株式会社プロスペリティ1掲載日 2025年8月6日

店舗管理システムと原価データを連携し、FLを日次管理。
計算の手間・ズレがなくなり、課題発見が早まりました。

利用サービス 受発注(発注)/ 規格書(買い手) | エリア 関東 | 業種 そば・うどん | 取材日 
株式会社プロスペリティ1

創業30周年を迎える「ごまそば高田屋」などの高田屋ブランドを展開する株式会社プロスペリティ1。直営・FC13店舗の原価やアルバイト従業員の人件費といったコスト計算に『BtoBプラットフォーム 受発注』や『FLARO』などのITツールを使って、手間なく日次管理しています。

営業本部商品開発部・デザイン販促部 部長と直営・FC事業部/購買部 部長に、DX推進の背景と効果を伺いました。

ココがPOINT!

充実した研修制度でスタッフのモチベーションを向上

― 創業30周年、おめでとうございます。

『北前そば高田屋』の1号店をオープンしたのが1995年8月で、今年で30周年を迎えました。ここまで続けてこられたのは、お客様や地域の方々、取引先との強い信頼関係があったからこそです。

当社では30周年を機に、店舗コンセプトの『お客様の日常に寄り添う、少し特別な居酒屋』を再定義し、ブランド価値の向上と業務効率化の両立に取り組んできました。

営業本部商品開発部・デザイン販促部 部長

― 具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか?

主な取り組みのひとつに、5年前から始めた充実した研修制度があります。今は中途採用が中心で、中途入社者向けの研修に力を入れています。研修は3本柱で、『理念研修』では会社の理念や価値観を共有し、『数値研修』では売上や数値管理を学びます。さらに、『そば打ちやそばに関する座学・検定』も行っています。

直営・FC事業部/ 購買部 部長

人事部だけでなく、各部門のトップが研修に関わり、顔が見える関係を築いています。こうした研修の背景には、ブランド価値の向上はもちろん、離職率の低下も狙いのひとつになっています。飲食業界では仕事ができないと離職につながりやすいので、新人も既存スタッフも同じレベルで業務に集中できるよう、研修体制を整備しています。実際に離職率は確実に下がっています。

こうした制度を実現できたのは、インフォマートの『BtoBプラットフォーム 受発注』などのITツールを使うことで業務効率化を推進できたおかげでもあります。

IT活用による効率化がもたらした余裕

― ITツール導入以前の状況を教えてください。

2012年に受発注システムを導入するまでは、レジと連動した専用の発注システムを使って発注していました。しかし、鮮魚などの生鮮品はFAXで個別に発注する必要があり、かなり煩雑でした。レジが稼働している時間しか発注作業ができないので、営業後のレジ締め作業と発注作業が重なると時間がかかって終電を逃すことも多かったです。さらに、うっかりレジを締めて電源を落とすと発注ができなくなるというケースもありました。

岩手県産 ゆず香る 鴨の南蛮鍋

そのため発注は主にランチ営業後に行っていましたが、発注後に急な団体予約が入ると食材が足りなくなり、近隣店舗から食材を借りることもありました。

― システム導入後、どのような変化がありましたか?

発注作業がとにかく楽になりました。レジ締めの時間を気にせず余裕をもって発注できるようになり、FAX発注によるミスや文字が読めないといったトラブルもなくなりました。伝票の転記作業も大きく減り、経理部門の手入力の負担も軽減されています。

蕎麦刺し

新商品の登録作業でも、以前はメーカーや卸業者、システム会社など複数の経路を通さないとレジに登録できず、タイムラグがありました。そのせいで仕入れや売上の金額が合わないこともありましたが、今は新商品のデータも即座に反映されます。価格変動が激しい今の時代に、リアルタイムでコストを把握できるのは本当に大きなメリットです。

― DXの取り組みはどのように進めているのですか?

2021年にPOSレジシステムを刷新しました。モバイルオーダー、前払いレジ、後払いのセルフレジ、キッチンディスプレイなどに対応しています。これを基幹システムとして店舗運営の効率化はもちろん、経営管理のDX化の起点としています。例えば、以前はランチタイムに10人必要だった店舗が6人で回せるようになりました。

そのほか、店舗管理システム『FLARO』も活用しています。POSの売上や商品販売数などのデータと、『BtoBプラットフォーム 受発注』の仕入データを『FLARO』に自動連係しています。この一連の流れにより、手入力なしで営業数値を一元管理できるようになりました。

さらに、弊社では『メニューPlus』も活用しています。『BtoBプラットフォーム 受発注』の仕入データと連携しているので、各店舗の最新のメニュー原価をいつでも把握できるようにしています。そのため、改善点が特定しやすい環境も整っています。

高田屋の仕入れ・人件費・販売データ連携イメージ

― 売上管理の一元化で、どのような変化がありましたか?

各店舗が日々売上報告する際も、営業利益まで含めてすぐ確認できます。『FLARO』で勤怠管理もしているので、日ごとに最新のFL(Food:食材費,Labor:人件費)を把握できます。以前はエクセルで各店舗が『何時間働いたか』『売上はいくらか』などを集計して報告していましたが、今ではPCを開けばすぐ数字が見られますし、報告資料を別途作る必要がなくなりました。

何より大きいのは、経営サイドと店舗が同じ数字を見て議論できる点です。以前は経営サイドが会計数値を見て食材費が32%と認識していても、店舗からは28%という数字が上がってくることがあり、ズレの原因を追求するのに伝票を探す、間違いを見つけるなどの手間がかかっていました。それが今は、システム上で共通の数字を前提にしているので、『何が課題か、どう改善するか』といった本質的な話し合いができるようになりました。

アレルギーの問い合わせもIT活用で迅速に対応

― アレルギー対応にもITを活用されていますね。

当社は直営・FC問わず、店舗の安全・安心を非常に重視しています。メニューごとのアレルゲン星取表を作成して各店舗に共有し、お客様からのお問い合わせに対応しています。仕入れ品のアレルゲン情報の収集や更新、店舗への情報共有は不可欠です。

しかし、当社ではメニューの改定が2業態で年9回あり、そのたびに仕入れ品を変更するため、規格書の管理工数が膨大になります。そこで『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入しました。クラウド上で仕入れ品の規格書をすぐ検索し、アレルゲンを確認できます。規格書は、いわば商品の履歴書です。メーカーや卸業者が取り扱う商品のエビデンスとして重要です。

DXの実現で、ごまそば文化の未来を拓く

― 今後の展望についてお聞かせください。

高田屋では、「心に和のごちそうを」というブランドコンセプトをもとに、ごまそば、天ぷら、だし巻き、鴨料理の4本柱を揃えています。現在はごまそば検定を実施していますが、今後は他の3分野についても検定制度を展開する予定です。研修や検定を通じて、より多くのスタッフが自分の将来像を描ける環境を作っていきたいと考えています。

私たちは『高田屋』というブランドが心から好きで、その魅力は世界にも通用すると信じています。創業30周年を機にデジタルの力で持続可能な経営をして、和食文化の素晴らしさを次世代や海外に広めていきたいですね。

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株式会社プロスペリティ1

設立1988年10月(創業1995年8月)
代表者代表取締役 田中 亮臣
本社所在地埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-3 大宮マルイ7F
企業サイトhttps://takada-ya.co.jp/
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