受発注システム『TANOMU』で受注の7割をデジタル化。
FAX-OCRとCSV取り込みで、朝の入力業務が減りました。
1946年に奈良県で創業された大和物産は、業務用小麦粉の取扱量が県内トップクラスを誇る総合食品商社です。
毎月の受注件数は1,000件を超えるものの、老舗企業にありがちなDXの遅れから毎朝の受注処理に支障を来たしていました。そこで、LINEで受発注できるシステム『TANOMU』を導入。その効果と社内外の反応について、代表取締役の丸山拓也氏と業務担当者に伺いました。
ココがPOINT!
- 1電話・FAXで月間1,000件受注するうちの約700件をCSV取り込み
- 2残ったFAX注文書もFAX-OCR機能で自動入力
- 31日の受注業務にかける時間を90分から30分に削減
社内のDXが長年の課題
―創業75年の老舗食品卸と伺っています。
代表取締役 丸山 拓也 氏(以下、丸山代表):当社はもともと、戦後すぐに菜種や大豆の搾油と販売から始まっています。やがて日清製粉の特約店として小麦粉を扱うようになり、以来一貫して食品に関わりながら、時代の変化や消費者のニーズに合わせて問屋事業を核として、物流事業や製造事業、そして小売事業へと業態を広げてきました。
現在では製菓、製パン、製麺など様々な食品メーカー向けの小麦粉を主たる取扱製品として、ほかに砂糖や塩、酵母、油脂などの食品原材料、包装資材も幅広く取り扱っています。業務用小麦粉の取扱数量、取り扱いメーカー数は、共に県内トップクラスだと思います。
―老舗としての強みは何ですか。
丸山代表:創業から75年間培ったノウハウを使って、食に関わる企業様や飲食店様、消費者に様々な提案をしてきたとことです。その根底には「小麦粉のプロである」という理念があり、小麦粉に関する悩み事は必ず解決できる自信があります。
代表取締役
丸山 拓也 氏
―社内DXは長年の懸念材料だったと伺いました。
丸山代表:じつは私は、当社の代表取締役に就任するまでは、営業マンとして入社し、約20年の営業経験を踏まえた後、子会社(洋菓子製造販売)の社長を任されていました。子会社には4年ほど従事して、ようやく業績アップが見えてきたころ、2020年11月に当時の社長(先代)がコロナに罹患し、体調悪化により復職できなくなったため、私に本社への帰還命令が出され、しかも急遽事業承継を命じられたという自分でも信じられない経歴です。
4年振りに本社に戻って社長職を継いだのですが、以前とは環境も変わり、何もかもが手探り状態の再スタートでした。新たに経営指針や経営計画書を作りはじめたところ、以前からデジタル化が目標として掲げられていたことを認識し、現場に詳しく話を聞いて「やってみよう」と考えました。
老舗商社ならではのアナログな受注が悩み
―どのような業務課題を抱えていましたか。
経理部 石田 有美 氏(以下、石田氏):業務としては、毎朝、受注した内容を基幹システムに入力し、伝票発行、商品をピッキングして配送ドライバーに回すという流れがあります。受注のうち、電話で入るものは詳しく注文内容をメモしますし、FAXで入れば伝票に書き写す作業が必要でした。
全受注のうちFAXが7割、電話が2割。ほかに御用聞きとしてこちらから電話をかけて注文を伺う取引先様もいます。
電話の場合は、きちんとメモを取っていても、先方の言い間違いなどで「言った・言わない」の問題が常に付きまとい、そのやり取りが煩雑でした。FAXの場合も、商品単位の誤りや文字が不鮮明なものも少なくなく、その都度、間違いがないか電話であらためて確認しなくてはなりません。
経理部
石田 有美 氏
営業部 川森 直也 氏(以下:川森氏):正式な商品名ではなく専門用語や略語で発注されることもあり、事務が受注してから再度営業マンに確認する手間もありました。
丸山代表:今までは「それも仕事だろう」と考えていましたが、時間の使い方に真剣に向き合う必要性を感じました。経理からの提案もあり『TANOMU』を導入することにしたのです。
石田氏:それまでにもいくつかの受発注システムを検討していました。最終的には、インフォマートさんのネームバリューへの信頼感と、営業担当の方の熱心な説明があり、決定に至りました。
丸山代表:初期費用も大事な要素でした。一度使ってダメなら別のサービスに変えればいいと思っていましたが、あまりに高ければそれもできません。リーズナブルだったからこそ、気軽に使ってみることができたのは確かですね。
営業部
川森 直也 氏
受注対応が1日90分から30分に短縮
―導入後の効果はいかがでしょうか。
石田氏:現在、月に1,000件ほどの受注がありますが、700件は『TANOMU』で自動処理しています。これまでFAX受注は電話で確認し、手作業で基幹システムに落とし込み、そこから伝票を起こしていました。1件伝票を起こすのに10分ほどかかりますが、TANOMU導入後は受注が入ってクリックしてCSVに落とし込むだけですから、2分もかかりません。
そしてFAX-OCR機能には驚きました。取引先の中には、発注はどうしてもFAXでという得意先もあり、件数では月300件ほどになります。これが自動で入力されて、しかもCSVデータで注文内容を抽出できるとなれば相当手間が省けます。そのためFAXで発注される取引先様の場合は、FAX-OCRに対応した用紙に切り替えてもらえるよう案内しています。
川森氏:以前なら1件あたり平均3分かかっていたとして、ひと月1,000件ほどなので月間3,000分、50時間ほどに上ります。それが『TANOMU』だと、1日あたり30数件をダウンロードしてシステムに入力するだけ。30分とかかりません。ひと月にすれば15時間前後の時間短縮と、さらには入力ミスも減らせると考えれば大幅な業務改善です。もちろん担当者の精神的負担の軽減もあるので、効果は計り知れません。
―導入にあたって取引先や社内の反対はありましたか。
川森氏:取引先様への案内は、営業部で担当しました。最初は理解するのが難しかったですが、覚えてしまえば実際に操作画面を見せて動かしながら案内できるので簡単でした。それにLINEと連携しているのも、多くの取引先様で好評です。
丸山代表:社内の反対もありませんでした。というより、受注をデジタル化できると思っていたスタッフが社内では少なかったこともあるのかもしれません。
石田氏:しいて言えば、最初に基幹システムと連携させるまでが大変でした。商品カテゴリーや型番号の入力、、3温度帯別に分類しそれを基幹システムの項目と紐付けなくてはなりません。さらには配送便のカテゴリーとも連携させなくてはならず、その設定時は気が遠くなる思いでした。
ただ、入れてしまえばあとはもう便利で、今から導入前には戻れません。『TANOMU』がないと仕事にならないと思います。
受注のDXに続く、次の課題は倉庫のデジタル化
―DXを踏まえて、今後の展望などを伺えますか。
石田氏:さらなるDXとして、経費精算や経理業務の簡素化を図りたいと考えています。
丸山代表:倉庫管理のデジタル化も喫緊の課題です。先入れ・先出しの調整や賞味期限の管理の際、バーコードを読み込むだけでいいなどの仕組みは取り入れたいです。働き方改革が当たり前になったいま、誰かが抜けても会社が回るような仕組みを作っておかないといけません。倉庫の管理は属人化しがちなので、勘や経験に頼っている部分も改善したいですね。
弊社はBtoBが中心で、まだまだBtoCが弱い。その強化を図りながら、食を通じて、いろいろな事業展開をしていきたいと思っています。DXで業務をスリムにし、その分、新たな食の事業を生み出すことによって雇用も発生しますし、地域の発展につながっていくでしょう。
個人的には地元が好きで、色々なイベントに関わっています。今後は会社としてマルシェやフリーマーケットのイベントを開催し、地域との関わりを深め、キッチンカー事業なども取り組めたらいいですね。小さなことですが、受注業務のDXの成功は、そうした思いをスタッフと共に実現する第一歩となるかもしれません。
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TANOMU
- 食品卸の3大課題 受注、入力、販促をまるっと解決
大和物産株式会社
設立 | : | 1983年11月 |
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本社所在地 | : | 奈良県大和郡山市椎木町404-2 |
事業内容 | : | 食品関連原材料、加工製品及び包装資材等の各種関連商材の卸販売、薄皮たい焼き「粉こ楽」店舗運営、企業のビジネスマッチング |
公式ホームページ | : | https://daiwabsn.com/ |
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