店舗の働き方改革とIT運営で、
利益が出る経営モデルを作ります。
広島で愛される地元の味、お好み焼への情熱を東京のほかアメリカ・ロサンゼルスにまで広げている『お好み焼・鉄板焼 ちんちくりん』(株式会社ケーツーエス)。コロナ禍にあっても早期に郊外店舗では客足を100%近くまで戻し、新業態では新たな事業の柱になるほどの売り上げを記録しています。
従業員の働き方を改革しながら利益も出すという経営手法について、飲食事業本部 専務取締役の岩田健司氏と、統括管理部の村竹睦子部長に聞きました。
ココがPOINT!
- 1原価管理はシステム上の金額をコピー&ペーストして集計完了
- 2不明だった各店の仕入れ金額や件数を、システムの履歴で把握
- 3営業終了後の店長の発注作業が、1~2時間から1時間以内に短縮
海外出店だけでなく、お好み焼の鉄板も輸出
― 広島風お好み焼の業態で、国内外で広く展開されていますね。
飲食事業本部 専務取締役 岩田健司氏(以下、岩田氏):『お好み焼・鉄板焼 ちんちくりん』は、「お好み焼を世界に」をスローガンに掲げ、現在、広島に10店舗、東京に4店舗、アメリカのロサンゼルスに3店舗展開しています(2020年11月現在)
飲食事業とリンクして、メーカーとして厨房事業部を展開し、広島風お好み焼のお店を開くのに必要な鉄板製品を北米での安全認証ULマーク、ELTマークを取得し輸出しています。また、広島風お好み焼は職人が必要で、店舗展開が難しい面がありますから、お好み焼研修も行っています。
通常は1枚焼くのに15分から20分かかりますが、オペレーションの流れを改良したことで、ショッピングモールのフードコートで5分から10分での提供が可能になりました。フードコートですから、ホールの人件費もかからず、ロイヤリティを払っても利益の出るパッケージを開発し、実績も上げています。
株式会社ケーツーエス
専務取締役 岩田健司氏
若い社員を中心に立ち上げたSNSチーム
― 新型コロナの状況下で、どのような取り組みをされているのでしょうか?
岩田氏:「広島市内の繁華街にある店舗を休業にして赤字を押さえ、繁華街の社員は郊外店に振り分けました。郊外店は持ち帰り需要で、比較的早い段階で客足は100%戻っており、今ではイートインも90%以上は戻ってきています。
そうした中で、常連のお客様をどう掴んでいくかの取り組みもしています。郊外店ではスマホアプリを作ってポイントを導入しました。ポイントは常連度によって内容を変えるなどしています。市内店はお酒需要が高いため、タッチパネルを採用してスタッフの業務を減らし、その分、接客に長けた社員を配置して会話でお客様との関係性を築くようにしています。
宣伝の方法もグルメサイトからSNSにシフトしているところです。全国的にフォロワーを持っているインフルエンサーさんではなく、広島市内でフォロワーを多く持っている方にお願いして情報を拡散しています。同時に若いスタッフを中心にSNSチームを立ち上げて、インスタグラムやGoogleマイビジネスに力を入れています。写真の見栄えもインフルエンサーさんにアドバイスをもらい、店舗の画像に統一感を持たせたり、ハッシュタグの管理もすることで、フォロワー数も上がってきているんですよ。
― コロナ禍で空いてしまった店舗スペースの活用などはされていますか?
岩田氏:店舗の売り上げが6、7割と落ちてきたなかで、厨房の稼働率も落ちているので、UberEatsや出前館向けのゴーストレストランを持ち込んで、家賃分でも売り上げられればと取り組んでいますが、なかなか思い通りにはいきませんね。
他の取り組みでは、新業態の『無敵餃子』を2020年8月にオープンして絶好調です。当初はヒットを狙っていたわけではなく、店舗を遊ばせていても仕方がないので、何かペイできる業態を考えていました。提供スピード、価格帯、ターゲット、収支など、ちんちくりんのノウハウを生かしたことで、売上は現在まで落ちていません。いずれは、飲食事業のもう1本の柱としてロサンゼルスにも展開したいですね。
ITの導入で変わった原価計算と日々の業務
― 2009年から仕入れ作業をシステム化されましたね。
岩田氏:食材費の原価管理が大変だったのです。仕入れはFAXで発注ですし、手入力で計算して金額を出して、月末に棚卸をしてフードコストを出していました。月末近くなると店長の顔色が悪くなるほどでした。
インターネットで発注できる『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入してからは、仕入れ品の取引履歴一覧をシステムからダウンロードして、金額をコピー&ペーストすれば完了ですので、すごく楽です。店長を早く家に帰してあげられるようになりました。
今では店舗には食材ロスとオーバーポーションに一番気を付けてもらって、本部のほうで原価率を管理しています。原価率はメニュー構成によって変わってきますから、例えば原価率を1%下げるといったことは本部の仕事だと思っています。
インフォマート上で相場も確認できますから、食材原価を下げるために、年間の仕入れ量が多い食材については相場と照らし合わせて仕入れ先と相談しています。価格が変動する食材は、通年でお取引することで価格を同じにしてもらうなどしています。
― システムを使ったことで、発注業務はどのように変わりましたか?
岩田氏:そもそも営業中は現場のポジションを離れないので、発注業務は営業後にします。店長が1、2時間店舗に残って発注していました。システムの導入後は30分、週末でも1時間で全業務を終えて帰れるようになりました。タブレットを持ったまま冷蔵庫・冷凍庫の在庫を確認して発注できるのが便利ですね。
店長が家に帰って発注を忘れたことに気がついても、スマホから発注できますしね。以前のように在庫表に手書きで書き入れ、事務所へ戻ってパソコンに入力するという非効率なこともなくなりました。
便利な機能として「週間発注」も活用しています。毎週の曜日ごとに決まって発注する物は、一括して予約できるので便利ですね。いちいち個数を調べて手書きで発注しなくても、過去の発注データも簡単に調べられますから、日々の業務が効率的になっています。
― 仕入れ先が複数になると、請求書の管理も大変になります。
統括管理部 部長 村竹睦子氏:仕入れ先は30社ほどありますが、請求書はバラバラに来ていました。封筒を開ける作業も地味ですが、意外に大変で。それに各店舗でどんな仕入れがあったのかもわからないので、請求書がすべて届いているかもわからず、エクセルに入力し管理していました。
『BtoBプラットフォーム 受発注』を導入してからは、取引を一覧でみることができるし、仕入れがなければゼロと表示されるのでとても楽になりました。仕入れ業者と連絡を取る際にも、システム上から連絡先がわかるので調べる手間もありません。
― IT化することで働き方に変化はありましたか?
岩田氏:会社として働き方改革を進めてきましたが、閉店後に店長が毎日1、2時間残らなければいけないオペレーションや体制を変えるには、日報も売上と人件費程度の報告に抑えて、フードコストは月末にするなどして、毎日の業務軽減をやりくりしてきました。そのような中で、発注システムの導入効果を実感しています。
株式会社ケーツーエス
統括管理部 部長 村竹睦子氏
他にも、勤怠管理にはクラウド型POS レジや、お客様のオーダーにはタッチパネルを導入して、郊外店では少ない人員で営業できるようにしています。平均して1〜1.5人は減らすことができました。
フードコート限定のFC展開を進める
― 今後の取り組みについてお聞かせください。
岩田氏:市内の繁華街にある店舗は、会話型の接客になりますので、接客に長けたスタッフを配置することでお客様の満足度も上げられています。
さらに営業時間を短縮しました。ただし、オペレーションを減らしたり、利益が残るメニュー構成を工夫するといったことを試行錯誤して、お店を長く開けていたときよりも売上を確保できるようにしています。
今後は、直営の郊外店を展開しながら、フードコートに限ってFC展開を進めていきたいと思います。それから『無敵餃子』も事業の柱になりつつあるので、育てていきたいですね。
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BtoBプラットフォーム 受発注
- 受発注・請求書業務を最適化
株式会社ケーツーエス
設立 | : | 2005年3月 |
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事業内容 | : | 外飲食店業、飲食フランチャイズ店の加盟店募集、及び加盟店の指導業務ほか |
代表者 | : | 代表取締役 川上 博章 |
本社所在地 | : | 広島県広島市安佐南区伴南5丁目5番20号 |
企業サイト | : | https://www.k-2-s.jp/ |
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