一歩進んだ食の安心・安全のために。
業界の先を見据えた、セントラルキッチンが今後の発展を支えています。
名古屋、東海地区を中心に「街のラーメン屋さん」として長年親しまれている藤一番様。現在は全国に60店舗を超えるチェーン店を運営しています。その発展を支えてきたセントラルキッチンを、2012年に株式会社Dクリエイツとして分社化し、食品製造メーカーとして独立しました。藤一番の食の安心・安全を支えている同社に、その取り組みを伺いました。
ココがPOINT!
- 1仕入れ商品約700件の規格書を、製造部門が一元管理
- 2業界標準フォーマットにしたことで、規格書の回収がスムーズに
- 3データ管理によって、店舗で正確なアレルギー情報が提供可能に
セントラルキッチンの分社化で、より高まる食の安全への意識
― 御社の沿革と業務内容を教えてください。
Dクリエイツ 常務取締役(以下常務取締役):藤一番の創業は33年前の1984年です。ラーメンチェーン店「藤一番」や「総本家しなとら」など、名古屋を中心に全国展開しています。
創業当初よりこだわりのオリジナルの商品をお客様に提供していこうという方針は変わっていません。1店舗目から店の裏に小さな製麺機を置いて、自社製麺にこだわってきました。
店舗が増えはじめた1991年頃に、品質の均一化という観点から小規模ながらもセントラルキッチンとして工場の形をとるようになりました。さらに2005年に経営規模が大きくなるのにあわせて、現所在地の愛知県小牧市に本社と工場を併設して移転したのです。
セントラルキッチンは2007年にISO22000(食品安全マネジメントシステムの国際標準規格)を取得し、2012年には分社化してDクリエイツという独立した食品製造メーカーになりました。
現在は、直営、フランチャイズあわせて60強ある店舗に商品を提供するだけでなく、業務用や一般消費者向けにも、麺・ギョーザ・パスタ・洋菓子など、様々な商品を開発・製造、販売しています。
― セントラルキッチンを分社化したのはなぜですか?
常務取締役:もともと藤一番の製造部門として独立しておりましたので、藤一番の店舗で売るのは、商品と接客サービス、その商品の安全を守るのは製造部門としての我々に責任があると考えています。この考えに基づき自立した食品製造メーカーとして、商品を開発、製造、販売することに力入れようと考えたからです。外に向けて商品を販売することによって、食の安心・安全への意識をより高めていくという狙いもあります。
ISO22000を取得したのも、将来の独立を見越した、食品メーカーとしての基礎固めの意味がありました。国際基準の衛生管理でうちにしかできない商品を安心・安全につくっていこうという思いからです。外食に限らず、食品業界全体の一番のテーマは食の安心・安全しかないと考えています。
Dクリエイツ 生産部 次長(以下、次長):ここ数年で食の安心・安全に対して、消費者の関心は一気に高まったと感じています。大手企業の異物混入事故が相次いだことも一因でしょう。自主回収を何万個といったニュースも日々世間を賑わせています。企業としては、事故を起こさない徹底した管理が必要なんです。
セントラルキッチンの利点は、商品を均一の質でお客様のもとにお届けできること。我々はその点に強い自信をもっています。加えて、アレルギーや原産国といった情報を統一した形で店舗に提供できること。万が一店舗で何か問題があっても、いつ作ったか、どのロットか、追跡することができるのも問題の拡大を防ぐ為に大切なことだと考えています。
Dクリエイツ 常務取締役
Dクリエイツ 生産部 次長
あやふやなアレルギー情報の精度を高めるデータ管理
― アレルギーや原産国などの情報はどのように管理されていたのでしょうか。
Dクリエイツ 商品開発部 課長代理(以下、課長代理):商品規格書を使って管理していました。自社のエクセル書式でメーカーさんに提出を依頼することが多かったです。
商品規格書の管理で大変なのは、メーカーさんが弊社の書式で作成するまでに相当な時間がかかるということと、記入漏れがあれば再提出してもらわなければならないことです。しかも電話で連絡してお願いしていたので、担当者がいらっしゃらない場合はさらに遅れてしまいます。商品規格書の依頼から1週間で回収できれば早いほうで、時には数ヶ月かかることもありました。
あとはDクリエイツでは自社で発注した商品しか管理できていないことも課題でした。例えばラーメンのトッピングなど、セントラルキッチンを通さず藤一番各店から直接問屋さん等に発注された商品の場合は規格書の管理から漏れてしまい、店舗でアレルギーに対するお問合せに正解な回答ができないこともありました。
藤一番で商品を提供する以上は、セントラルキッチンでの製造品以外もきちんと管理してお客様からの問合せに対応するべきという、現場の声やニーズは日に日に高まる一方だったのです。規格書のシステム化を検討したのはそのころです。そして、2013年に規格書の管理に『BtoBプラットフォーム 規格書』を導入することにしました。
Dクリエイツ 商品開発部 課長代理
― システムの導入によって、課題はどのように解消されましたか?
課長代理:まず感じたメリットは、規格書の回収速度が上がったところです。システム化によって独自のフォーマットではなく、『業界標準フォーマット』という業界内で共通になりつつある書式で管理できるようになったことが大きいと思います。
取引先がすでに業界標準フォーマットを使って規格書を作っていた場合は、記入の手間はかからず即座に回収できます。早いところだと、サンプル依頼の段階で規格書をつけて提出してくれるほどです。また、『BtoBプラットフォーム 規格書』には、アレルギーの記入漏れチェック機能もあるので、再提出を依頼することも減りました。
システム化によって共通の画面からDクリエイツの仕入れた商品と、藤一番が仕入れた商品をすべて本部で把握できるようになりました。いまでは店舗で使う酒類や生鮮品などを除いた、約700アイテムの規格書をまとめて管理することができています。
仕入れ商品を管理できるようになったことで、藤一番の店舗に特定原材料7品目と準ずる20品目を網羅したアレルギー一覧を作成し、配布できるようになりました。それまでも店舗側で作ったアレルギー一覧はありましたが、特定原材料に限られたものしか作っておらず、仕入れ管理もできていないことで漏れや抜けがあり正確性に欠けていました。いまではアレルギー一覧の精度があがったため、ほとんどのアレルギー物質に関するお問合せは店舗で対応できています。
ただ、特定原材料の「卵」について、それが麺に含まれているのか、それともスープに含まれているのか、あるいは両方かという、アレルギー一覧では対応できないお問合せもあります。その場合は、一旦本部でお問合せを受け、データを検索しながらお答えしています。それでも調理器具の共用など、コンタミネーションの問題もありますので、最終的にはお客様の状況を伺いながら、1件1件お話をさせていただいている状況です。
製造元として、規格書の制作も効率化する
― 今後、取り組んでいきたい課題はありますか?
課長代理:これまで効率化された規格書の管理というのは、あくまで飲食店としての活用だったので、今後は製造側の規格書作成を効率化したいと考えています。
現状では、Dクリエイツの藤一番以外の取引先は、9割以上が特定の飲食店様です。作っている商品は販売先によってレシピ(仕様)が違うため、規格書はまだエクセルで作成しているのです。
ただ、今後はもっと一般向けの販売も増やしていきたいと思っていますし、外販の割合が増えれば規格書の作成依頼が、もっと増えると思います。それまでに外販用の規格書作成の方もシステム化しておきたいと考えています。
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BtoBプラットフォーム 規格書
- 「食の安心・安全」に対応
株式会社 藤一番
設立 | : | 1984年4月18日 |
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事業内容 | : | ラーメン他飲食店の経営、食料品の加工・卸し・販売、FCシステムの加盟店募集等 |
代表者 | : | 代表取締役社長 牧野 正義 |
本社所在地 | : | 愛知県小牧市弥生町135番地 |
企業サイト | : | http://www.gf-gf.jp/ |
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