スミダ飲料株式会社掲載日 2025年7月25日

月間4000件のFAX発注書をOCRで受注処理。
年間128万円のコスト削減見込みです。

利用サービス 受発注(受注) | エリア 関東 | 業種 飲料メーカー | 取材日 
スミダ飲料株式会社

全国の飲食店向けに業務用の果実飲料やシロップなどの清涼飲料水を製造・販売するスミダ飲料。受注業務では毎月4000件に及ぶFAX対応が大きな負担でした。

FAX発注書のOCRサービス『発注書AI-OCR(invox)』により、商品特定やFAX返信作業の手間が大幅に減少。作業時間や人件費の削減だけでなく、組織全体の生産性向上にもつなげています。

ココがPOINT!

多品種・小ロットに応える商品開発力

― さまざまな清涼飲料水・シロップを取り扱われていますね。

取締役:当社は業務用清涼飲料水の専門メーカーとして、飲食店で提供される酎ハイやカクテルのベース、かき氷シロップ、ソフトドリンク用シロップ、ジュレ、デザートシロップなど、多彩な希釈用の原液を製造・販売しています。

取引先は全国の商社や酒問屋、大手外食チェーンなど1000社を超え、商品ラインナップも定番品から季節限定品まで500種以上にのぼります。

各種シロップの原料となる果汁にもこだわっています。宮崎県産マンゴー、山形県産さくらんぼ、北海道産メロンなど、日本各地の名産果実を搾汁工場で果汁にし、原料として仕入れています。現在、国産果汁を使ったアイテムは30種類ほどになります。

また、「このフルーツの、あの産地の果汁を使いたい」といったお取引先様のご要望にもお応えできるよう、原料の産地指定やオーダーメイドでの商品開発、多品種・少量生産など、柔軟に対応できる体制を整えています。

取締役取締役かき氷のシロップ

月間4000件のFAX受注に、現場は疲弊していた

― 受注ではどのような課題がありましたか?

取締役:最大の課題は、FAXによる注文対応でした。年平均で月4000枚、繁忙期の7~8月は6000枚ほどのFAXを処理しており、注文の確認・入力だけで膨大な工数がかかっていました。

業務部 業務課 主任(以下、主任):受注業務の現場では、FAXで届いた注文書を見ながら、すべて手作業で基幹システムに入力し、それをもとに委託倉庫へ出荷指示を出すという流れでした。ただ、現場ではいくつもの確認作業が発生します。たとえば、当社では12本単位での注文が基本ですが、ロットが揃っていない、終売品が混ざっている、商品コードと商品名が一致しないなどイレギュラーなケースも多く、都度お客様に電話確認したり、営業を通じて確認を取ったりと手間も時間もかかっていました。

業務部 業務課 主任業務部 業務課 主任

業務部 業務課 担当者(以下、担当者):読み合わせと呼ばれる作業も負担の一因でした。注文内容を基幹システムに入力後、委託倉庫に出荷データを送る前に、発注書と入力データを2人1組で照合する工程です。1人が発注書に記載のある送り先や商品名、数量を読み上げ、もう1人が入力済みデータを見ながら誤りがないかどうかをチェックするという内容で、毎日1時間ほどかかっていました。

主任:加えて、リファックスの作業も現場には大きな負担でした。注文書への返信時には、出荷日と納品日を記したスタンプを押し、FAX番号を毎回手入力で送信していました。発注書が集中する日は、朝8時半の出社直後から午後1時過ぎまで、内容確認と送信を延々と繰り返すこともありました。作業が複雑でパートさんには任せづらく、属人化が進んでいたことも課題でした。

取締役:私自身、入社以来、工場、営業、経理と現場をひと通り経験した中で強く感じた課題が、この仕事はあの人しかできないという属人化のリスクです。いまは出産や育児、介護などで、誰もが一定期間職場を離れる可能性がある時代です。誰かが1カ月抜けても、周囲で自然にフォローし合える状態をつくることが、これからの組織づくりには不可欠だと考えています。

そこで業務部では1年ほど前から、業務内容を分解し、1~2週間ごとに担当を入れ替えられる体制の構築に取り組んでいます。これにより、スキルが平準化され、知識やノウハウも自然と共有されていく。そして、特定の誰かに業務が偏ることなく、互いに支え合える土台ができます。

現在はまだ移行期ですが、最終的にこの仕組みを会社全体に広げ、誰がいつ休んでも業務が進む、柔軟な組織にしていきたい。育休や産休をとる社員が「申し訳ない」と感じることなく安心して休める環境を整えることが、経営側の責任だと思っています。

そのためにも属人化を放置せず、仕組みで支える組織づくりが欠かせません。受注業務のDX化は、その実現に向けた重要な足がかりのひとつでした。

コーラベースジンジャーエールベース

ムダを省き、時間と付加価値を生む

― 受注業務のDXはどのように進められましたか?

取締役:まず、発注書を自動で読み取りデータ化できるOCRツールに着目しました。お客様側は送信先のFAX番号を変えるだけで、これまでどおり紙の運用も継続できる。業務効率を高めつつ、取引先に負担をかけない点が大きな魅力だと感じました。

そのうえで、複数のDX関連の展示会に足を運び、最終的にはインフォマートを含む2社に絞って比較検討しました。その結果、発注書の読み取り精度や運用面の柔軟性、費用対効果のバランスを総合的に判断し、インフォマートが提供している『発注書AI-OCR(invox)』の導入を決めました。

なかでも決め手となったのは、明確な費用対効果です。導入前に受注から入力、確認、リファックスまでの一連の業務にかかる工数と人件費を細かく洗い出し、OCR導入後の削減効果を試算した結果、年間で128万円のコスト削減が見込めるという結論に至りました。

加えて、業務自動化によって生まれた余力を、社員の育成や新たな業務への展開に振り向けられる点にも、大きな可能性を感じました。単なる経費削減ではなく、生産性向上と人材活用の観点からも、価値のある投資だったと捉えています。

青森県つがる林檎コンクはちみつレモンエード

― 実際の導入効果はいかがでしたか?

担当者:受注業務の負担は、導入前に比べて大幅に軽減されました。特に、発注書のフォーマットが整っているお客様に関しては、商品名や発注番号、数量などの情報が、ほぼ正確に自動で読み取られます。手書きの修正が入った注文書など一部は補正が必要ですが、それ以外は大きな手間がかからなくなりました。

たとえば同じ「ゆず」でも産地が違ったり、商品名が似ているものがあったりするため、入力ミスが起きることもありました。その点、『発注書AI-OCR(invox)』 はAIが正確に識別してくれるため、こうした入力ミスもなくなりました。

主任:一度読み取りに失敗した商品も、次に修正して登録すれば、次回からは正しく認識してくれる。使えば使うほど精度が上がっていく点も、大きな利点だと感じています。

担当者:リファックス業務も大きく改善されました。複数の納品先を持つ取引先の場合、以前は納品先のセンターごとに発注書を確認し、1件ずつ手作業でFAXを送っていました。いまは画面上で必要な発注書にチェックを入れれば、ボタンひとつで一括送信できます。

納品日や出荷日もあらかじめシステムに反映されており、以前のように1枚ずつスタンプを押す作業もありません。確認して送るだけ。日々の業務が格段に楽になりました。

主任:発注書を探す手間が省けたのも、大きな利点です。受注ミスや内容の行き違いがあった際には、過去の注文をさかのぼって確認する必要がありますが、以前は注文書の原本を保管棚や倉庫から探し出すだけでもひと苦労でした。

いまでは『発注書AI-OCR(invox)』の検索機能を使えばすぐに閲覧できるため、対応スピードが格段に上がっています。FAX注文そのものが減ったことも相まって、紙の山をひっくり返すような非効率な作業からは解放されたと感じています。

取締役:探す行為自体に、生産性はありません。売上に直結しない以上、業務としてはムダと捉えるべきです。その手間が減ったことは、一見すると些細に思えるかもしれませんが、私にとっては大きな意味を持ちます。そうしたムダを一つひとつ削っていくことで、これまでロスしていた時間を、より価値のある業務に振り向けることができる。それは会社全体で見ても大きなメリットです。

さらに言えば、その作業はムダだよと伝えるのは簡単ではありません。相手のやり方や思考を否定することにもなりかねないからです。『発注書AI-OCR(invox)』は、そうした摩擦を生まず、自然な流れで次の形を示してくれる。探す手間がなくなったという変化も、その一例です。無理なく個人の働き方に変化を促す。それも導入効果のひとつと感じています。

粒々イチゴネクター粒々キウイネクター

― 今後の展望についてお聞かせください。

取締役:DXは片手間では進みません。今後はDX推進課のような専門部署を立ち上げ、SEなどの人材とともに、現場の困りごとや要望を吸い上げながら、全社的な業務改善に本腰を入れて取り組んでいくつもりです。2~3年をかけて着実に体制を築いていきたいです。

心にゆとりがあれば、いい仕事ができる。そのための環境づくりこそがDXの本質だと思っています。

つくば工場

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スミダ飲料株式会社

設立1953年3月(創業1947年)
事業内容各種果実飲料・シロップ・ゼリーの製造および販売
代表者阿部 豊
本社所在地東京都墨田区東駒形4-16-17
企業サイトhttps://sumida-inryo.co.jp/
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