接客中や調理中の“ながら業務”をなくす。
チェックシートのデジタル化で本来の業務に専念できる環境へ。
東京・新宿で「水たき玄海」と「げんかい食堂」の2つの店舗を運営する株式会社玄海は、1928年創業の老舗ブランドです。食材の厳選や空間づくり、接客に至るまで徹底してこだわり、お客様に最高のおもてなしを作り上げています。
しかし、店舗運営においては、体調管理やHACCP関連のチェックシートをすべて紙ベースで管理しており、付帯業務の煩雑な運用が原因で、本来注力すべき業務に支障が生じていました。そこで、店舗オペレーション管理ツール『V-Manage』を導入し、課題解決に向けた取り組みを進めています。今回は、その導入経緯や効果についてお話を伺いました。
ココがPOINT!
- 1接客中や調理中の“ながら業務”ゼロへ
- 2月末月初にかかるチェックシート管理の工数がゼロに
- 3お客様と向き合い、おもてなしに専念できる環境へ
玄海の歴史とこだわり
― お店の歴史とコンセプトなどを教えてください。
取締役 経理部兼総務部 部長 酒井 治子 氏(以下、酒井氏):九州・甘木出身の創業者 矢野廣雄が上京し、品川で最初の店を構えた事から始まりました。戦争の影響を受けて新宿へ移転、その後の戦災により建物を消失するなどの試練の時代をすごし、昭和28年に再スタートを切ります。
今でこそ東京では日本全国、世界の郷土料理を食べる事ができますが、当時は九州の郷土料理の一つであった「水たき」を食べることは非常に稀でした。また外食という習慣自体が非日常であったこの当時、訪れるお客様といえば政界人や文化人の方々が中心でした。
本店では今でもそうしたお客様をご案内するために、お座敷の客席を設け、着物の接客というスタイルを維持しています。
取締役
経理部兼総務部 部長
酒井 治子 氏
調理部 衛生管理委員長 都甲 善文 氏(以下、都甲氏):創業以来、伝統の乳白色のスープを提供するために、鶏肉は福島県の伊達地方から直送される「伊達鶏」を使用しています。野菜などの食材も、当社のスタッフが各地を歩いて繋がりをもった生産者から、その時季に旬なおすすめ食材を仕入れています。生産者にご紹介いただく食材にあわせてメニューを考えており、生産者と一緒に料理を作っていると当社は考えています。
調理部
衛生管理委員長
都甲 善文 氏
導入前の課題と導入時の対応状況
― 店舗オペレーション管理ツール『V-Manage』の導入経緯を教えてください。
都甲氏:これまで日々の体調管理のチェックシートやHACCP関連のチェックシートなど運用管理に関する事務手続きは、すべて紙ベースで行われていました。複数ある冷蔵庫の温度管理など調理場で処理することも多いため、どうしても濡れた手で書き込むことになってしまいます。ひと月分をまとめようとしても、一部が破損したり、読めなかったりと、紙の劣化の問題は深刻でした。
その後、紙をスキャンしてデータとして保存することにしましたが、ひと月分をスキャンする際、紙が丸まるなど手作業に頼る部分が多く、月末・月初には多くの時間を取られていました。
酒井氏:調理や接客の合間を縫って、こうした付帯業務をこなさなければなりませんでした。本来はお客様に美味しい料理を提供するため、調理技術の向上に努めたり、生産者やお客様とのコミュニケーションに時間を割くべきだと理解していましたが、付帯業務の煩雑な管理方法が現場に支障をきたし、「どうにかしないといけない」と感じていました。
当社では以前からインフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』を使っており、その関係で知った『V-Manage』の導入事例を見て、現状の課題を解決できるかもしれないと思い問い合わせました。
― 『V-Manage』を採用した決め手は何でしょうか?
酒井氏:これまでにインフォマートのサービスを利用していたため信頼感はありました。それに、1社でワンストップの相談ができる点に魅力を感じたため、安心感もありました。もちろん他の企業から似たようなサービスが出ているのは知っていましたが、他社との比較はしませんでした。
― 現場スタッフの反応はいかがでしたか?
都甲氏:それまでアナログで行っていた部分をデジタル化しただけで、導入に際して大きな変革を求めたわけではありません。とはいえスタッフの平均年齢が高いこともあり、すぐの導入はせずに、段階的に『V-Manage』へ移行しました。
二階客席「欅(けやき)」
移行期間を3カ月として、最初の1カ月は紙での運用を継続しながら『V-Manage』を少しずつ使用していく。2カ月目に紙での運用を取りやめ、3カ月目には完全に移行すると告知しました。
最初が肝心です。各自に任せておくとすぐに使える人と使えない人が出てくると感じました。そこで、まず全員に集まってもらい、その場で『V-Manage』の操作を体感してもらいました。そのうえで、各ポジションのメイン担当者を責任者として、各スタッフの使用頻度などを細かな報告をあげてもらいます。対応は各担当者に任せましたが、どうしても分からない時だけ私へ相談する形をとりました。
そうすると、意外にもほとんどのスタッフが興味半分で使い始め、使い始めると手書きには戻れないようで、スムーズに移行できたと思います。
酒井氏:インフォマートのサポートも大きかったと思います。何度も足を運んでもらい、使用方法をレクチャーしてもらったり、当社の管理状況に合わせた設計を構築してもらったりと、基礎的な部分についても丁寧にサポートしていただきました。
紙のチェックシートをデジタル化したことで“ながら業務”がなくなる
― 導入効果はいかがでしょうか?
都甲氏:まず「ながら業務」がなくなったことが大きな収穫でした。以前は各種チェックシートに記入するために、接客中であれ調理中であれ、なにかと持ち場を離れなくてはならないケースが多かったのです。
元祖水たきコース
例えば、これまでは鍋に火をかけたところで冷蔵庫のチェックに走り、戻ってきたらお湯が湧いている、といった流れで仕事をすることが普通でしたが、これでは調理に集中できません。しかし、現在では『V-Manage』にチェック状況が集約されており、都度確認する手間がなくなったため、調理に集中できるようになりました。各自でチェックし管理できますので時間が短縮され、本来注力すべき調理や接客に集中できるようになりました。
それに、管理のために月に10枚以上印刷していたチェックシートが不要になりました。データの保管も『V-Manage』に集約できるため、月末月初の忙しい時期に行っていた印刷やスキャンの作業からも解放されました。
現場のスタッフも抵抗なく使えているようで、「手が濡れていても作業ができる」「ペンが不要なので楽になった」などといった声も聞かれます。各種チェックシートの記入に伴う「順番待ちの時間」もなくなり、日常的なストレスが払拭されたようです。
酒井氏:日々の管理の漏れについても原因が特定できるようになりました。チェックがされているかどうか、時間通りに管理されているかどうかなど、業務の進捗が可視化できるので、指導を行うべきスタッフが特定できます。
都甲氏:当社では出社時の体調チェックシートへの記入を必須としていますが、出社時間が重なるので、どうしても記入するまでの順番待ちが生じてしまいがちでした。それがスマホやタブレット端末等で入力可能になりました。中には出社直前に入力だけ済ませるスタッフもいますが、どのスタッフかもわかるため、チェックが目的化してしまう課題の解決も『V-Manage』に蓄積されたデータがあれば対策できます。
今後の展望について
― システム導入によるDXを今後どのように活かしていきたいですか?
酒井氏:まだまだ活用の余地はありますが、少なくとも省力化については希望が膨らんでいます。ゆくゆくは勤怠管理と照らし合わせるなどして、人の手を使うことなく見られる管理体制を整えられるのではないかと考えています。
水たき玄海で人気の
濃厚抹茶あいす
また、「水たき玄海」で提供している抹茶アイスが、おかげさまで人気を集めています。本来は食事の後に出すデザートなのですが、「コースの前にアイスを」や「アイスだけ買えないのか」などのお声をいただいています。コロナ禍にEC販売を始めて3年が経ち、少しずつ認知度も広がってきました。アジア圏で販売の声もかかっており、準備をすすめております。
当社が本来のサービス業務に徹するために、今一度、日常化してしまった煩雑な業務を整理しスリム化し、付帯業務が本来業務を疎外しないような体制作りを今後も続けていきたいと考えています。
株式会社玄海が利用しているサービスはこちら
V-Manage
- 飲食店に、もうひとりのマネージャーを
株式会社玄海
創業 | : | 昭和3年 |
---|---|---|
設立 | : | 1970年3月 |
本社所在地 | : | 東京都新宿区新宿5-5-1 玄海ビル |
事業内容 | : | 「水たき玄海」と「げんかい食堂」の運営 |
企業サイト | : | http://genkai-group.jp/ |
公式ECサイト | : | https://www.rakuten.ne.jp/gold/mizutaki-genkai/?s-id=top_normal_browsehist_shop |
>この企業情報とニュースを見る |