせが2倍に。
飲料の品質と情報管理を徹底し、外食業界を開拓します。

利用サービス 規格書 | エリア 関東 | 
事業内容 飲料関連事業およびリーフ商品をはじめとする茶葉関連事業 | 取材日 
株式会社伊藤園

緑茶飲料の国内トップメーカーとして市場を牽引する伊藤園様。看板商品「お~いお茶」ブランドは緑茶飲料として販売実績世界一とギネス世界記録にも認定(2019年)されています。小売店や自販機で培った圧倒的な知名度を外食市場にも広めるべく、業務用営業推進部を発足。システム化による商品規格書の拡充で、取引先からの問い合わせを倍増させたと西沢栄一部長は語ります。

ココがPOINT!

外食業界専任の部署を作り新たな販路を広げる

― 茶系飲料の市場を、長年牽引されていますね。

広域流通営業本部 業務用営業推進部 部長 西沢栄一氏:伊藤園は飲料メーカーでありお茶屋であるのが、他社との違いです。ドリンク製品だけでなくリーフ製品も扱っており、ティーバッグなどの簡便性製品は45%ほどのシェアがあります。

昨今の新型コロナウイルスは我々にも少なからず影響がありました。ただ、お茶に含まれるカテキンの効能といった健康面や、大皿から小皿提供に変わり衛生面で個包装にニーズがある中、当社は紙パック製品があるなどの優位性で、消費者のお役に立てているかと思います。飲料は生活に欠かせません。お客様と従業員の健康・安全・安心を最優先としながら、日々奮闘される医療従事者の皆様にドリンクやリーフの茶系製品や、コーヒーのポットサービスを無償で提供する取り組みなどもしてきました。

広域流通営業本部 業務用営業推進部 部長 西沢 栄一 氏広域流通営業本部
業務用営業推進部 部長
西沢 栄一 氏

― 飲食業の開拓に力を入れているようですね。

外食業界やホテル・旅館業界に伊藤園ブランドを発信すべく、2017年に専任の部署を発足して対応しています。当社の取引の中心は小売業や自動販売機契約で、全国約200拠点から直接納品するルート営業が主流です。これとは別に、25兆円といわれる外食市場にも販路を広げることにしました。

飲食店は基本的に卸業者を利用しますが、取引もケース単位ではなくペットボトル2本など、バラ売りを求められます。また、配達時間の対応も必要で、夜間だと当社の営業時間外になってしまうといった課題もありました。そこで、卸業者にお願いして、注文を受けた商品を配送していただく仕組みを作り、新規取引を増やすべく業務用営業推進部を設置して業務用の窓口となっているのです。

― 業務用の営業ではどのような点を工夫されていますか?

2020年から強化しているのが、商品規格書の電子データの提供です。基幹システムに登録されている規格書情報をインフォマートの『BtoBプラットフォーム 規格書』と連携させて、取引先からの規格書依頼から提出までシステム上で対応しています。我々の部が主導して規格書対応に取り組んだ結果、提出率が高まり、直近のインフォマート経由での提出依頼に対してはほとんど対応できています。

― 規格書対応を強化している理由は何でしょうか。

取引には、食の安心・安全を担保する商品情報の提供が欠かせません。これまで取引先からの提出依頼は営業担当が個別に対応していたため、属人化した状態になっていました。依頼を受けた営業担当者は各自で工場の品質管理やマーケティング部門とやりとりしながら規格書を手作業で作成していたのです。

また、フォーマットも取引先が用意したエクセルが多くバラバラです。ひとつの商品に、担当者が何パターンも規格書を作成し、項目の内容確認に時間をかけており、手が回らなくなっていたのです。

飲食店用製品レシピ(PDF)飲食店用製品レシピ
(PDFダウンロード)

このような状況を改善するために、営業個人ではなく組織として規格書対応に取り組んできました。特にBtoBプラットフォーム規格書の場合、商品規格書をひとつ作成しておけば、複数の取引先へ提出できます。全社でみると営業担当の対応時間も大幅に削減され、本来の営業活動への注力につながっています。

システムによる規格書対応で商品の問い合わせ件数が倍増

― 商品規格書をシステムで対応するようになって、取引先の反応はいかがですか?

専任の部署から迅速に規格書を提出するようにした結果、多くのお問い合わせを得られ、良い手応えを得るようになりました。当社は茶系飲料だけでなく、健康を軸として野菜飲料や果汁飲料も様々な商品を作っています。「伊藤園にこんな商品があったんだ」と卸業者に知ってもらえるきっかけになりました。お陰様で問い合わせの件数はこの半年で2倍に増えています。

また、規格書をフックにした新たなご提案などに取り組もうとしています。たとえば、栄養管理が厳しい給食産業は、栄養成分までわかる規格書が必要です。2019年末に文部科学省が日本食品標準成分表の「野菜類」に「野菜ミックスジュース」(通常タイプ、濃縮タイプ)を新たに追加しました。これにより野菜ジュースを野菜量や野菜品目数として計上できるため、栄養士さんの献立を作る手間を削減できます。

― 取引先の新規開拓に、商品を検索できるようにしていますね。

『BtoBプラットフォーム規格書』で商品検索できる機能『食品情報DB』を使い、商品と規格書の情報を公開しました。現在は一部の商品が対象ですが、今後充実していければ、これまでアプローチできていなかったところにも製品情報をアピールしていけると思います。システム対応をきっかけに、新たな営業戦略にも取り組んで行きたいと思っています。

茶産地育成事業を通じて品質維持と喫茶文化に貢献

― 今後の展望をお聞かせください。

飲料メーカーは多数ありますが、伊藤園だからこそできる提案があると思っています。一番は品質管理です。我々は茶葉栽培に畑づくりから徹底して取り組んでおり、高い安全性と品質、おいしさは十分納得していただける自負があります。

また、伊藤園では、茶農家との共栄をめざす茶産地育成事業に取り組んでいます。緑茶飲料の市場が拡大する一方で、茶農家の課題は高齢化や後継者不足による茶園の減少です。そこで、自治体の協力のもと、事業者に耕作放棄地を大規模茶園に造成してもらい、伊藤園は茶園造成のサポートと、茶葉生産の技術・ノウハウを提供しています。これにより「お~いお茶」専用茶葉を栽培してもらうなど、我々は国産の高品質な茶葉を安定的に確保でき、生産農家も持続的な農業経営が可能となります。地域活性化、雇用の創出に貢献でき、トレーサビリティや環境保全にもつながる双方向的なパートナーシップをめざし、さらなる発展のために取り組み続けていきます。

お茶という日本の食文化を絶やさず継承していくのは、お茶のトップメーカーとしての使命です。設立以来大事にしてきた、自然・健康・安全・良いデザイン・おいしいといった製品開発コンセプトに基づいた製品を広めていくためにも、規格書を積極的に活用していきたいです。

関連リンク

株式会社伊藤園

設立1966年8月
事業内容飲料関連事業およびリーフ製品をはじめとする茶葉関連事業
代表者代表取締役社長 執行役員 本庄 大介
本社所在地東京都渋谷区本町3丁目47番10号
企業サイトhttps://www.itoen.co.jp/
>この企業情報とニュースを見る