有限会社恵比寿掲載日 2021年4月22日

発注・棚卸業務のIT化で労働環境を改善。
「飲食業=ブラック」のイメージから脱却します。

利用サービス 受発注(発注) | エリア 東海 | 業種 居酒屋 | 取材日 
有限会社恵比寿

静岡県の御殿場市を中心に、居酒屋、焼き肉、ラーメン、ビストロ5店舗をドミナント展開する有限会社恵比寿。7年前に経営者が代替わりした際、経営が行き詰まっていたため抜本的な改革を断行。最大の課題だった労務改善の一環で、負担となっていた発注業務や棚卸業務にITを使って省力化。従業員がやりがいをもって働ける環境づくりに取り組んでいるという常務取締役 福元貴明氏に、改革内容を伺いました。

ココがPOINT!

    

「飲食はブラック」というイメージを変えたい

― 展開している業態について教えてください

常務取締役 福元貴明氏(以下、福元常務):当社はもともと、代表の父が30年前に始めた「ご馳走家えびす」という居酒屋が発祥です。今から7年前に先代から息子へと経営が引き継がれ、「ご馳走家えびす」は現在「御厨酒場えびす」にリニューアルしています。

そのほかに居酒屋「御殿酒場」、焼肉「炭火焼肉おおむら」、ラーメン「ジャンジャン軒」、さらにビストロ「大衆ビストロ2918(ニクジュウハチ)」の計5店舗を展開しています。すべて静岡県御殿場市でのドミナント出店です。

私が入社したのは現社長に代替わりしたタイミングで、今から約7年前でした。当時は経営もあまり上手くいっておらず、「抜本的に経営のやり方から変えよう」ということになったんです。

― どのような経営改善を行ったのでしょうか?

福元常務:いちばんに取り組んだのは、「飲食業=ブラック」というイメージからの脱却です。労務改善と業務の改善が大きな課題だったので、まずそこから段階的にテコ入れしていきました。そのなかで、手間のかかっていた発注と棚卸業務をどうすれば簡素化できるか考えたのです。時代の流れもありますし、デジタル化していこうと。

労務改善の第一歩は、業務のデジタル化

― 2019年から受発注をシステム化されていますね。

福元常務:インフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を使っています。このシステムを初めて見たときは、労務改善の第一歩になりそうだと感じました。すぐに導入を決めましたね。複数店舗を展開する中で、本部から各店舗の仕入れ状況が見えないという課題もありましたし、「見える化」は喫緊の課題でした。

それまで発注業務はFAXや電話、棚卸業務はExcelで行っていたんです。発注だけでなく、請求書や納品書、レジの売上データ、勤怠などすべてのデータを繋げたいという思いもあったので、IT化で数字が見えるようになったことは非常に大きいですね。

デジタル発注によって、どこにいてもスマホやタブレットで発注業務ができるのは便利です。発注金額もパソコンの画面でいつでも確認できますし、棚卸の作業も一旦紙で印刷してからデータを入力していますがそれでも店舗で入力されたデータが本部で集計できるのはありがたいですね。棚卸表の作成や配付に、意外と人員コストがかかっていたことも分かりました。

店舗間で食材融通しても、原価管理が容易に

― ドミナント出店ならではの工夫はありますか?

福元常務:当社では御殿場のセントラルキッチンを活用しています。セントラルキッチンでは主に麺類やチャーシューなどの加工品を作っていて、自店舗に卸しています。ドミナント出店しているので、店舗同士で食材を融通しあう機会は多いのですが、その際も発注システムの振替伝票機能が役立っています。

食材の共有はドミナントならではのメリットだと思います。ただ、システム化するまでは食材を融通する際に手計算だったため、仕入れと在庫が合わず、原価が安定しなかったり、原価高の要因がうやむやになったりすることも多かったのです。デジタル化で店舗間の食材振替も把握できて、「原価管理の見える化」が実現できて非常に良かったです。

紙で行っていた業務をデジタル化したことで、短縮できる時間はわずか1、2分かもしれません。でもその小さな積み重ねで、見えない時間が奪われてきたと思うんです。

今は、IT化によってどんどん「見える化」を進めています。売上一括管理システムのユビレジや勤怠管理のWin-Boardと連携させ、日次の売上報告とつなげた管理も始めています。これからもっともっと使いこなしていきたいですね。

     

IT化で従業員の負担を減らし、やりがいをもって働ける現場に

― 効率化によって、どんなことを実現したいですか

福元常務:今後は空いた時間で、さらなるメニューの改善や店作りに取り組みたいですね。あとは省力化でムダな労働時間を短縮しつつ、1人ひとりがさらにやりがいをもって働けるような時間の使い方をしてほしいと思います。同じ8時間でも1人ひとりが主体的に考えていれば、結果は全然違ってきますから。

当社では常々、お客様にただ来ていただくだけでなく、”どういうふうにお帰りいただくか”を大事にしています。そのために何ができるかを、常に意識しているんです。

料理や店はもちろん、働いているスタッフたちのファンになっていただきたいからです。実際にそのような店作りができていると思いますし、従業員には最終的に「うちで働いて良かった」と思ってもらいたいですね。

また、当社は従業員と経営層の距離が近いというか、経営陣もスタッフと同じ制服で現場に立つので、一緒にやって感じたことを言い合ったり、向こうが相談してきたり。今後、経営の規模が拡大すればそうした時間も足りなくなるかもしれませんし、早期のタイミングでデジタル化を進めておくことは必要だと思っています。

地域の飲食店同士で手を取り合い、コロナ禍を乗り切りたい

― コロナ禍で地方の飲食店も苦しい状況が続くと思いますが、今後の展望について教えて下さい

福元常務:まだ手探りですが、生活様式が変わったのは確かです。居酒屋業態もおそらく、やり方を変えていかないといけないと思います。すでに弁当の宅配事業は始めていますし、セントラルキッチンを改良してテイクアウト事業をスタートさせることも検討しています。

他にも2021年2月、当社の代表が委員長となって「富士山厨房 みくりや飯ドライブスルー」というイベントを開催しました。御殿場市の飲食店21店舗がオリジナルのお持ち帰りメニューを用意し、会場の広場で完全ドライブスルー形式で販売するというものです。予想以上の反響があり、合計約1000個のお弁当が1時間もしないうちに完売しました。

このイベントで、互いにライバルでもあり同志でもある飲食店が手を取り合うことの大切さを実感しました。横のつながりを大切にしていけば、色んなことを乗り越えていけるかもしれません。1人のアイデアより、10人、20人のアイデアを集めた方ができることは多いはずです。そういう形でこれからも、つながりを広げていけたらと思います。

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有限会社恵比寿

設立1995年11月
事業内容外飲食店業ほか
代表者代表取締役 大村 拓己
本社所在地静岡県御殿場市新橋1974
企業サイトhttps://localplace.jp/t200545059/
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