株式会社ダイナック取材日 2018年2月21日

外食企業の食物アレルギー対応は、正確な情報提供と従業員教育が不可欠。
IT管理で解決し、お客様の満足度を高めます。

利用サービス 受発注(発注)/ 規格書(買い手) | エリア 全国 | 
事業内容 多業態飲食店の経営、リゾートレストラン等の運営受託
株式会社ダイナック

サントリーグループの一員である株式会社ダイナック様。ダイニングバー、ビストロ、串揚げ、海鮮などのほか、ゴルフ場レストラン、道の駅の受託運営など約50ブランド、269店舗(2017年末)を展開されています。幅広い客層に利用される中で、食物アレルギーに関する問い合わせは年間800件近くに及ぶといいます。デリケートな問題にどう対応しているか伺いました。

ココがPOINT!

手探りの状態から食物アレルギー対策を考案

― 食物アレルギー対応にどう取り組まれていますか?

品質保証本部長 (以下・同):弊社がアレルギー対応に本格的に取り組むようになったのは、店舗での問題発生がきっかけでした。それ以来、食物アレルギーへの取り組みに“表示する・確認する・間違えない・起こさない”という4原則を掲げて臨んでいます。

“表示する”では、「食物アレルギーがあるお客様はスタッフにお知らせ下さい」とメニューに表記して、店舗でできる範囲のことを対応しています。“確認する”は、食物アレルギーを持つお客様の接客担当はオーダーから提供まですべて一人で確認します。これはお客様から担当者が変わると不安というお声があったため取り入れました。“間違えない”は、お客様の目の前でアレルギー対応表を使って確認します。“起こさない”は、研修による従業員教育と、店舗へのお問合わせを品質管理部が対応することで徹底しています。

― 食物アレルギーの事故が起こる原因は何だと思いますか?

外食業全体にいえることですが、アレルギーのトラブルは大きく分けて2つあります。ひとつは「人」。従業員の知識不足や思い込み、確認ミスなどが事故につながります。もうひとつは「情報」です。アレルギー情報の表示ミスや商品リニューアル時の変更漏れ、商品規格書(※)の回収ができていないことによるアレルギー情報の不備があげられます。

※商品規格書:食品のアレルギーや原料産地などの情報をまとめた仕様書

トラブルを防ぐポイントは従業員教育と情報の取得・開示です。外食のメニューにはアレルゲン情報の表示義務がなく、明確な対応方法もありません。しかし、ひとたびトラブルが起きると、最悪の場合、命に関わる事態になります。健常者は当たり前のように外食しますが、アレルギー患者やその家族にとって、外食は夢や憧れとなっているのが現状です。外食事業者として、正しい知識と情報でお客様の満足度を高めることが、最も大切だと思います。

― 食物アレルギーの問い合わせを受けた際、どのように対応していますか?

ご予約などの際に「○○アレルギーの対応をしてください」というご要望があった場合、本部の品質管理部で原材料を精査し、必要に応じて店舗でメニューを変更するなどの対応をしています。

しかし、当日のご要望やお問い合わせには、一部の店舗をのぞいて一切対応していません。コンタミネーション(アレルゲンの意図しない混入)の危険が避けられないからです。そして何よりアレルギーの患者団体の方から『できないことには対応しないのも、対応のひとつです』というお声をいただいたことによります。サービス業の我々は、お客様には何かしたいという気持ちになりがちです。しかしアレルギーに関しては、良かれと思ったことが結果として重大な事故につながります。軽率な判断をしないよう従業員教育でも教えています。

品質保証本部長

ダイナックが考える
食物アレルギー事故の原因と対策

独自の食物アレルギー対応ツールを活用

― 従業員教育はどのようにされていますか?

従業員の入れ替わりが頻繁な店舗だと、しっかり教育しても辞めてしまうことがあります。このため基礎知識編と実践編という2種類のマニュアルを用意して、従業員の理解度にわけた研修を実施しています。アレルギーのお問い合わせが多い店舗は、店舗ごとの勉強会も実施しています。天ぷら粉ひとつとっても、メーカーによって原材料が違うことを知らなければ、足りなくなったからといって個別に買ってきて使えば、アレルゲンが入ってしまうこともあるでしょう。また「○○を抜いてください」という問い合わせでは、アレルギーなのか好き嫌いなのかの違いでトラブルになることもあるので、必ず確認しています。アレルギー事故はなぜ起きるのか、起きるとどうなるのか、正しい知識を従業員に持たせることが必要です。

― 食材のアレルギー情報は、どのように取得しているのでしょう?

ここがなかなか難しいところで、我々だけの頑張りでは限界があるんです。というのも、アレルギー情報は商品規格書で確認するしかありません。仕入れ先の卸さんやメーカーさんから情報提供のご協力の上に成立しますが、個々の意識に温度差があります。さらに、企業ごとに規格書のフォーマットも違ううえ、窓口を何度も変更されるなどで、お客様の対応が遅れる原因になっています。

そこで弊社では規格書の管理システム『BtoBプラットフォーム 規格書』を使用しています。システム化したことで規格書のフォーマットが統一でき、回収スピードも向上しました。紙の転記作業も減るため、情報も正確になっています。現在、システムを使った規格書の回収率は80%程度ですが、不足分は電話やメールなどで確認しています。システム上で回収が100%になり、商品の改廃データも逐一反映させることができれば、より迅速に情報開示の実現に近づけるでしょう。食材を新規に仕入れる段階で規格書が揃うよう、これから取引先にご協力を求めていきたいです。

また、先ほどの『規格書』システムに加えて食材を発注する『BtoBプラットフォーム 受発注』と、メニューごとのレシピを管理する『メニュー管理機能』の3つを連携させることで、仕入れ品のアレルゲン情報をメニューごとに反映できます。今は紐付けする仕組みができた状態なので、これからこの3つのシステムをうまく噛み合わせていきたいです。

メニュー別原材料表

― アレルギー対応強化店舗があるとうかがいました。

弊社では、特にアレルギーのお問い合わせの多い店舗をアレルギー対応の強化店舗としています。こちらの店舗では、『BtoBプラットフォーム 規格書』などから取得したアレルギー情報をメニューや料理ごとのアレルギー一覧表にして、ご要望する方にはお見せしています。これは、お客様ご自身で判断していただくための情報提供です。

例えば、お客様が小麦アレルギーをお持ちで、野菜サラダに小麦のアレルゲンが入っていたとします。原材料一覧表で小麦のアレルゲンがドレッシングに含まれているとわかれば、ドレッシングを変更すればお召しあがりいただけると判断できます。大豆アレルギーであっても醤油に含まれているものなら大丈夫という方もいらっしゃいます。その場合も原材料表で醤油由来かをご確認いただけます。

また、アレルギーに対応したオーダーの通し伝票に、お客様のアレルギーや注意すべき点などを記入しています。これには、転記ミスを起こさないため3枚複写式のものを使用して、ホール、デシャップ、キッチンが同じ情報を共有します。

3枚複写のアレルギー対応伝票

寄り添う気持ちで外食の価値を提供

― 従業員の意識を高めるには、どのようなことが有効でしょうか?

やはりちょっとした対応でお客様が喜び、笑顔になっていただける実体験を重ねていくのが一番でしょう。弊社では、お客様の声を聞くVOC(ボイス・オブ・カスタマー)活動をアレルギー対応の基盤として、企業側の視点ではなく、お客様側の意見を聞いたうえで対応しています。アレルギー対応には従業員教育や情報管理が必要ですが、何より大切なのは寄り添う気持ちです。外食企業とお客様のお互いに寄り添う気持ちがあれば、充分な対応ができるでしょう。

― これから解決すべき課題などはありますか?

今後は情報共有に努めていきたいです。お客様には我々が提供する料理や環境を知っていただき、我々はお客様の普段の環境を知っていく。コミュニケーションをしっかりとることで、アレルギー事故のリスクはかなり減るでしょう。外食業界全体がアレルギーを持つお子様やお客様の夢や憧れを実現できる世の中になるよう、関係団体や学校関係・旅行代理店、業界団体などとも連携していきたいと思います。

関連リンク

株式会社ダイナック

設立1958年3月
事業内容多業態飲食店の経営、リゾートレストラン等の運営受託
代表者代表取締役社長 若杉 和正
本社所在地東京都新宿区新宿1-8-1
企業サイトhttps://www.dynac.co.jp/
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